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流界の魔女  作者: blazeblue
はじまりの朝
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第22話 イチハの世界



 碧の節白金の月の28日、未だ低い音の6刻になるかならないかの時刻。人の多い王城と言えども未だ本格的には動き出していない時間帯に、一葉は訓練場の片隅に立っていた。その表情はいくらか不服そうである。



「あらー。かなり早い時間なのに、上には上がいるものですね」



 隣へと声をかけると、灰金の髪を持つ相棒は重々しく頷いた。



「普段あまり人前で鍛錬をしない方々なのです。今日は運が良かったですね」



 一葉の声にも振り向かず、先客たちの鍛錬を食い入るように見ている灰金の騎士。声に含まれた僅かな苦情も耳に入らないそんな相棒の姿に、一葉は思わず苦笑いを浮かべた。



(えぇ、そうでしょうとも。レイラさんはコレを『運が良かった』って思うタイプでしょうねー……。それで運がいいついでに手合せとかお願いしそうだし。それで私は断れないんだろうとかねぇ)



 同日の少し前、朝の散歩をしようと私室を出てすぐに一葉はレイラと顔を合わせた。腰に『狛犬』があることを確認したレイラは、笑顔で有無を言わさず訓練場へと一葉を連れてきたのだ。

 レイラは一葉が鍛錬をするものだと信じて疑っていない。一葉の方は単に普段通りの装備として『狛犬』を身につけていただけなのだが、彼女はそれを主張する機会を失ったまま今に至っていた。



 見るともなしに見ていた『先客たち』は合わせ鏡のような動きで剣を合わせ、または弾いている。ピタリと合わさったその動きはまるで神へ捧げる舞のようだった。その余りの滑らかな動きに、高次元の技術に裏打ちされていることを失念しそうになる。



「……どう? 自分たちのことながら、ちょっとしたモノだと思うんだけど」



 荒い呼吸も僅かな時間で慣らした双子の姉アレネアが、一葉たちへと振り向いて笑顔を見せた。



「やーっぱり、気付いてましたかぁ……」

「まぁねぇ。別に物陰とかに隠れてなかったし? すぐに気付くと思うけど」



 何事もないように言い放つ黒い瞳の女性へ、歩み寄った一葉は返事をせずに苦笑いを返す。双子は一度も一葉たちを見ていない。そして一葉たちも、極力気配を絶ってから訓練場に足を踏み入れたはずである。



(んー……魔力が読めればそれも頷けるんだけど、魔力じゃなくてガチで気配読んでるっぽいし。一回も目ぇ合わなかったのに。うん、無理だ。私にはわからん。絶対気付けない自信がある)



 考えを口には出さず、一葉は代わりにアレネアとエリシアへ向けて軽く頭を下げた。



「合わせ鏡みたいで、すごかったです。良いものを見せていただきました」

「ありがと。まぁ、半分以上見せるための演舞みたいなものだけどね」



 肩をすくめる双子。一葉は再び、軽く頭を下げた。



「遅くなりましたが、おはようございます。ずいぶん早いんですね」

「えぇ、おはよう。このくらい早い時間じゃないと人が多いし。……まぁ、何て言うかね。色々面倒だから」



 苦笑する双子を見て、レイラは何事もなく流したようだったが一葉は何となく理解した。



(アレナさんたちを気に入らない人間、か。思った以上に面倒くさいな)



 一葉とアレネアは視線を合わせ、同時に肩をすくめた。あちら側にも一葉の特殊な事情や立場は理解されているらしい。

 一葉と微笑み合う姉へ向けてエリシアが声をかけた。



「姉さん」

「……そうね」



 アレネアは何事かを少しだけ思案し、イチハとレイラを見つめる。



「ねぇ、2人とも。少し時間はあるかしら?」

「暇ですか」

「えぇ、あります。体を動かそうと思って来ましたから」



 即座に答えたレイラに、引きつった表情を向けた一葉。彼女には全く構わずに双子は笑顔を浮かべた。



「いつも2人で鍛錬してるとお互いの腕に慣れちゃうじゃない?」

「よかったら2人とも、私たちと手合せしてくれないかしら? そうね……レイラちゃんは私と。イチハちゃんは姉さんと」

「こちらからもお願いします」

「え、ちょっ……」



 少しも躊躇のないレイラ。笑顔に囲まれた一葉に選べる道は1つしか無かった。








「あら。面白い構え方ね」

「えぇ、まぁ……癖です。アレナさんも中々じゃないです?」

「まぁね。私たちはホラ、ほとんど自己流だから」



 アレネアと向き合っている一葉の両手には『狛犬』がある。右は順手、左は逆手。正式な構えではないのだろうが、持ちやすい方法がいつの間にか癖になっていた。

 対するアレネアの手には普通の長剣がある。その構えは刃を寝かせ、剣先を右の前方へ向けているというもの。彼女たちは正規の剣術を習っていないということだが、しかし変則的な構えからでも見た限り攻められる隙など無かった。



「さぁて、イチハちゃん。あんまり気乗りしてないみたいだけど付き合ってもらうわよ?」

「……お手柔らかにお願いします」



 ニコニコとしているアレネアへ一葉は呟く。周りに流されたことをしっかりと見破られていたらしい。僅かだけ苦笑してから、一葉は表情を引き締めた。



(いくらただの試合でも、ヘラヘラしてたら痛い目見そうだし。自分から進んで痛い思いはしたくないしね)



 息を吸い、吐く。取り込んだ空気が体を巡る感覚を確認し、余分なものはすべて体の外へ押しやった。後は体を流れに沿って動かすのみ。



 一葉は、静かに踏み出す。



「行きます」



 アレネアの眼前で右足を地へ叩き付け、一葉は急停止で生まれた力を右の『狛犬』に余さず乗せた。それなりに鋭い攻撃もアレネアの長剣の前に難なく弾かれた彼女は、それならばとアレネアの脇腹へ左の『狛犬』を走らせる。

 アレネアの長剣は右の『狛犬』を対処していたため、左からの攻撃は当たると思われた。しかし黒瞳の剣士は長剣を捩ることで、一葉の剣を巻き込みながら左右共に弾く。



「――っ!」

「ふっ!」



 『狛犬』を弾かれて体勢を崩した一葉の背中に、今度はアレネアが剣を伸ばす。

 だがこちらも当たらない。崩れた体勢そのままに、悲鳴を呑み込んだ一葉は回転しつつしゃがみ込むことで攻撃を躱したのだ。そして襲い来る長剣を右で逸らし、左でアレネアの膝を狙う。



「いい狙いね。でも残念」



 軽い笑い声を上げたアレネアは踵へ瞬時に体重を移し、数歩後退することでこれも避けた。一葉が追いすがろうとしたタイミングでアレネアは後退から前進へ切り替え、カウンターで刺突攻撃を繰り出す。



「ぅわっ!!!」



 出鼻を挫かれた一葉は流石に悲鳴を上げつつ右へ飛び、アレネアと大きく距離を取った。余裕のない一葉へ追撃が無いことから、彼女がアレネアから手加減されていることが分かる。

 片や涼しい顔で、片や必死の無表情で睨み合うこと僅か。



 両者同時に剣を収めたのだった。



「いやぁ……やっぱり強いですねぇ」

「イチハちゃんこそ。本気出してないでしょ?」

「それを言うならアレナさんでしょう」



 肩をすくめた一葉に、アレネアはクスリと笑った。



「ふふっ……汗ひとつかいてないくせに良く言うわ。見てなさい。今度手合せするときにはもっと追いつめて、噂の『コトダマ』も出させるから。かぁわいいお澄まし顔ももっと焦らせてあげる」

「どんなドSだよ……」



 上機嫌に微笑んでいるアレネアだったが、身の危険を感じた一葉は次の機会が無いよう祈るのだった。








「さて、あっちの2人は……」



 アレネアの言葉に導かれ、一葉もレイラたちを見やる。



(うわぁ……やっぱり直接戦わなくて良かったー!!)



 一葉がレイラの戦いをじっくりと見るのはこれが初めてであるが、以前の手合せを思い出した彼女は心からそう思った。



 凄まじい勢いで細剣を突出し、払い、斬りこむレイラ。一葉などでは全てを防ぐことは出来ず、そして僅かでも当たれば被害は甚大になるであろう攻撃。

 その攻撃を受ける側であるエリシアもまた高い実力を示していた。自分に当たりそうなものを長剣で弾き、その他は紙一重で避け続けている。



(言うのは簡単だけど。実際にできるかどうかはまた別物だしねぇ……)



 そしてそれ以上に、一葉がため息を吐く理由は。



「本当に強くなったわね」

「はい。強くならなければいけませんから」



 そんな動きをしながらも、未だ2人には余裕があるのだ。

 彼女たちに対して呆れにも似た感情を抱く一葉の前で、しばし同じ攻防が続いたのちにエリシアの動きが変わった。レイラの腕が伸びきった一瞬を逃さず掌底で打ち、僅かに体勢を崩したレイラへエリシアが剣を突き付けたのだ。



「……参りました」

「はい、ありがとうございました。楽しかったわ。綺麗すぎる動きも前より良くなったし」



 そう言いながら満足そうにエリシアがアレネアを見ると、先ほどのようにアレネアは頷いた。2人は歩み寄り、一葉とレイラへと笑みを向ける。



「さ、そろそろ私たちは帰るから」

「あなたたちも遅れないようにね」



 王城へと向かうどこか満足そうな双子へ向けて、一葉とレイラはそれぞれ頭を下げた。



「また、手合せとご指導をお願いします」

「お疲れ様でしたー」



 双子の背を見送ったレイラは、さて、と声をかけて一葉へと向き直った。



「イチハ殿。もう少し体を動かしてから帰りましょうか」

「いや、もう今日は充分……じゃないですね、そうですね」



 訓練に関しては周りが見えなくなる癖を持つレイラに、その後の一葉はしばらく追いかけ回されたのだった。








「あの、イチハ殿……」

「どうかしましたか?」



 いつもと変わらず大人びた表情を浮かべる、焦げ茶の髪の相棒。レイラは彼女に、遠慮がちに問いかけた。



「普段から、ああいった……」

「ああいった? あぁ、アレですか。えぇまぁ、そうですね」



 2人は現在、肩を並べてアリエラの私室へと向かっている。夜間の警備は場所固定の騎士たちが警備をするため、一葉たちのような個人付きの騎士たちは高い音の1刻とともに警備に入る。バラバラに集合しては迷惑になるため、朝は出来るだけ一緒に向かうのが暗黙の了解になっていた。



「……私は、知りませんでした」



 レイラは今朝の事を思い出していた。一葉と廊下を歩いているだけで、そこかしこから噂話が囁かれているのが聞こえてしまったのだ。



 ――あぁ、黒瞳の『侯爵令嬢』だ

 ――あんな小娘が騎士になるとはな

 ――フォレイン侯の権力にモノを言わせたのではないか?

 ――あぁ、やはりフォレイン伯爵を籠絡してヴァル家へ入ったのでは……



 それを表情ひとつ変えずに聞き流し、何でもない様子で歩く一葉がレイラには信じられなかった。だからこそ普段の彼女からは珍しいほど踏み込み、つい噂についてを口に出してしまったのだ。



(別に、あんなもん別に気にするほどでもないけど)



 意外なほど気遣いの細やかなレイラへ、申し訳なく思った一葉はもう少し言葉を継ぐことにした。



「まぁ、レイラさんは知らなくて当然かと思いますよー。一緒にいるのは城の上層が多いですし。基本的には周りには『私』を理解してくれる先輩たちか、噂は陰で話すっていう最低限の礼儀を知ってる人間かしかいないですからねー」

「そうだとしても、あれは流石に……」



 なおも言い募ろうとするレイラだったが、足を止めレイラを振り返った一葉に言葉を止める。正確には、一葉が浮かべた皮肉げな表情に。



「ま、実際の『私』と会う機会もありませんし。こんな急に現れた小娘が苦労した自分たちより高給取りなんて、認めたくないんでしょう。私だって同じ立場なら確実にイラつきますし」



 一葉は今の立場を望んで得たわけではない。色々な人物の思惑により、強制的にこのような場所へと引きずり込まれたのだ。



「だから、あんまり気にしないでください」



 いくらかの事情を知っているレイラは、肩をすくめた一葉の姿に何かを考えて口を噤んだのだった。








 同日、高い音の1刻。一葉とレイラがアリエラの護衛につくとほぼ同時、アーサー王からの呼び出しを受けた。

 職務中に呼び出しがかかったということでアリエラを伴って執務室へと向かうと、そこには王の他にゲンツァとコンラットが顔を揃えている。



「よく来たな。待っていた」

「失礼します。父様、レイラとイチハに用事とのこと。どのようなものでしょうか?」



 アリエラの問いに、アーサー王は頷いて口を開いた。



「単刀直入に言う。協力要請で外に赴いてもらうことになった。それから、今回近衛騎士から出す人員はレイラにイチハ。お前たちだけだ」



 アーサー王の言葉をゲンツァが引き取り、詳細の説明をする。



「ここより馬車で1日……休みを取らなければ半日ほど南下した辺りに、ラーオという村があります。その辺りでは近年魔獣被害が多い為に常時30人ほどの駐留衛士がいるのですが、どうにも彼らでは対処が難しい魔獣が出現したと王国衛士隊から協力要請が回ってきたのです」

「周辺にある他の村からも要請が来ている。どうやら数日おきに出没範囲を変えては、村々を襲撃しているそうだ。撃退は出来るが、討伐が難しいとのことだな。恐らく、次はすぐに向かえばラーオ村の再襲撃に間に合うだろう」

「あの……」



 そこで説明を終えたゲンツァとコンラットへ、一葉は遠慮がちに手を上げた。彼らの許しを得て疑問を口にする。



「ちょっとした疑問ですが、なぜ私たちだけ? 30人でダメだったなら、流石にもっと人数がいた方がいいのではないです?」



 一葉の疑問に3人だけでなく、レイラやアリエラもまた何かを悟ったように頷いている。



「そうか、イチハにとっては常識ではなかったな。ゲンツァ」

「はい。……戦では2人だけを派遣、などと言えば正気を疑いますが。こういった討伐に関しては、あまり人数がいてもお互いの邪魔になりますゆえ必要最低限の派遣となります」

「あぁ、フレンドリーファイアか……」



 一葉の言葉は一部理解できなかったが、ゲンツァはニコリと微笑んで話を続けた。



「名誉入団には酷な話ですが。そう言った事情もあり、実務にあたる近衛騎士には一定以上の実力が要されるのです。一度ご説明したと思いますが、訓練された衛士を同時に20人……最低でも10人は制圧できるほどの者でなくては、近衛騎士にはできません

 それから、来月の外交行事のためにも今はあまり多くの騎士を動かせません。それならば持っている手段が多い人材を向かわせた方が良いだろう、と判断しました。イチハ殿であれば経験も豊富でしょう」

「そうでしたか。理解しました」



 『経験が豊富』と言われても、何の含みもないゲンツァの言い方では腹も立たない。苦笑しながら何度か頷く一葉を確認し、今度はコンラットが口を開いた。



「移動手段については、近衛騎士団が所有する馬車1台を。御者も含めて手配する」

「それからアリアの警備についてだが。部屋付きの騎士を一時的に護衛に回し、部屋付きには新人と他域担当をそれぞれ1組ずつ、計2組に増やす。いいな、アリア」

「分りました、父様」



 アリエラからも警備の変更へ特に否は無かった。こういった事態も初めてではないのだろう。アーサー王も娘へ頷き、騎士たちへと最終的な通達をする。



「レイラにイチハ。外出の支度が出来次第、至急出発するように。事態は短期決着を要する。アリエラについては交代の騎士が来るまでここに待機とする。話は以上だ」



 執務室を退出したところで、慌てて出てきたアリエラに一葉とレイラは呼び止められた。



「レイラ、イチハ!」

「ん? どうしたの。交代が来るまで中にいないと」



 不思議そうな一葉の手を握り、彼女とレイラをしっかりと見つめてアリエラは真剣な声を出す。



「くれぐれも気を付けて。怪我をしないように帰ってきてくださいね」



 何事かと思った2人はふっと微笑む。一葉はアリエラの頭を軽く撫で、レイラは生真面目な表情で頷いた。



「問題はありません。すぐに帰ってきます」

「そうそう、すぐだよ! アリアこそ自分に護衛が必要だってこと、忘れないようにね?」

「いつまでも以前の私ではありません!」



 冗談交じりの一葉へ笑い混じりに膨れてみせると、アリエラはすぐに執務室へと戻っていった。

 一葉たちと言えば執務室の前を護る騎士の激励も受け、それぞれの私室へと向かうのだった。








 王都から半日という、アーサー王たちから伝えられていた情報に間違いはない。高い音の6刻より少し前に、一葉たちを乗せた馬車はラーオ村へ到着した。

 申し訳程度の防御柵と西側にある小さな森、そして寂れた家々だけが特徴という、これと言って特別ではない村。その入り口で出迎えたのは、ゼストやゲンツァと同年代であろう初老の男性と、40から50歳ほどの防具で身を固めた男性の2人だった。

 一葉たちを見てどこかホッとしたような初老の村長とは逆に、駐留衛士小隊の隊長は一葉たちに対して懐疑的な視線を送っている。



「失礼、あなた方は……」

「私は近衛騎士団所属、レイラ=ルーナ=アーレシアです。それから相方のイチハ=ヴァル=キサラギです。私どもはアリエラ王女の護衛という通常任務に就いておりますが、何か問題でもありますか?」



 王宮での反応から何となくの想像はしていたのだが、やはり彼も一葉の事を信じるに値しないと思っている様子である。



(うーん……女子供が何しに来た、帰れ! ってところかな。ま、残念ながらチェンジはきかないんだけどね)



 一葉が観察しているうちに一応は受け入れることにしたのか、渋々ながら会釈を送ってくる。



「申し訳ありません。お2人ともお若い方でしたので、驚いてしまいまして……。どうぞよろしくお願いいたします」

「イチハ=ヴァル=キサラギです。何かのお役には立ちたいと思っていますので、よろしくお願いします」



 歓迎されてもいないのに、自分から下手に出るのも気が向かない。一葉は何となく挨拶を流した。頃合いを見計らっていたのか、会話が切れたところへ村長の声がかかる。



「それではこちらへどうぞ。今、おふたりの部屋を村民が用意しているころだと思いますので、まずは我が家へ。お疲れでしょう? 少しばかり休んでから宿舎へ向かわれてはいかがでしょうかな」

「……すみません、お言葉に甘えますね」



 どうやら衛士たちが暮らす宿舎の整備は村民へ委託されているようだ。それならば仕事を奪うこともあるまいと判断し、村長からも色々と話を聞くためにも一葉たちは彼の後に従った。

 村長宅へと向かう道すがら、辺りを探った一葉は何気なく靴音を鳴らす。それと同時に魔力が2人のまわりを取り巻いたのだった。




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