14話 君の願いを叶えるために
美知は好奇心旺盛で、手をつないできたり、
「キス、してみる?」なんて冗談めかして言ってきたりもした。
正直――俺の心を試されてるようで不安だった。
それでも美知に触れる事がとても幸せで
その全てに俺は本気で答えた。
彼女のその好奇心が満たされたら、
次があるのかーーわからなかったから。
俺が無害な男のフィルターをしてから一年が過ぎた頃。
美知と激辛ラーメンを食べてむせてしまった時の事、背中をさすりながら
「結婚してあげよう」と情けをかけてくれた。
冗談だってちゃんと知ってたが、真面目に答えた。
美知は特に訂正する事なく、何も言わなかった。
焦ってた俺はすぐに婚姻届を取りに行きサインした。
美知は入籍する直前も入籍後も特に変わりはなかったが本当の気持ちを確かめるのが怖くて
俺もいつもと同じように振る舞った。
この結婚を少しでも長く続けたかった俺は、すぐに家を建てることにした。
幸い美知も賛成してくれて、新婚生活を始める為の買い物中。
「子どもほしいなー」
その言葉にどんな意味が含まれてたのか。
ただ言ってみただけなのか、女性としての本能なのか。
俺には想像は出来なかったが、入籍した日に心の中で誓ってた。
(美知の願いは絶対に叶える)
俺は、美知としか結婚出来ない。
美知は俺じゃなくてもきっと結婚できる。
どんな思いなのかは分からないけど俺を選んでくれた。
そんな美知を不幸には絶対にさせない。
営業成績を上げて、稼いだお金を美知に全て捧げるんだ。
美知の言うことは何でも聞く。
俺の気持ちを伝えるなんておこがましい事なんてしない。
でも、誰にも美知を渡したくない。
ずっと俺のそばで笑ってて欲しい。
こんな薄汚い俺の心を知られてはいけなんだ。
美知は器用だから、俺が出張の時も一人で美月のお世話をしていた。
普段通りいつも明るい顔。
律が産まれても、子供達と居る姿がとても幸せそうだった。
上手くやれてると思ってた。
このまま幸せが一生続くと錯覚していた。
「離婚しよう」と言われた時はあまりに突然で、一瞬戸惑った。
美知の願いは全て叶える。その誓いを俺は忘れなかった。
今まで最高の幸せをありがとう。こんな俺にはもう二度と訪れない至高の幸せだったんだ。
「分かった。離婚しよう。」




