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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
最終章 来訪者

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3-9.千年の妄執

ジーンと佳澄はベンジーに呼び出され、ナレカサル村にきていた。

村の彼の家で車座になって座る。

ジーン、佳澄、ベンジーの他に男女二人がその場に顔を揃えていた。

この二人は若い、10代半ば位に見える。

「わざわざ呼び立ててすまない。」

「構わないが、この二人は魔王か?」

「はい、そうです。私はパブロ、彼女はハナ。」

「魔王は年を取らないと聞いていたが本当の様だな。」

「ああ、アナ・ハルナで大災害を生き延びたものはそうだ。」

ジーンは、ベンジーに視線を向ける。

彼はこの20年で少し老けた。

「私の時が動き出したのはここに根を下ろしたからだろう。」

「他の方でも自身の守り神と共に村や街で暮らすものはゆっくりですが時が流れています。」

「私達の様にさ迷うものはこの様に時が止まったままですが。」


「貴方達はどこかで暮らそうと思わないのですが?」

二人とも首を横に振った。

「私達は故郷の村に帰ると決めています。」

「貴方方の村はどこに?」

「私達の故郷はベンジーと同じアナ・ディアの近くにあります。」

「ベンジーのディアーラとは反対方向ですが。」

「私達はアナ・ディアが復活するまで村々の守り神に祈りを捧げていくつもりです。」


「それで?彼らと引き合わせてどうしたいんだ?」

ジーンは再びベンジーに視線を向けた。

「会わせることが目的じゃないんだろう?」

「ああ、二人はアナ・エルダのカール、ナフタ、サーシャと大災害前から知り合いだった。」

疑問符を浮かべてベンジーを見る。

「今名前を挙げた三人、法王国を襲撃して法王他を殺害し、廃都を滅ぼしたのはこの三人なんだよ。」

「道化師は?」

「道化師?ああアモンか。彼は関与していない。」

「知っているのか?というかあいつ、アモンと言う名前だったのか・・・」

同情したみたいにベンジー、パブロ、ハナが苦笑いを浮かべている。

「彼から君の話は聞いていたよ。」

「どんな話だよ?」

「それについてはアモンから聞いてくれ。近い内に顔を出すと思うから。」

「分かった。続けてくれ。」


「アナ・エルダ、ディア、ナタリの者はお互い動物の化身を守り神としていることもあって何かと交流があるんだ。」

「簡単に言えば若手を集めて交流戦みたいことを良くしていたんだよ。」

『オリンピックみたいなもの?』

『そうじゃないか?』

ジーンと佳澄は念話でこそこそ会話する。

「私達はそこで三人と知り合って勝ったり負けたり色々ありました。」

「大災害の時、私達はバーンに入って難を逃れました。」

「大災害の嵐が収まった後、私達やベンジーさん、アモンさん他沢山の人達はアナ・ハルナの台座を穢したものを破壊しました。」

「対する三人はアナ・エルダから神聖帝国を抜けて東ハーレンに行きました。」

「そこでリアナを食い散らかすレナ・カサルの機械をみて破壊活動を始めました。」

「そこまでは私達も理解できるんです。実際、台座で私達もあれを破壊しましたから。」

「分からなくなったのは法王国に行ってから、いいえカタコンペに入ってからなんです。」

「憎しみに駆られて生き物を殺すなんて守り神様が良く思う訳ないんです。」

「生きる為、必要な分だけ狩りをすることは神様もお許しくださいます。」

「生き延びるために敵を倒すことも同じです。」

「ただし、奪った命に対し敬意を払い、不必要に奪わないように自身を戒める。」

「それが私達の在り方なのに・・・」

「彼らは変わってしまったという訳か。」

「私達の知る元の三人なら絶対しないことです。」


「貴方方はカタコンペに入ったのですか。」

「はい、でも彼らが変わってしまうようなものは見つけられませんでした。」

「そこにトリスタンやトリムに関わるものはありました?」

「棺はありませんでした。だた・・・」

「ただ再奥の間に聖人トリスタンに祈りを捧げるトリムの絵が描かれていました。」

「どういう姿で?」

「お見せした方が早いでしょう」といって手を差し出してきた。

パブロの手をジーンが、ハナの手を佳澄が取ると頭に一枚の壁画が浮かび上がる。

老人のトリスタンに少年のトリムの姿が見える。

「お二人の知る三人の姿も教えて頂けますか?」

「分かりました。」

大災害前、法王国に行く前、行った後・・・

確かに大災害前と行く前は繋がりが感じられるが行った後は別人のように気配が変わっている。

「この三人以外で変わった方は?」

二人は首を横に振る。

「私達の知る限りいないです。」

ペンジーを見ると同じように首を振った。


その後色々話をしてパウロとハナと別れた。

帰り際にジーンはペンジーを見る。

「これを伝えたかったのか?」

「ああ、私は昔を知らないし、法王国にも行ってないからな。」

「ところで今の絵って有名なの?」

「町中にある一般的な教会の聖堂では描かれてないな。」

「修道院で修道士しか入れない場所とか、今みたいな地下墓地では結構描かれていると聞いている。」

「ジーンも知らないんだ。」

「ああ、断罪派のせいで教会は鬼門で近づかないからなあ。」

ベンジーにお礼を言って、アレストリアの飛行場に向かう。


現在はアレストリアから飛行船がヤーレやアナ・ハルナの各都市に1日に何本も出ている。

二人はアナ・ヤーレに向かう飛行船に乗った。

『二人の話を聞いてどう思う?』

『再奥の間に何かあったんだと思うけど、自分達で調べに行けないのがネックね。』

『何があったと思う?』

『・・・トリムの怨霊・・・』

『・・・。ある訳ないと言えないところが辛いな。』

『トリムが生きている可能性があると思う?』

『無いと言いたいが狸寝入りや冷凍睡眠を駆使すれば可能だと思う。ただ・・・』

『ただ・・・?』

『大量のリアナが必要だ。』

『・・・』

『・・・』

『トリスタン教会で祈りを捧げるとすごく幸せな気分になるってゼ・ドナで会ったトリスタン教の信者の人が言っていた。』

『それで?』

『リアナを吸収する際、ドーパミンとかの幸福を感じる何を与えて信者を集めていた。』

『そしてそれに依存するようにさせたと。だがそれで足りる量じゃないぞ』

『・・・』

『どうした?』

『200万人分のリアナ・・・どこに行ったんだろうね?』

『おい?今話題にしているのは100年前の話だぞ。』

『二人の話にあった台座を穢したもの・・・それがリアナをどこかに送り込むものだったとしたら?』

『その送り先は法王国?マーデが狙ったすればマーデだと思うが・・・』

『トリムが生きていた時代に聖印が作られたって話だよね?そして聖印は信者のリアナを集めて大地に還元する機能がある。』

『集めたリアナがすべてが大地に還元されたとは限らない・・・トリムを生かすというか残すために使用されたとすると有り得るか?』

『今のジーンみたいに本体をどこかに保存して生きている人間を乗っ取るなんていうスキルは存在すると思う?』

『あり得ないとは言えないな・・・そう言えば法王になると人が変わると言う話をジルフォードから聞いた覚えがある。』

『・・・』

『・・・歴代の法王はトリムの操り人形っていうケースも考えていた方が良さそうだな・・・』

『嫌なこと思いついた。』

『何だ?』

『前に聞いた話、レナ・カサルの巡回牧師って元々法王国の生まれでレナ・カサル生まれは聞いたことが無いって』

『法王国に送られたレナ・カサルの神の子がどうなったか?そう言えば神に捧げられたとかいう話もあるな。』

『神に捧げる・・・リアナを奪われたって考えると奪ったのはトリムじゃないの?』

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