表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
最終章 来訪者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/105

3-8.今後のこと

獅子の目覚め:作者 トーリ・サイデン

大災害から30年後に発生した虐殺事件を元にしている

タイトルはレナ・カサルに伝わる寓話

とある城塞都市で市民の少年がついた嘘がきっかけで、辺境民や外周区スラムの住人の迫害が発生

魔人狩りと称してスラム住人の虐殺が横行した

実際に殺されたのは異能者ではなく一般人、その数は問題の起こった10都市で数千から数万と言われている。

その後、特に酷かった3都市はモンスターの襲撃で壊滅した。


アナ・バーンの復活を確認するとジーンと佳澄はソル達と別れ、アナ・セドンに向かった。

ルーとモロゾフはあの赤い空の下に連れて行きたくないので一旦シル・ヤーレに戻す。

一頭と一羽は文句を言うものの大人しく従った。


アナ・セドンの位置は既に調べてあることもあり、迷うことなくアナ・セドンに入り、コアの再起動を行う。

これで5つのコアが復活した。

赤い空の下でも緑が戻り始めている。


詳しい話を聞く前にまた視線が揺らぐ。

ジーンと佳澄は日本に戻ってきた。

『ジーン?』

『・・・ああ、何でもない・・・いや何でもあるか?』

『どうしたの?』

『何となくだが移動する方法が見えてきた気がする』

既にこうやって移動すること数十回を超える。

佳澄には移動するタイミングや方法はさっぱりだがジーンは何か掴んだらしい。

『本当!』

『まだ取っ掛かりが見えたというだけだ。焦るな。』


暫くして連休を利用して寛が帰ってきた。

和やかな夕食の後、居間で家族揃っての家族会議が始まった。

ジーンが現在の向こうの状態を簡潔に報告。

「危ないことをしないでよ。」

と頭を抱える父と母、悟は肉塊の話に気分が悪くなったのか真っ青な顔で口元を抑えている。


「ワイズマンシステムが落ち着いたら残りのコアを再起動する。」

「あら、場所か分かるの?確か神殿の封印を解かないといけないんじゃないの?」

「コアが5つ再起動したことで残りを余所から再起動できるようになった。」

「その権限があるのは私だけなんだけどね。」


「エマルドでコアが作れるようになった。」

「作れなかった原因がハーレナ語の神代文字を使ったことだった・・・ってオチ。」

「どういうこと?」

寛の言葉にジーンが答える。

「自分達の言葉じゃないものに祈りを込めても神に届かなったってこと。」

「要するにエマルドの言葉を刻んでエマルドの言葉で祈りを捧げたら神に届いてコアとして機能するようになったの。」

「今はリアナの循環が始まって神の力がエマルドに届くようになったから神を意識しやすくなったんだろうな。」

「元々神の加護がある土地だし。」


「後、100年前の大災害がマーデが原因だってというのは確証が取れた。」

「具体的には?」

「マイセン家の記録でバーンを越える飛行艇の開発と運用。

ここまでは良いとして、大災害発生当日、試作機が山岳地帯を越えてアナ・ハルナに侵入。

その後行方知れずになったという記録が残っていた。」

「次に教会側の記録で教会が開発していた何を横流ししてマイセン家に渡したという供述調書も見つかっている。」

「信用できるものなのかい。」

「作為が全く無いとは言わないけど、マーデ崩壊で無人となったマイセン家の隠し倉庫や教会の封鎖書庫から見つかった情報だから資料としては信用できるんじゃないか。」

「金庫とか開けるのジーンでも相当手こずってたし。そういうところに隠されていた資料だから表沙汰には出来ないものだったと思う。」

「横流しされたものを積んでいたかどうかは状況証拠しかないのが弱いんだけど。」

「教会が開発していた何かについては記録が全て破壊されていて今、ヤーレで解析中。」

「教会で見つかったミイラの原因と同じ系統らしいってことは分かっているみたい。」

「そもそも教会のミイラって何が原因だった?」

「聖印を使って人の持つリアナを急激に吸い上げどこかに送った結果、吸い取られた人間がミイラ化した。」

「・・・」

「元々聖印にそういう機能を持たせていたんだよ。」

「そうやって奪ったリアナを周辺に撒いて土地を活性化するのが教会のやり方だった。」

「祈りを捧げてリアナを活性化するのはアナ・ハルナも同じなんだが、自発的なのと強制的に奪うのじゃなあ。」

「一応、神に祈りを捧げて土地に恵みをもたらすというのは説明されているんだけど、命まで取られるのは納得していたのかな?」


ここで一旦お茶を飲んでテーブルの上のお摘みに手を出す。


「トリスタン教の目的だがどうも神の加護をレナ・カサルから追い出すことみたいだ。」

「元々、レナ・カサルにも数は少ないしそう強い訳ではないけど何柱かの神々がいたの。」

「初代皇帝のマーデがアナ・ハルナに行ったのもそういう神の啓示があったから。」

「そういう土着の神を追い出したのが獅子の目覚めの元になった寓話の出来事。」

「獅子を追い出すように仕向けたのは牧師の発言なのよね。」

「牧師・・・なるほどトリスタン教徒って訳だ。」

「トリスタン教はアナ・ハルナや海洋国じゃ布教らしい布教はしてないし、エマルドへの布教も大災害後からだ。」

「トリスタン教が布教活動していたのはレナ・カサルだけなのよね。」

「レナ・カサルに恨みでもあったの?」


「あったんだよ。」

「トリスタンや教祖のトリムが世話になったクィーグの村はバーンの加護を受ける村なの。」

「今回、アナ・バーンの再起動をした後、ソルに記録を調べて貰ったんだ。」

トリスタンと教祖のトラムとその母の話を話す。

「マイセン家ってレア・マーデの元首だったところだよね。」

「ああ、神聖帝国を追い出した家の一つでもある。そして色々強引で悪い噂も多い。」

「向こうでマーデの一件の新聞記事を色々読んだけど、マイセン家を擁護する意見、殆ど無いのよね。」

「後トーリ・サイデンの星祭の唄が丁度トリムがレナ・カサルで布教し始めた頃なんだけど・・・」

あの話でも生贄事件の黒幕にマイセン家が居そうな気配がある。


「だけど・・・トリスタンやトリムが生きていたのって1000年以上前だよね?」

「そんな昔のことを今も引き摺っているのかな?」

悟の言葉に佳澄はユダヤ人の例を出した。

「エルサレムがユダヤ人の土地だったのは2000年前よ・・・」


「トリスタン教の文字ってトリスタンの故郷の文字だよね。」

悟の言葉に皆の視線が向いた。

「レナ・カサルの公用語と似ていると思うけど何か理由があるの?」

「トリスタン教の布教によって元々あったレナ・カサルの言葉と神聖帝国時代のハーレナ語と混ざって今の公用語が出来たって話だ。」

「3つがブレンドされているんだ。」

「ハーレナ語もエマルドの公用語も元は表意文字だからな。」

「今のハーレナ語は表音文字も多少混じっているけど。」


「法王国の聖印とレナ・カサルのコアについてなんだけど。」

佳澄の言葉に視線が手元の紙に移る。

「セドンやバーンのところの資料とギルドやマーデから押収した資料を調べてみた。」

「法王国の聖印は時代が変わっても聖典の修飾文字が使われている。」

「レナ・カサルのコアは初期はトリスタン教の修飾文字が中心で、時代を経るとと同時にレナ・カサルの公用語が中心になる。」

「大災害当時は殆どがレナ・カサルの公用語で最近はトリスタン教の修飾文字が増えてきた。」

「教会の影響力の違い?」

「それもあるだろうね。でも気にしたいのはそっちじゃないの。」

「トリスタン教の修飾文字に比べてレナ・カサルの公用語がメインの方はリアナを食い散らかす傾向が強い。」

「魔人達がレナ・カサルの都市を攻撃したのはこれが原因だ。」

「エマルドやレナ・カサルの砂漠化はコアがリアナを食いつぶすことが原因で起こっている。」

「新しくエマルドで作られたコアはアナ・ハルナのコアと同じで共振を利用しているから食いつぶすことはない。」


「そういうことが分かったんで、レナ・カサルのコアは全面使用停止を各都市は決定した。」

「流石に一斉に停止すると影響が大きいから新規製造は禁止、現在稼働中の物は5年以内に停止と破棄することで合意したって。」

「おかげで神聖帝国が滅茶苦茶忙しい。」

「なんでそこだけ?」

「海洋国は元々小型のコアしか作ってないから需要が増えたと言ってもそこまで酷くない。」

「アナ・エルダや他のアナ・ハルナの都市は自分のところの復旧を優先しているからそっちには巻きまれてない。」

「エマルドはやっと自分達のコアが作れるようになったばかりで自国の需要を満たすだけの力がない。」

「コアの刻印の方はヤーレや他の街でも出来るけど都市用のコアそのものを作れるのは神聖帝国だけだからね。」

「まあ、忙しいと言っても1年もすればアナ・ハルナの他の都市が参入してくるから落ち着くと思うけど。」


家族会議が終わる頃、悟から発言があった。

「風の生まれる場所、学校に寄贈しました。」

「自分が仁悟だって話したんだ。」

「はい、姉さんに聞いた通り、生徒指導の先生に話を付けました。」

「何か言っていた?」

「似てないって・・・」

悟の表情が苦笑で嫌な感じがしないことに佳澄はホッとする。

「姉さんの言った通りの人ですね。

どうしたいか僕の希望をきちんと聞いてくれて希望に合わせた提案や条件も教えてくれました。」

今まで小中学校で何かと寛や佳澄と比べられ悟が苦労していたことは知っている。

「良かったな。」

「はい!」

嬉しそうな悟に寛が頭を撫ぜると一瞬固まったものの大人しく撫ぜられていた。

「それで、どうするの?」

「僕が弟であること、仁悟であることは当面伏せることにしました。」

「そう、こっちも口留めしてあるけど、継続ということで良いのかな。」

「はい、それでお願いします。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ