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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
最終章 来訪者

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3-5.トリスタン教

部屋に戻って宿題を片付けているとジーンが声を掛けてきた。

『少し良いか?』

『5分待って、これを解いたら終わるから。』

少ししてPCを立ち上げビデオチャットを開くと画面には寛とジーンが写っていた。

「頼まれていていた件、残念だけど反応なしだよ。」

寛の言葉にジーンが頷く。

「ご勝手サイトも同じだ。」

ジーンは日本に戻って直ぐにトリスタン教の聖典の一部を公開し、クイズ形式で聖典の解読を展開した。

結果はイベントとして盛り上がったがこの文字を知っている、この内容を知っているという情報は出てこなかった。

ご勝手サイトは大喜利状態で面白かったが・・・

「似ているって上がった内容を調べたが・・・かすっている程度で参考にならん。」

「前に調べた時も出てこなかったし、トリスタンはここの出身じゃないと思っていいのかな。」

トリスタンとダリが来訪者と知って改めてこっちとの関連を調べてみたが外れのようである。


「調査内容を見るとトリスタン自身は悪い人って感じがしないね。」

トリスタンは向こうであちらこちらを放浪している。

その行動範囲は広く、エマルドやレナ・カサルも含まれていた。

1000年以上昔であることを考えるとよくぞここまでという位広範囲を訪れている。

訪れた街や村では熱心に治療活動や農業支援などを行っており聖人として敬意を払わていた。

「問題があるとすると彼の義理の息子か。」

高齢となったトリスタンがレナ・カサルからハーレンに戻る途中に拾った母子。

記録には詳しく書かれていないがどうやら禁忌を犯して住んでいた場所を追われていたらしい。

母親は最初の村で数年後に野獣に襲われた息子を庇って死亡していた。

それから10数年後にトリスタンも病死している。

こちらは老齢によるもので不審な点はない。


「残された息子はトリスタンの業績を知る旅に出て、彼の残した言葉を聖典としてトリスタン教を興した。」

トリスタン教の聖典はハーレナ語とは異なりトリスタンの故郷の文字で記されている。

レア・マーデの教会で見つけたミイラの持っていた聖印はこのトリスタン教の文字が刻まれていた。

修飾文字だったので解読に苦労していたがこちらに戻る直前に判明している。

・聖者の復活

・祈りを一つに


「聖者の復活の為に祈りを一つに」

「復活と言うとキリスト教を思い出すけど・・・」

旧約聖書のイエス・キリストの復活劇

向こうには虐げられたユダヤ人も居なければローマ軍もない。

「言葉だけを見ると似ているが状況が違い過ぎる。」

「トリスタンの死因は老衰だっていう話だし。」


トリスタン教の主神は大いなるものと言っているが実際は聖人であるトリスタンを崇める宗教だ。

巡回牧師はこのトリスタンの生前の活動に因んで行われている。

「こっちじゃ人が神になるって珍しくないけど。」

アナ・ハルナも人が神の眷属となりやがて神の一柱になったという話は結構出てくる。

風神に認められ、やがて歌と踊りの神になったシレアが良い例だ。

「神聖帝国初代皇帝マーデもレナ・カサルじゃ神様扱いだし、実際にエルダの眷属になってるしな。」

しかし、トリスタン教は大いなるもの一柱のみを崇め、その聖人であるトリスタンのみを尊ぶ。

その思想は多神教で複数の神々に敬意を払うアナ・ハルナやエマルドとは大いに異なる。


「記録ではトリスタンは土地に住まう人々や神々に敬意を払っていた。」

「トリスタンが旅をしている間に大いなるものなって話は一つも出てこない。」

「大いなるものが出てくるのは義理の息子が旅をするようになってからだ。」

聖印に刻まれた言葉は聖者トリスタンの復活を願うもの

それ自体は不思議でも何でもないが・・・

「まだ情報が足りないね。」

「そうだな。」

「こっちも何か関係と言うかヒントになりそうなことを調べておくよ。」

「お願いします。」


現在、トリスタン教の主だったものは一部の巡回牧師を除き法王国に引き籠っている。

各都市からの追及には一切応じていない。

レナ・カサルの街や村の小さな教会はレア・マーデの事件以降閉鎖されたところも多い。

閉鎖されていない教会は周囲から白い目で見られつつも祈りを捧げる日々を送っている。

佳澄の小説の中でもトリスタン教は二面性を持つ宗教だ。

村々を回り医療や教育を施す巡回牧師はレナ・カサルでは非常に歓迎される存在だ。

余所の情報をもたらすという意味では行商人もそうだが彼らは子供達の教育まではしない。

かと思うと20年前のアレストリアで猛威を振るった犯罪者はトリスタン教徒であり教会の意を受けて動いていた。

一番厄介なのは断罪派と言われるテロリスト。

異能者を殺せ、滅ぼせと言って無差別テロを繰り返したので異能者の多い神聖帝国、海洋国ではトリスタン教徒は出入り禁止となっている。

ヤーレなどの城塞都市も同様だ。

東ハーレンでは巡回牧師はいない。というより何人かの巡回牧師がテロ行為に及んだのでどこも受け入れを拒否している。

断罪派が異能者と一般人の区別がつかないのと同様にトリスタン教徒が断罪派かどうかの区別がつかないのだ。

その為、法王国の出入りは船か飛行船になっている。

陸地で繋がるゲートは許可を得た行商人が商品を運ぶ位だった。


ジルフォード卿はその現状を変えようと動いてた一派だった。

彼は法王国内の断罪派の封じ込めを行い、それなりの成果を上げている。

法王国内でも断罪派は時代遅れと見なす風潮が強まっていた。

1年半前、ジーン達が法王国経由で仕事をしたのはその流れを方向付けるためのものだった。

その流れは断罪派のテロ行為とジーンの行方不明事件で中断し、ギルド側は様子見している。


「そう言えば断罪派がってどういう経緯で生まれたの?」

「?そうかそう言えば説明してなかったな。」

「僕も知りたい。」

「断罪派っていうのは大災害後、魔王による法王国襲撃事件が切っ掛けで生まれたんだよ。」

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