断章3.ダリ
街が燃える。
滅びに向かう惑星の最後のあがき
ある国は敵対する国に病原菌をバラまき、共倒れした。
ある国はエネルギーを求めて地下を掘り、大地震を引き起こした。
ある国は空に救いを求め星の外へ旅立ち、残されたものは地上で喘いでいる。
そしてここでは賢き王、優しき王が禁呪に手を出した。
民を一つにしてこの危機を乗り越え再生を果たそうとする。
周りの賢者や忠義ある者の言葉を聞かず、実行された術は失敗した。
愚かな王、死霊の王は生者を飲み込み一つになって周囲を蹂躙していく。
ここに楽園はない。あるのは地獄だけ。
せめて魂だけは逃れようと銃を手に取り銃口を心臓に向ける。
引き金を引こうとした瞬間視界が揺らいだ。
空が青い。
昔の映像でしか見たことのない青い空が広がっている。
周りの気配が穏やかで呼吸が苦しくない。
銃口を下ろし深呼吸する。
肺に涼やかな風が流れ込む。
「ここは天国か?」
手に持った銃の重みが夢ではないことを訴えかけていた。
『ようこそ、お客人』
気配はなく、頭の中に声が響く。
周囲を見渡すと白と黒の二色を巧みに使った見慣れぬ衣装の若い男が近付いてくる。
『私はソマ、貴方は』
敵意が無いと示すように両手を広げ、優雅に礼をした。
「私は、ダリ、ここはどこですか。」
『ここはアナ・ハルナ、失礼ですがお手の物を預からせて頂けませんか。』
「あ、ああ」
この場所でこれを持っていることが恥ずかしくなった。
本来ならば手放すべきではない銃を素直に相手に差し出す。
男は何もないところかはケースを出して銃を仕舞って留め金を閉じる。
そしてそのケースを自分に差し出してきた。
『どうぞ』
「えっ良いのですか?」
『貴方のものでしょうか?この子達が嫌がるので箱に仕舞いましたが』
そう言って自分の肩のあたりに視線を向ける。
そこには何もいない・・・
『お話を聞かせて頂けませんか?』
「ああ・・・」
そうやってダリはアナ・ハルナの客人になった。
ダリは帰ったら死ぬしかないので帰る気無し
この世界での自分の居場所探しをしていきます。




