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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
間奏曲2 小説の世界

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とある少年の独白

二つをあわました

彼がそのドラマを見たのは気になる子が話題にしていたからだった。

深夜に放送されていたそのドラマは田舎町の日常を丁寧に追っていて過激なシーンも、急激な展開もなかった。

なのに目が離せずずっと見続けた彼はやがてそのドラマがとある小説のスピンオフ作品だと知った。

年が明けてその小説のアニメが始まり衝撃を受ける。

自分が大好きなあのドラマとは似ても似つかぬ物語だったのだ。

それでもあのドラマとの関係が気になって見続けると主人公達がドラマとしてあの物語を見ていたり原作の本を読んでいることに気が付いた。

アニメの中で主人公達が見ているのは第8シーズン、自分が見ていたドラマは第3シーズンだということも交流サイトの情報から知った。

彼は結局そのままアニメを見続けた。


そして最終話、ラストシーンでさらなる衝撃を受ける。

ドラマの舞台は廃墟となっていたのた。

交流サイトを覗くと原作小説のファンからそしてドラマを演じていた俳優からあのドラマは滅びた街への鎮魂歌なのだと知った。

俳優のコメントにはドラマを演じる前に原作者からこれがどういう背景を持つ物語なのか知った上で演じてほしいと言われたそうだ。

そう言って渡された原作小説はアニメを見た時に自分と同じように関連が分からず首を傾げた。

それでも読み進めて知ったラストシーン、半端な気持ちでは演じられないと気合を入れたのがあのドラマだった。

それだからだろうか自分があのドラマに惹かれたのは。

なんてことないありふれた田舎町の出来事、特別なことは起こらない物語に退屈だと思いつつ目が離せなかったのは


彼はネットでその小説を探したものの電子版は無く、かって存在したWebサイトは書籍化の際閉鎖されたことを知った。

図書館で探すものの元々大手出版社の本ではないのでそもそも置いてないかあっても貸し出し中で書店で本を買うことにした。

彼が手に出来たドラマのシナリオは第5シーズンまで、アニメで見た第8シーズンはなく、主人公達の読んでいる原作小説も発行されていない。


そうこうする内に交流サイトから原作の出版社の特設サイトで原作の一部が読めることを知った彼は困惑する。

彼の知りたい内容は有料会員向けで会員登録と課金をしないと読めないのだ。

そのサイトはアニメの原作ファン向けのサイトであってあのドラマのファンサイトではない。

迷ったものの1日だけの制限付き無料お試し登録をして特設サイトを見て絶望を味わうことになる。


確かに彼の読みたい原作を知ることは出来た。

原作はアニメの世界の言葉であるハーレナ語で書かれていて読めたのはその一部を抜粋した原文と最優秀となった翻訳だけ。

全文を読みたければ翻訳オーディションに参加するしかなく、しかも1章から16章までは既に応募を締め切った後だった。

最終年の17章から20章は応募受付中だったが参加資格は有料会員のみ、お試し会員の彼には参加資格はなかった。


彼は迷った大いに迷った。

が、原作を読みたいという誘惑に勝てず有料会員となりオーディションに応募する。

締め切りまでに何とか自身の翻訳を受領してもらい、17章だけ全文読む資格を得た。

結果彼は大いなる満足と絶望を味わうことになった。


トーリ・サイデンの文章の見事さにそして今の彼には外の話を読むことができないことに

何故もっと早くこのサイトに気付かなったか

アニメの存在を知った時点なら5章以降の小説を読むことができたのに。


彼は今も特設サイトの有料会員を続けている。

そして原作小説の出版または翻訳オーディションの再開を待ちながら。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


それから半年後がたった。

彼は家に着くとスマホからいつもの特設サイトを開く。

このサイト、ちょくちょく1日限定公開の情報を出す。

内容は作品に関するちょっとした情報だったり、ドラマ出演者のメッセージだったり、何かの募集だったり

この1日限定公開情報は再公開されないので逃すともう二度と見ることはできない。

彼は既に何度かドラマ出演者のメッセージを見逃し悔しい思いをしている。


残念ながら今日は一日限定公開情報は無かったが彼がずっと待ち望んでいた情報が掲示されていた。


~~~~~~~~~~~~~~~

トーリ・サイデン作ハーレナ語版 風の通り道発売速報


皆様の強い要望にお応えし、トーリ・サイデン作ハーレナ語版 風の通り道を弊社サイトにて販売することになりました。

第一弾として本サイトの有料会員様に先行受注販売を開始します。


販売するのは以下の通りです。

・翻訳オーディション優秀者に進呈した1章毎の小冊子

・各原稿の最優秀者に進呈した完全版挿絵付き

・上記完全版に設定資料他を付けた特装版

・特装版の内容を包含したハードカバー版

・ハーレナ語辞書(トーリ・サイデンの他の小説で使われている言葉を含む第2版)


ご希望の方は以下のURLより申し込みサイトにお繋ぎください。

送付時期については別途公開します。

なお、申し込みサイトより申し込みをした時期により商品の発送時期が前後する可能性があります。

~~~~~~~~~~~~~~~


彼は震える手で申し込みサイトに移動、悩んだ末、辞書と特装版を申し込む。

支払い方法はクレジットカードが使えないので着払いにした。

申込番号は1590番、1時間程前に公開されたのに既に申込者は千人を超えていた。


もう一度このサイトを開くと頼んだ商品は選択できないようなっている。

彼は注文時に読み飛ばした画面の下の方を情報を確認した。


~~~~~~~~~~~~~~~

トーリ・サイデン作の出版要望アンケートの回答のお願い


以下の小説のハーレナ語版の出版を計画しています。

貴方はどの作品が読みたいですか?

・海神の贈り物

・星祭の唄

・聖者の左手

・龍の咆哮

・三枚の硬貨


読みたい順に3つお選びください。


また上記以外で読みたい作品があれば以下の欄に記載をお願いします。

~~~~~~~~~~~~~~~


彼はここで考える。

あらすじだけ紹介されていた聖者の左手は外せない。

次は星祭の唄、これも外せない。

最後の一つはどうしよう・・

彼は悩んだ末に一つの作品を選ぶ。

最後のコメントは古城の見た夢と書いて応募した。


アンケートが受理されると現在の回答状況が表示される。

ダントツトップは聖者の左手だった。

2位は3位と僅差で星祭の唄、3位は自分が選ばなかった龍の咆哮となっていた。


欄外の回答はバラエティに富んでおり、彼に希望した古城の見た夢もある。

中にはそんな作品はありませんと公式から突っ込まれるものも・・・

彼は商品の到着を楽しみに待つことにした。


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