2-16.貴方の魂が母なる海に還れますように
絵にすると相当グロテスクなシーンが続きます。
弱い方は読まないでください。
教会方面に向かうまでのエピソードを加筆
城塞の中から出てきた肉塊を見てジーンは自分と人形師の人形以外は遠隔攻撃を指示。
城塞を囲む者たちにはそれらが外に出てこないように牽制することに専念させた。
リオン達は周辺の村を巡回し、異常の確認をさせる。
モロゾフはリオンに同行、ルーには人形師本人の護衛を指示した。
「危ないと思ったらそいつを咥えて逃げろ。」
分かったと一声吠えるルー、隣の人形師は情けない顔をしている。
外に出ようとしていた肉塊はジーンが叩きつけた衝撃波で中に吹っ飛んでいった。
ひび割れから城壁内に入った二人は大小様々な大きさの肉塊が触手を伸ばして路上の死体を取り込む様を見た。
そこへカミラが放っていたギルドの密偵が姿を見せる。
彼らは内部の様子を報告すると、肉塊の開けたひび割れから外に脱出していった。
隠密行動で観測に努めていた密偵達も全員無事ではなく、何人かは流れ弾で死亡したとのこと。
城壁内部は地獄絵図が展開されていた。
肉塊達は共食いと言うか同士討ちを繰り広げていて負けた側が勝った側に取り込まれていく。
ジーンが倒した肉塊も別の肉塊に取り込まれる。
そこで二人は倒すと同時に油を掛けて燃やすことにした。
「なんでそんなもん持っているんです?」
「何かに使うだろうと思って色々突っ込んでいたんだがな。」
人形師の突っ込みに答えながら肉塊に何かを投げる。
それが取り込まれたことを確認して爆発させた。
「導火線無しの爆弾ですか。」
「ああ、備えあれば憂いなしだ。」
普段なら異能を使うのだが今回は長期戦が予想される。
気力・体力の消耗は可能な限り避ける方向で対応することにした。
まだ無事な人間達を城塞の外に誘導しながら様子を見ていると、肉塊達は何かに引き寄せられるように中心に、レア・マーデに向かっていく。
「どういうことでしょう?」
「さあな。行ってみればわかるさ。」
レア・マーデには四方八方から肉塊が集まってくる。
悪夢のような光景に人形師がぼやく。
「今日は祭りなんですかね?」
「さあな。ほれ、さっさと油を掛けろ。」
人形師は自身の収納内の油を掛ける。
人形の整備に使う潤滑油だ。
「これ高いんですよ。」
「命よりは安いだろ。」
「それはそうですけど、全く人使いの荒い・・・」
近くの肉塊を爆破して油を掛ける作業を続けていると、4つの肉塊に集約された。
様子を窺っていると一番大きい肉塊はアルフォンス・マイセンの顔があり、次はデミアン卿、投獄されていたはずのフランツ卿、カルロス・クレマンの顔があった。
それらがお互いに激しく罵りあいながら攻撃しあっている。
「仲間割れ?ですかね?」
「どうだろう?元々仲間か?あいつら」
「違う気がしてきました。そう言えば気が付きました?」
「ジルフォードはいないな。」
「ええ、いませんね。確かこっちにいた筈ですが。」
「逃げたか?」
二人はそれを横目に周辺の取り込まれていない肉塊を倒し、焼却処分を続けていた。
やがて一体になった肉塊はジーン達を攻撃目標にする。
「結局こうなったか。」
意味不明の言葉を喚き散らすアルフォンス・マイセンの顔の下にデミアン卿、フランツ卿、カルロス・クレマンの顔が見える。
カルロスは人形師を憎々し気の睨みついている。
「お前、恨まれているな。」
「ジーン、貴方も同様でしょう。」
軽口を叩き合いながら最後の戦いが始まった。
ジーンと人形師(人形)はボロボロになりながらも何とか最後の肉塊を倒した。
収納に格納したガソリン擬きをぶっ掛けて現在は肉塊の焼却処分中。
「南無阿弥陀仏」
「何ですか?それ?」
「佳澄の故郷の死者を弔う言葉だ。」
「死者・・・確かに死者ですね・・・これ・・・とてもそうは思えませんが・・・」
そう言って人形師はアレストリアで死者を贈る言葉を呟いた・
「貴方の魂が母なる海に還れますように」
レア・マーデでの戦闘を終え、報告後一息ついたところでジーンは言った。
「ところで気が付いているか?」
「なんです?」
「こいつら弱すぎる。」
やっとの思いで倒した相手に何をと思ったが人形師もまた気が付いている。
マーデ5都市、約300万の人間の力を集めたにしては明らかに弱い。
融合までのロスがあるにしてもそして大半が力を持たない一般人であることを差し引いても弱い・弱すぎるのだ。
「数の暴力で負ける・撤退することも覚悟していたんですけどね。」
ジーンが中に入るのを人形師(人形)だけにしたのは何かあっても本体は無事・安全地帯にいるからだ。
「落ち着いたらもう少し調べてみるか。」
「そうですね。まだ見てない教会の方に行ってみますか?」
「そうだな。」
そうして都市の周囲を歩く。
「・・・」
「・・・」
教会地区方面の入り口に立って二人は無言で顔を見合わせた。
「変だな。」
「ええ、明らかに違いますね。」
他の方面には肉塊が移動してきた跡があるが教会方面にはない。
「教会は無事ってことは無いだろうな。」
「そうなら通信に返事とかあるでしょうね。」
「行くか。」
「そうしましょう。」
通信で教会方面に向かうことを伝えて二人は歩き出した。
暫くしたのち、二人は廃墟となった教会地区の中を歩いていた。
本来なら別々で行動した方が効率は良いのだが先程の戦闘でまともに戦うには戦力的に厳しい。
そして全く人気のない廃墟を一人で調べる気力は二人とも無かった。
「あれが出たにしては建物の損壊が少ないな。」
「確かに崩壊しているのは出入口付近だけですね。」
路上には戦闘を思わせる血痕はあるものの死体は無い。
ところどころ何かの攻撃で抉られた跡はあるが都市のように崩壊した建物は見当たらない。
そうやって歩いて着いたのは大聖堂、旧エルダの神殿前に着いた。
「ここも人の気配は無しか。」
「気乗りはしませんが入りますか?」
大聖堂の扉を開け、二人は息を飲む。
「なんだこれ。」
・・・聖堂の礼拝室は無数のミイラで埋め尽くされていた・・・
ジーンは大容量の収納に色々なものを突っ込んでます。
今回はそれらの棚卸になりました・・・




