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シル・ストア~風の通り道  作者:
第1章 ハーレン
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作戦会議その2(ビジョン)

「カスミ、これどれくらい持つのかい」

マーサもミオも普段から兵装の手配や準備をしているので通信機器が無制限に使えるとは思わない。

もし、無制限に使えるなら佳澄が最初から使用していたということも察している、

「朝フル充電して学校じゃ電源落としていたから2時間は大丈夫だと思う」

「切れたら使えないということかい」

「バッテリーは持っているけど補充の当てがないからできれば使いたくない」


「そうかい、ジーン、こっちで端末用意するからそっちに移りな」

「それってカスミにとって大事なものなんでしょ。」

「うん、高校の入学祝に両親から貰ったものだから・・・」

夢のお陰で佳澄は日本語ではなく現地語で話している。

ところどころ日本語が混じり、馴染のない単語にマーサやミオは時々首を傾げるような仕草をするが敢えて聞いてこない。

「あの、スマホってわかるんですか?」

「いや、あんたの世界のものなんでしょ、それって」

「ジーンも昔から訳の分からない言葉を口にしたり、色々常識外れのことしていたからね」

しみじみと言われ、佳澄は乾いた笑いをこぼした。

そう、ジーンの奇行のあれこれは佳澄もまた夢で知っている・・・


「次にどれくらい離れていられる?」

「見える範囲、距離じゃなくて視認できるということが大事みたい」

向こうで試していた時、スマホに背中を向けた途端、ジーンの声は消えなくなった。

「となると携帯型は必須、皆と会話しやすい様にここのビジョンも使えるようにしたいね」

「勝手に決めるな・・・」


それから30分、無事居間のビジョンにジーンの姿が映しだされた。

「「疲れた・・・」」

スマホでは単なる二次元の一枚絵だったジーンはこちらにあった映像を元にリアルな3D映像となっている。

色々無理したせいかソファに座る佳澄共々疲れ切った表情をしていた。

反対にマーサやミオは大喜びだ。

「なるほどこういう風に変換しているのね」

特に情報を扱う異能に特化しているミオはビジョンに映し出されるジーンのあれこれに口を出し、改良を加えている。

「カミラも同じやり方かしら」

何でも屋ギルド長、カミラは大災害後5年目に何でも屋ギルドを立ち上げ、現在も君臨する女傑である。

世界各地100か所以上のギルド支所全てに分身体を置いている。

彼女が支所で発言する時は今のジーンのように支所内のビジョンを使用していた。

「どうだろう?スキルを組むのに参考にはしたが盗めた訳じゃないからな」

「佳澄ちゃん、負担は少し軽くなったかしら」

「はい・・・大分楽に維持できます・・・」

ジーンにとって馴染のないスマホより慣れ親しんだビジョンの方が扱いやすかったようで、使用する魔力ともいうべきものは大幅に削減された。

佳澄の体に掛かる重しのようなものはかなり軽くなっている。

このまま慣れれば殆ど感じないようになるだろう。

今回ののやりとりですっかり仲良くなったミオは呼び方がカスミではなく佳澄になった。

マーサも同様で、完全に家の子扱いである。


「それで今後のことを相談したいんだが」

「このままここに居ればいいんじゃないの?」

「どうだろう、佳澄は向こう側の住人だ。

こっちに来たのも唐突で理由が分からない」

「ということは突然向こうに戻るかもしれないと」

「その可能性が高いというか佳澄には向こうに家族がいる。

仲良くて理解のある家族がな」

「ジーンとしては帰してあげたいということね」

「ああ。」

ミオはぎゅっと目をつぶり、目を開いてにっこり笑った。

「向こうに戻ってもまたこっちに来るかもしれないんでしょ」

「一度来たんだもの、またこれるわよ」

「そううまくいくかな」

「行くわよ。私はそう信じている」

「こうやって帰ってきたんだもの、何とかなる、というか何とかするのよ、

ジーン、いいわね」

そう言ってマーサはジーンの肩を叩こうとし、少し手をさ迷わせた後、佳澄を抱きしめた。

「無茶いうな・・・」

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