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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
第2章 レナ・カサル

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2-15.異変

翌日、ジーンと佳澄は何でも屋ギルド本部に出向いた。

受付で要件を伝えるとギルド長室に案内される。

昨日の会話の内容を高速言語で要約して伝え、マッドマウスの死体について結果を聞く。

「あのマッドマウスの脳一部が壊れたというか機能しない状態になっていることが分かったよ。」

「レア・マーデだけか?」

「ああ、レア・マーデ周辺だけだ。他ではそういう異常は見られない。」

「原因は分かっているのか?」

「嫌な話なんだが下水の汚染物質が原因の用だ。」

佳澄は鼠と一緒に下水掃除で集めたゴミも一部持ち帰っている。

そのゴミから検出された物質に脳の一部の機能を破壊する要素があったようだ、

「人への影響は?」

「既に赤ん坊の胎児の異常や死産、流産が余所よりも明らかに増えている。」

「これを公表するとマーデ5都市から若いものが逃げ出すな。」

マーデ5都市はレナ・カサル大陸の人口の1割弱を占める大都市群である。

そこの住人が汚染されているとなると影響は計り知れない。

「あと厄介なことにこの物質、廃都で研究されていたものとよく似ているんだよ。」

{?まさかレア・マーデは意図的にバラまいた?」

「そこら辺も含めて情報を共有するよ。済まないがアナ・ヤーレにも伝えて対策がないか聞いて貰えないか?」

「分かった。」


それから一か月、一度日本に戻ってからアナ・ヤーレのコアの再起動に乗り出した。

ステバノの支援もあり、神聖帝国から出発して10日、何とかアナ・ヤーレの中枢にたどり着く。

いつもの無機質な声に答え、コアの再起動とリアナの循環を開始する。

「アナ・ヤーレの街の封鎖を解除します。」

少しして中枢から声に外に移動した。

空は青さを取り戻し、枯死したヤーレの森は息吹を感じさせる。

ヤーレの申し子という古木に若葉が見える。

街からステバノ達が出てくるのが見え、手を振った。

そこへ突然東の方から何かの咆哮が響いた・・・

「エルダの申し子が目覚めた。」


ステバノへの引継ぎを済ませてアナ・エルダへ向かう。

行きは装甲車だったが帰りは結界が解けたので海洋国から飛行船を飛ばしてもらった。

飛行船の中でマリスとマギがリ・エルダになったことを聞いた。

「怖いというよりびっくりしました・・・」

とはエルダの申し子にあったマリスの弁である。

そろそろ神聖帝国に着こうかという時にカミラから伝言が届く。

「済まないがレア・マーデの様子がおかしい。直ぐにそちらに向かってくれないか?」

ジーンは意識をゼ・ドナの拠点に置いてあるマリオネットに移した。

「リオン、状況報告を頼む。」

高速言語のやりとりにエポリアが口を挟む。

「あの佳澄とマリスは?」

「飛行船でマリスを拾ってこっちに向かっている。」

「承知しました。」

仕舞った装甲車を拠点の玄関前に出し、乗り込む。

今回は人形師も一緒だ。

「ステファン、留守を頼む。」

「承知しました。」


先行した他の何でも屋からマーデ5都市と周辺の農村の様子が届く。

・マーデの城塞は閉ざされ、通信に対する応答は無し。

・周辺の農村も住人は家に籠りでてこない・・・何かぶつぶつ言っている。

数時間後、マーデの城塞が見える場所になり、何でも屋のテントの前で装甲車を止めた。

「来たかジーン、現状は・・・」

知り合いの何でも屋から話を聞いて、ジーンは確認する。

「中に入れそうか?」

「外からゲートの開錠を試みたんだが旨く行ってない。ジーン、やってもらえるか。」

「分かった。無理ならゲートを壊すか乗り越える。」


城塞のゲート前、ジーンは前任者の話を聞いていた。

「開錠しようとすると何かに力を奪われるような感覚がしてうまくいかないんです。」

「近づくだけで何か食われるような危機感?恐怖を感じて城壁に近づけない。」

「情報有難う、後はこっちで試す・・・」

城壁の向こうから強烈な圧迫感が発生した。


「全員、城壁から待避」

ジーンの声に何でも屋達は城壁から離れた。

ミシミシという音がして城壁にひびが入る。

城壁前のテントを急いでしまい、さらに距離を空けた。

ジーンは自身のマリオネットを戦闘用に変える。

「総員。戦闘準備、非戦闘員は距離を取って映像をゼ・ドナに回せ。」


城壁が内側から破壊され、中から何かの肉の塊が現れる。

生き物を無造作に丸めて団子にしたようなそれの表面には人の顔や手足、その他様々なものが生えていた・・・

「なんだこれ!!」

テントの責任者の言葉にジーンは動く。

「戦闘開始」

この世界、転移のスキルは今のところないです。

人形師やジーンは人形を使うことで転移に近いことを実現しています。

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