2-14.リアナの循環
暫くここですることが無いので一旦ゼ・ドナに戻ることした。
海に潜ったマリオネットは整備してまたシル・ムレアに戻す。
アナ・ソナの復活から1週間後、二人はゼ・ドナの拠点に戻ってきた。
「お帰りなさい、ジーン先輩、佳澄。」
久しぶりのゼ・ドナの拠点で夕飯となる。
「こちらで何か変わったことは?」
「野菜が安くなりました。」
「?」
アナ・エルダのコアの再起動ではハーレン、特に神聖帝国位しか影響がなかった。
今回のアナ・ソナの復活及びリアナの循環はハーレン、海洋国だけでなくレナ・カサル、エマルドにも影響が出ていた。
・一つ畑の生育が良くなって収穫量が増えた
・一つキラーラビットが大人しくなって畑を荒らされることが減った。
「一週間でそこまで変わるの?」
「具体的な数値はまだですけど、体感でかなり良くなってます。」
「特にここはシル・ヤーレから野菜とか送ってもらってますが、出来が良くなってます。」
「後、東の砂漠で草が生え始めたました。これは僕が確認してます。」
とマリス。
「さらにカミラさんから連絡があったのですがエマルドの南の砂漠に雨が降ったそうです。」
ジーンと佳澄は顔を見合わせる。
「思ったより影響が大きくない?」
「はい、ギルドからアナ・ハルナの1件について全支部に通達されていて影響があったら報告するように依頼してあったそうですが・・・」
「しかし、雨か・・・」
「良いことではないのですか?」
ジーンの懸念にリオンが首を捻る。
「単純に良いとは言えないよ。」
佳澄は雨と植物、バッタの関係を説明する。
「要するに乾季にキラーローカストの大群が発生する可能性があると?」
「ああ、これはエマルドに行った方が良いかもしれないな・・・」
「まずはカミラ経由でエマルドの支部に警告を出すのが先ね。」
「その後、向こうで植林活動をしている友人に連絡して対策を検討するとしよう。」
「他に何かあるか?」
まず、エポリアが手を挙げる。
「ケリーの件、聞いてもらった結果が分かりました。」
「何かチップの様なものを埋め込まれていたみたいです。」
「大丈夫なの?」
「あの時にチップが壊れて今は大丈夫だと言ってました。」
「軍用犬を操るのに制御用のコアを使ったのか。」
今度はリオンが手を挙げた。
「こっちでカミラさんに頼んで色々レナ・カサルのコアを使ったものを見せてもらったんですが。」
視線で先を促す。
「法王国で嵌めていた異能の発動を抑える腕輪と同じ感じを受けました。」
「力を奪われる、制御できなくなるそんな感じです。」
「・・・」
ジーンは暫く考え込む。
「俺はそんな感じを受けないが・・・他はどうだ?」
「私は法王国の方を知らないのでなんとも言えないのですが力を奪われる、制御できなくなるというのは感じました。」
他の3人も頷く。
「多分、ジーンは異能の制御力が強いから特に感じないんだと思う。」
「そう言えばジーンは法王国で腕輪付けていても殆ど影響出てなかったですよね。」
ジーンが考え込み始めたのでステファン、ジュディがお茶やつまむものを持って入ってきた。
「先日のマッドマウスですが、ギルドで預かっても良いですか?」
ステファンの言葉に佳澄は首を傾げた。
「良いけど?ゼ・ドナのと比較でもするの?」
「はい、私が知る限り、ゼ・ドナのマッドマウスはこの様に頭が小さいのを見たことないです。」
「大体、マッドマウスを狩る時は頭を狙うのでこういう風にきれいな状態の死体をみたことがないです。」
佳澄は礫を心臓にぶつけて仕留めているので頭やほかの損傷が少ない。
二人の言葉に明日、ギルドに届けることを約束する。
暫くしてジーンが顔を上げた。
「力を奪う・・・か。」
佳澄達はジーンの続きを待った。
「エマルドでキラーアントやキラーローカストが現れるようになったのは比較的最近だ。」
「50年前、ローカスト対策で鎖国を解いて暫くしてからモンスターが現れるようになった。」
「?ローカスト?キラーローカストじゃなく?」
「ああ、50年前に問題になっていたのは普通のローカストだ。」
「殺虫剤に耐性が付いて効かなくなってきたからレナ・カサル製の殺虫剤を輸入するようになった。」
「その結果、殺虫剤の散布用や色々レナ・カサル製のコアを使用した製品が多数エマルドに入ってきた。」
「それで?」
「それからだよ。南に砂漠が出来たり、キラーアントやキラーローカストが発生するようになったのは。」
「今回、アナ・ソナの件でリアナ、神の加護について色々ステバノ、ボリスの話を聞いてみた。」
「モンスター化について2つの可能性を言っていたの。」
「一つはリアナの力が急激に強くなった場合、もう一つは反対に大幅に減った場合。」
「ハーレンはリアナが暴走して急激に強くなった状態と考えられる。」
「エマルドは逆にリアナが減ったことが原因じゃないかと思う。」
「アナ・ハルナのコアはリアナを循環させる。」
「対するレナ・カサルのコアはリアナを食い尽くす。」
「そう考えると大災害後、魔人や魔王が執拗にレナ・カサルのコアを破壊したのが分かる気がする。」
ワイズマンシステムが停止してリアナが暴走、それを食いつぶすレナ・カサルのコア
リアナの影響を強く受ける魔人や魔王にとって忌避すべき存在だったのだろう。
「魔王の目的はこの世界を守ることだったと?」
「ワイズマンシステムが回復するまでの時間稼ぎだったのかな。」
「レナ・カサルのコアを使う都市がハーレン大陸から10年で消滅したわけだけど、レナ・カサルの廃都と違って住人が逃げるのを見送っているんだよな。」
「確かカミラさんがその避難民の一人だったよね。廃都は違うんだ。」
「廃都は天井と地下から攻められた。今でこそ蟻塚が目立つが最初は蜘蛛の巣だらけだったそうだよ。」
想像して気分が悪くなったらしいエポリアが顔を背ける。
「記録映像でゲートというゲートが全て蜘蛛の巣で塞がれた様子を見た時、魔人側の怒りというか執念を感じたもんだ。」
「そんな映像があるんだ。」
「参照はBランク以上だから暫く見るのは無理だな。ま見たい映像でもないが。」
「エマルドの砂漠化やキラーローカストはリアナの減少というのは理解したけど。」
「で?」
「なんで大本のレナ・カサルが無事なのよ?」
「多分信仰が影響している。」
「エマルドは元々太陽や月、星と言った天空神を信仰していた。」
「始まりの二柱の神が最初に生み出した神々と言われている古き神々ですね。」
「最近トリスタン教を信仰するものが増えて古き神々を信仰する人達が減り、神の加護が弱まったからじゃないかと思う。」
「でもレナ・カサルもトリスタン教を信仰する人は多いですよね。」
「そうだが、それ以上にリ・エルダのマーデを信仰するものがいる。」
「それで辛うじてバランスが取れていると?」
「多分な。」




