断章_祠への道
風の果ての物語の第2部のエピローグ後の話です。
本編開始の13年程前の話
「何故だ!」
海洋国の神官服を身に包んだ男は叫んでいる。
先日、海洋国で行ったデューの試練達成の奉納でアナ・ソナの封印が解除されたことを知った。
そこでわざわざアナ・ハルナにある海底神殿の入り口に向かったのだ。
結果は、神殿に至る祠は封鎖中、叫びたくもなる。
前に祠に来たことのある別の神官が口を開いた。
「封印が解除されたのは間違いないよ。前回はここまで近づけなかった。」
そういって祠を囲む森と鳥居の様なものを指し、
「あの辺りにシールドみたいなものがあってこの祠が見えなかったんだ。」
別の神官が祠に浮かび上がっている神代文字を読む。
「周囲・・・レベル・・・80%・・・危険・・・」
一通り読み終え振り返る。
「この周囲の汚染濃度が高すぎて開けないようです。」
「後、もう一つ、適合者がいないと警告しています。」
海底神殿に行く方法は2つ
一つはこの祠から行くルートだ。
距離はあるが安全であり、大災害前の奉納は全てこのルートから行っていた。
もう一つは直接海を潜る方法である。
かなり、深いところにある神殿は並みの潜水艇では近づけず、神殿を守護するモンスター達が徘徊している。
海神の加護を得たデューだけならば入ることは出来るだろう。
しかし、今の状態では他の者を連れていくことは出来ないし、適合者がいないという警告もある。
「仕方ない、奉納はここで行おう。」
加護に感謝し、祈りを捧げる奉納は祠前の広場で行われた。
最初に神官が神にデューの試練の達成を伝え、
供物を祠に奉納し
祝いの舞を舞う。
最後にデューの誓いの宣言をして終わる。
後は宴となった。
この祠の前の広場は結界が張ってあるのかモンスターが近づく気配が無い。
安心して酒をのむことが出来る。
盃を手に、デューは呟く。
「適合者って何者なんだ?」
海神の試練を乗り越えた自分ではないことは分かる。
その問いの答えは13年後、アナ・エイダの再起まで待つことになる。




