閑話_生徒会
その日佳澄は普段付き合いのない上級生の呼び出しを受けた。
この学校が共学となる切っ掛けとなった存在からである。
場所は生徒会室、要件は伝えられていないが近く予定されている生徒会選挙に関するものだろう。
「お久しぶりです。」
「ええ、そうね。呼び出してごめんなさいね。」
竜ヶ峰 小夜、現生徒会副会長。
二人とも有名人であり、顔を会わせる機会は多い。
ただし、こうして二人きりで話をしたことはない。
わざわざ人払いした生徒会室に呼び出した理由を佳澄は問うた。
「端的に言うわ。次の生徒会選挙で生徒会長になって欲しいの。」
小夜は時間を無駄にするような性格ではなかった。
「理由を聞いても?」
「ええ、一つ、代々の生徒会長は入学式の総代。」
「それは知りませんでした。」
「ええ、入学後に生徒会入りを勧めたのにあっさり断られているしね。」
「やりたいことがあるので。」
「貴方の活動を公表できないのは残念だわ。」
「卒業まで待ってください・・・」
『なるほど、楓佳だと知っている訳か。』
「二つ、現在の生徒会選挙で生徒会長に立候補しているものがいない。」
そう言えば来週の選挙で立候補者が未だに公示されていない。
昨年はとっくに公示され、選挙演説が実施されていたように記憶している。
「生徒会から出ないのですか?」
「出ないではなく出せないのよ!」
小夜はどんと机に手を叩きつけた。
さらに紙の束を机に置く。
「これを見てほしいの。」
一番上の用紙を見て佳澄は頭を抱える。
「これ全部同じものですか?」
「ええ。今日届いた分だけよ。」
「・・・」
「・・・」
「まだあるんですか?」
「ええ。」
と言って段ボール箱を指し示した。
佳澄の名前が記載された生徒会長の推薦状
一体何通あるんだか?
「生徒会の仕事はしたことが無いのですが?」
「それはこちらでサポートするわ。」
「出たからと言ってなれるとは限らないのですが?」
「なにを言っているの、2年連続でミスター竜ヶ峰をトリプルスコア、ぶっちぎりで選ばれているのに。」
私立竜ヶ峰高等学校では戦前からミスター、ミスコンが文化祭で行われている。
共学化した後もミスコンは全て男子生徒が優勝している。
というかミスコンにそもそも女子が出ていない・・・
ミスコンと言う名の女装コンテストである。
3年前の共学から女子が加わってミスコンのレベルは大幅に上がった。
来年悟が入学したら間違いなくミスコンに出場させられるだろう・・・
ちなみに佳澄はミスターコンテストに立候補していない。
気が付いたら選ばれていた・・・
「他の候補者はどうするんです?」
「それは現在の生徒会役員で押さえる。」
「分かりました。」
「あら、あっさり納得したわね。」
「出ないと言ってもミスターコンと一緒で勝手に選ばれそうですから。」




