閑話_新規講座
ギルド本部、ギルド長室
「わざわざ済まないね。」
「いえいえ、こちらも仕事ですから。」
人形師の手にはトニオから届いた依頼書。
送り主はカミラ、ゼノバーン元首の承認サイン入り。
断る選択肢は人形師にはない。
「依頼内容を確認します。」
「ああ」
「人形使いの才能の有無の確認は終わっているで良いですね。」
「ああ、ゼ・ドナ近郊のギルド職員全員でそちらが言ってきた才能確認は済んでいる。」
「人形遣いになる意思の同意も取れている。」
「今回の対象10人の確認結果と同意書だ。」
カミラは紙束を人形師に渡す。
「動かす人形の準備も終わってますね。」
「簡単な人形操作も出来るようになっているよ。」
「こちらの指導内容は人形繰、纏、人形を経由しての収納で良いですか?」
「ああ、収納については実演で出来るところを見せるだけで良い。」
「分かりました。」
「どうもマーデがきな臭い。何時から始められる?」
「明日から始めますか?」
「有難い。頼む。」
カミラの目的はマーデ支部ギルド職員の人形化。
マッドマウスの一件やその他色々あって、大事なギルド職員を生身で置いておきたくないのだ。
「10人で足りますか?」
「元々ギルドから派遣されている職員は各支部で二人だ。他は現地雇用。」
「現地雇用は無視ですか?」
「そこまで面倒を見れないよ。それにスパイの疑いがある奴も多いしね。」
彼女は守りたいのは子飼いの職員だけと割り切っている。
「能力の不足分は人形を似せることで補いましょう。」
「分かった。人形の整備を担当する職員に伝えよう。」
そうして始まった人形師による人形遣い講座。
講師が人形という異例の講習はマーデの異変が起こるまで何度も開催された。
この講習のお陰でマーデ支部の職員は異変の1週間前に全員人形に置き換わる。
マーデに放っていた密偵の一部も人形に交代した。
この人形達はマーデの崩壊を一部始終目撃し、ゼ・ドナに報告を送ることになる。




