閑話_怪しい隣人
知り合いと会話して戻ったウェルシーにジーンは厳しい表情で声を掛けた。
「あいつは?」
「えっ?デ・カサルのギルド所属でDランクのアインとそのチームですが?」
ジーンは自分達の会話があちらに聞こえないようにダミー音声の付きの遮音結界を張っている。
「何を話した?」
「えっと事前の打ち合わせ通り、一仕事終わったのでシル・サーレに帰還するところだと。」
「他には?同行者について聞かれたか?」
元のように焚火の前に座る。
ルーは彼らが近づいてくる以前に姿を隠していた。
「はい、知り合いがデ・カサルに戻るので同行させて貰っていると。名前については答えていません。」
「聞いてきたか。」
「もしかして要注意の隣人?」
「ああ、今ギルに連絡して経歴を洗ってもらっている。」
ここまで乗ってきた装甲車は焚火をする前に収納に仕舞っている。
見た目若い小奇麗な男女、ウェルシー自身もシル・サーレ所属とは言え若手でDランクに昇格したばかり。
彼らはウェルシーがDになったことを知らないか知っていても何とかなると思っているのだろう。
ジーンが小柄で強そうに見えない外見であることも彼らの誤解に拍車を掛けている。
「狙いは?」
「金品とお前らの体だろうな。」
「どうする?」
「面白そうな情報をもっていそうだから捕まえて吐かせる。」
深夜、焚火の周りには見張りの男と3つの寝袋が見える。
見張りの男は時々周囲に視線を投げかけ、焚火の火が消えないように小枝を追加したりしていた。
「呑気なもんだな。」
「知り合いだと思って油断しているんだろ。」
下卑た笑みで舌なめずりをし、持っている銃を撫ぜる。
そろそろかと自分たちの野営地の方に合図を送った。
『そろそろかな?』
見張りをしていた佳澄は薄っすらを笑みを浮かべて隣の焚火から近づいてくる男をみて立ち上がった。
寝袋の中身は毛布、残りの3人は既に取り囲む男たちを制圧できる位置に移動して気配を消して待機している。
近付いてくる男から寝袋を守る位置に移動して声を掛ける。
「どうかしました?」
「えっと、済みません、少々通信機の調子が良くないんで見て貰えませんか?」
やってきたを男と見張りの男が二言三言会話し、焚火から少し離れたところで取り囲んでいた男達は動き出した。
「命が惜しかったらこっちの言うことを聞け。」
寝袋に銃を向けアインが声を上げる。
次の瞬間彼らの意識は刈り取られた。
気が付くと武装を解除され、拘束されて狭い車内に転がっされていた。
「デ・カサル所属Dランク、アインだな。」
感情の籠らない声が聞こえる。
猿轡を噛まされもごもごと声を出す。
周りには自分の仲間達がいるようだった。
「こちらはデ・カサル警備隊のエスターだ。」
なんでとアインは声にならない声を上げて身動ぎをした。
「旅行者襲撃容疑でお前達を逮捕する。」
アインがもがく。
「既に証拠の映像も音声もある。」
感情の籠らない声が続く。
「デ・カサルに戻ったら取り調べの上、裁判だ。」
アインが激しくもがく。
「何でも屋の資格はく奪、軽くて鉱山への強制労働だな。」




