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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
第2章 レナ・カサル

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2-8.神の子・悪魔の子

ミラ・マーデから戻って夜、掃除部隊はもう一回お風呂に入って人心地がついたところで食事、

人形師がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「よう、昨日の食事はどうだった?」

「内陣のレストランで食べました。」

エポリアの答えになんだとつまらそうな顔の人形師

「昨日の外周区の酒場や飯屋で出る肉は間違いなくお前らが狩ったマッドマウスだ。

他はともかくエポリアにはきついだろ。」

「他はともかくって佳澄やウェルシーは平気なんですか?」

顔色の悪いエポリアは近くの二人の様子を窺う。

「知っているからね。」

「私はデ・カサルで食べました・・・」

柴犬位の大きさのマッドマウスはレナ・カサルの都市の重要な食肉である。

皮は靴や鞄に加工される。

モンスター化してない野良猫はマッドマウスに食われるので都市に猫はいない・・・


今は全員会議室に集まっている。

「さて、今回のまとめをしようか。

まず、エポリア、クロップ、ケイロス、ウェルシー、マーデの街で異能を使ってみてどうだった?」

4人は顔を見合わせたと後、最年長のケイロスが答える。

「デ・カサル周辺とここ、ゼ・ドナでも感じましたが使える異能の威力が弱まっています。特にマーデの地下ではデ・カサルの3割減の状態でした。」

「ゼ・ドナでは1割?最初は慣れないとか疲れているからと思ったのですがここ1週間で間違いなく使える異能は弱まっています。」

「やはりな。リオンとマリスはどうだ?」

「僕らはあまり感じてません。マーデの街では異能を使う機会が無かったので分からないですが。」

「ただ、ここに居たくないという感じは強くなりました。」

人形師が笑った。

「それが分かっているならわざわざ穢れ仕事をした甲斐はありますね。」

・・・臭いだけで穢れ仕事ではない・・・ギルドの評価ポイントは非常に高い仕事である。

「佳澄は?」

「私は特に気にならなかったな。嫌な感じと言うのは分かったけど。」

「この差は一体???」

「どれだけ異能を使いこなしているか?あるいは神の加護を得ているかの差だろう。」

「聞いた話ですがカミラ様はゼ・ドナでもヤーレでも殆ど変わらないそうです。」

「私達は鍛錬が足りていないと?」

「一か所でずっと仕事しているとその場所で異能を使うのに最適化され余所だと発揮できなくなる。」

「それで配置換えですか。」

「そういうことだ。ある程度余所で仕事すると異能の使い方が分かって元と同じように使えるようになるがな。」

「ここでは地元の半分位だと思っておいた方が良いということですね。」


「それ以外で何かあるか?」

佳澄が困惑した表情で答える。

「マッドマウスなんだけど、なんか体形のバランスが悪いと思う。」

「具体的には?」

「体の大きさに比べて頭が小さい。」

そう言ってテーブルにビニールの様なものを敷いて収納からサンプルのマッドマウスを置く。

顔を背けるエポリアやウェルシーに対し、他の面々、モロゾフやルーが寄ってきた。

「確かに言われてみればそうですね。」

「ギルドでは気が付いてないんでしょうか?」

「余所を知らなきゃ違和感を持たないだろう。家ネズミを知っていてもマッドマウスとはこういうものだと思ってしまう。」

「ジーンも気づいてなかったんだ。」

「俺が下水道掃除をしたのはヤーレやゼノバーンだ。レア・マーデじゃ縁がない。」

「ギルドに異変について問い合わせがないということは最初からあるいは早い段階でこういう状態だったということなんですね。」

「まるで満腹中枢を破壊され肥満化した鼠みたいだな。」

「なんだいそれは?」

佳澄が日本のTVで見た動物実験の話を伝えると

「なるほどね。この鼠は何かが壊れてこういう状態になったという訳か。」

「ま、ギルドにしてみれば食える部分が多いから不満は無いんだろうな」

人形師の言葉を最後に、机のマッドマウスはそのまま収納に戻す。


「で、俺達が調べていた方だが、12年前に一旦沈静化した悪魔の子が行方不明になる事件がここ数年増えている。

ついでに12年前は殆ど無かった神の子が行方不明になるケースも増えた。」

「神の子、悪魔の子?」

それに対してジーンではなく人形師が答えた。

「どっちも同じで異能の才が見られる子供だよ。法王国に従順なのが神の子、否定的なのが悪魔の子。」

「レナ・カサルは法王国のトリスタン教を信じるものが多い。」

これはリオン

「トリスタン教の巡回牧師が各地の村や街を回って異能の才を持つ子供を探している。」

「信者の子なら神の子として法王国に連れていき修行させる。」

「そういう子供たちが大人になると巡回牧師になり村や街を回っていく。」

「巡回牧師は薬学や医師、治癒能力に長けたものが多いから特にへき地の村では有難がられているがな。」

「トリスタン教の枢機卿、司祭、牧師は皆異能者だよ。」

「断罪派がいるのに?」

「断罪派が敵視しているのは悪魔の子・・・神の子もどっちも同じ異能者なのにな。」

「・・・ハーレンの何でも屋は悪魔の子ですか?・・・」

「彼らの認識ではね。」


「トリスタン教で神の子となった子供は10歳になると法王国に行く。」

「神の子を法王国で修行させるのは異能を活性化させやすいからだろうね。」

「一旦コツを掴めばレナ・カサルやエマルドでも異能は使える。」

トリスタン教が信者の少ないハーレンから本拠地である法王国を移せない理由でもある。


「12年前、悪魔の子とされた子供が行方不明になる事件が多発していた。」

「悪魔の子なんて言われても親からすれば可愛いい我が子、その子が行方不明になればギルドに捜索願が出る。」

「それでジーン先輩が調査にあたっていたと。」

「そういうことだ。そんな時にはリオンのいた村で神の子が悪魔の子になったという話を聞いたんだよ。」

「僕は兄さんと離れたくなくて法王国にはいかない、村に残るって言ったら悪魔の子扱いされて・・・」

「詳しい話は別の機会にでも話すがその当時の事件の黒幕は俺やジルフォード卿で潰した。」

「誰だったんです?」

「・・・法王国の枢機卿の一人だよ。そいつが失脚してジルフォードが枢機卿になった。・・・」

それ以上知りたきゃ自分で調べろとジーンは冷えたお茶を飲む。


「それから一旦は大人しくなったんだが、また再発して今度は神の子と言われている子も行方が分からくなっている。」

今回、行方不明になってる神の子はレナ・カサルにいる9歳以下の子供だ。

法王国にいる神の子が無事かどうかは分からない。

「1年前のエマルド他で何でも屋が行方不明になった事件も関係しているのかな。」

「それについては調べてみるかしないだろう。」

「どこから手を付けます?」

「最初はカミラから情報を貰う。」

「レア・マーデ以外でも発生しているはずだからそっちから手を付けるのね。」

「その通りだ。マーデに踏み込むだけの情報が足りていない。」

「今だと返り討ちに会うか黒幕に逃げられるだけでしょうからね。」

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