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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
第2章 レナ・カサル

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断章_新任講師

何でも屋ギルドの本部があるゼ・ドナには何でも屋やギルドの職員の為の研修施設が幾つも存在する。

若手何でも屋向けの様々な座学や実技を学ぶためのものやギルド職員向けの各都市の法律やルールを学ぶもの、

後は財務や経理等金銭管理に関するセミナー等は一般に開放され様々な人々が利用している。

解散したクランの拠点であった場所を再利用した施設は刻印や各種機器の調整、戦闘演習など、ある程度経験を積んだものが様々な状況に対応する方法を学ぶ場として利用されていいた。

かってその拠点の主だったステファンとジュディは引退後、中堅向けのこの施設の管理人をしている。


この日、その施設に新しい講師がやってきた。

ヤーレのギルドに所属し、最近までは海洋国にいた20代前半の青年である。

昨年から始まったエマルドとの戦争は海洋国の要である海神のデューと彼の所属するクランの活躍で海洋国側の有利に大きく傾いた。

先月の戦闘で大ダメージを負ったエマルド側は立て直しに追われており、つかの間の平和が戻っている。

その立役者であり、様々な異能スキルの発案者である彼をギルドは短期研修の講師として招聘したのだった。


「初めましてシル・ストア所属のジーンです。ふつつか者ですがよろしくお願いします。」

やってきたのは小柄で細身の青年だった。

Bランクと言うことだがどう見てもCかDにしか見えない。

今回の研修生はB及びCランクの上位、挨拶を交わしながら嘗められなければ良いが思った。


講師用の部屋に案内し、施設の案内をする。

研修内容は異能スキルの運用、単なる座学ではない実戦的な研修が求められておる。

当然、対人戦やチーム戦なども研修の内容だ。

「都市の外を使いますか?」

「研修生次第ですが基本は中で十分だと思います。外での演習は最後の方でやるかどうかですね。」

施設の案内の途中風呂を見て嬉しそうな顔になる。

「入ったことありますか?」

都市では基本シャワーのみで風呂に入る習慣はない。

「シル・ヤーレに温泉がありますから。」

「それは羨ましい。」


最後に厨房を見せる。

「ここで研修中の食事を用意します。何か苦手な食材とかありますか?」

「無いです。お邪魔でなければ時々使わせてください。」

その言葉に昔馴染みのゼンを思い出す。

デ・カサルで狩ったワイルド・ボアを解体して様々な料理にを作ってくれたことを。

それまで飢えた時に塩を振って焼くか燻製にして齧る位しかなかったモンスター達が急に宝の山になった。

以降、彼とはずっと手紙で新作料理を交換し合っている。

「好きですか?」

「ええ、好きです。うちじゃ厨房は争奪戦の対象です。」

それではと手紙でよく分からなった調理法を聞いたり、新作の感想を聞いたりと賑やかな夕食となった。


翌日、研修生達が施設にやってくる。

総勢10名、年齢は一番若いものでも30代前半一番上は50近くだった。

皆異能者なので年齢よりは若々しいが10代後半にしか見えない彼はどうみても場違いだった。

研修の始め、会議室で挨拶する彼に冷ややかな視線が注がれる。

ある程度研修が進んだところで、一番若そうに見える男が言った。

「で、それがどんな役に立つの?」

彼はにっこり笑って実戦で説明しましょうと言った。


今回の研修内容は纏の運用方法

訓練室で発言した若い男は腕を抑え、床に寝転がってる。

周囲を囲む他の研修生達は見た。

彼らがジーンだと思っていたのは訓練用の木人で木人だと思っていたものがジーンだったのを。

木人の横にいるジーンに殴りかかり、その横の木人に足払いを受けて転がるさまを。

「このスキルはこの様に使い、状況を有利に持っていきます。」

何か質問は?という声に研修生達は首を横に振った。


これ以降ジーンの講義に異議を申し出るものはなく、様々な実戦研修が行われた。

予定された1週間の短期研修は終わり、新たな研修生達がやってくる。

この時の研修は合計4回、それ以降不定期にジーンの短期講習が開催されることになった。

会場はいつもこの施設、ついでにここでの研修は食事が美味しいことでも評判となる。


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