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シル・ストア~風の通り道  作者:
第1章 ハーレン
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カフェでの密談(脳内会議)

誤字修正


今、私の着ているフードやコート、靴は路地裏のチンピラからかっぱらったものである。

ついでに今食べている軽食代も彼らのお金だ。

さらにこれからの買い物資金にする予定である。

『これで私も犯罪者か・・・』

『いやここでは正当防衛だ』


そう一応正当防衛である。

迷子の振りして路地裏に入り込み親切な(笑)若者について路地裏の奥まで行き、相手が正体を見せたところで返り討ち

どっちが悪役なのだか・・・

私は体の制御をジーンに任せて黙ってすることを見ていただけ。

夢の中で何度か似たようなシーンは経験したことがあるがまさか自分の体で経験をすることになるとは・・・


空手はジーンに憧れて始めたことだった。

道場の中では筋が良いと褒められ、師範から大会に出ないかと何度か薦められていた。

実際、道場の中でまともな勝負になるのは3つ上の兄と同世代かそれより上の男の子だった。

しかし実戦を経験しているジーンには大いに不満だったらしい。

共存前からも何となくジーンの不満は感じられていたし、共存してからは明確に不満を露わにしていた。

結果、どうなったか。

夏休み最後の道場で師範と勝負して勝利を収めていた・・・

共存してから一か月強、その間に私の体の強化に努めて・・・

「ちょっと待て、今は受験生だー!」

という私の抗議を無視して・・・

この抗議に対するジーンの回答は並列思考スキルの使用だった。

生まれついた時から使用しているこのスキルを私が使えないことが彼には不思議だったらしい。

中学最後の夏休みは兄共々ジーンのスパルタ指導に耐える日々だった・・・

お陰で二人して当初の志望校より数ランク上の一流と呼べる大学と高校に合格したので文句は言うまい。


『報復してこないかな』

『あいつら、この街じゃ裕福な家のボンボンだ。

大抵のことは親の権力を使ってもみ消してくる。』

『大丈夫なの?』

『代わりにプライドも高いからこんな小娘に5人掛かりで襲って逆に返り討ちにあったなってことは口が裂けてもいえないだろうさ。』

『そうなんだ』

『それに印象操作もしているからこちらの顔を認識していない』

『そう・・・』

『ついでに今身についているもののタグも外したからそちらからも追えないだろう』

証拠隠滅も実施済みである。流石地元民・・・


『しかし今は新暦99年9月10日とは・・・』

『想定外だよね・・・』

ジーンは死んだと思われる日は新暦99年9月8日、二日前である。

アナ・ハルナへの調査依頼で今回は普段使う山岳ルートや海洋国経由ではなく依頼主の要望で法王国ルートとなっていた。

法王国にて依頼主に調査結果を渡して報酬を受け取り、ヤーレに帰ろうとしていた時に問題が起きた。

異能者を嫌悪、危険視する法王国内の狂信者の襲撃を受けたのである。

狂信者の自爆テロを異能で抑え込んでいるとき、横からの新手の攻撃を受け、自爆テロの爆発に巻き込まれた。

教義で異能者を危険視している法王国とはいえ、正規ルートで手順を踏んで入国している旅行者に対するテロは認めていない。

シル・ストアは中堅とはいえ、世界的に見てもごくわずかなランクA、金色の認識票を持つなんでも屋が2名在籍するクランである。

国として鎖国に近い状態といえ法王国の人間も移動や調査、討伐に何でも屋を利用している。

無視できない実力を持つ評判の良いクランに対する襲撃は法王国としても曖昧に済ませることができる問題ではなかった。


法王国に残っているシル・ストアのメンバーが酷い目にあっているとは思わないが後始末を終え戻ってくるのは当面先になるだろう。

ジーンと共存するようになって一年近く

まさかこちらでは二日しか経っていないとは思わなかった。


『ということは今、拠点にいるのはマーサさんとミオ姉の二人になるのかな』

『マリスとレオンは法王国だし、代表のとこは海洋国、ソルのチームは山岳調査中、

事件の連絡が届いたとしてもそうそう戻ってはこれないだろう』

『ある意味都合が良いのかな。

シル・ストアの最高権力者であるマーサさんが納得すれば他は文句言わないだろうし』

『そうなるとどうやって説明するかだな』

『マーサさんは確か私のこと知っているよね?』

『お前の家族と同じで夢の話は何度かしている』

『兄さんみたいにこの共存状態を理解してくれるかな・・・』

佳澄とジーンの共存状態は最初に兄の寛にばれた。

両親と弟の悟には夏休みが終わる頃に兄と3人で相談して話した。

両親は半信半疑だろうが志望校への合格するころには佳澄の状態に理解を示していた。


「帰るのかな・・・」

ぽつんと日本語で口に出した言葉にジーンは

『わからん』

と返してきた,。

頭をポンポンと叩いているような気がする。

『そうだよね・・・』

頭を守るように手を回す。

存在しない手の気配だけがした。


しばらく目の前の軽食を食べる。

軽食を食べきり、飲み物を口にする。

『で、私のことをどう説明するの?』

『マーサには正直に話すしかないだろうな』

『ミオ姉は?』

『同じだ、下手に隠す方が被害が大きい』

『他の人は?』

『俺の娘ということにするのが一番無難だろうなあ』

ジーンと私の年齢差は20歳、日本でもこっちでも十分親子の年齢差である。

『俺とお前は姿かたち以外、色んな意味で似ている。

他人というのは無理がある』

『そうだよね・・・母親はどうするの?』

『辺境民で死んだことにする。』

『そうして父親の居るヤーレに来たことにする訳ね』

『その設定で行こう』

『了解、ジーン父さん』

頭の中でジーンが吹き出した気配がした。


この時点で佳澄 16歳、ジーン36歳

幼い頃は同じように成長してんました。

10歳を超えた時から急にジーンの成長が早くなってこの年齢差となってます。


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