最強(最恐)伝説
時期は第1章と第2章の間。
4月、新入生がやってきて新しい学年が始まって少し時間がたった頃
担任がHRの終わりを告げたところで佳澄が手を上げ立ち上がった。
「済みません、少し待ってもらえますか。」
ツカツカと前に行き、扉を開ける。
「これ、説明してもらえませんか?」
そこには大の大人が5人土下座していた・・・
10分後の生徒指導室、土下座の5人と佳澄と生徒指導教師、教頭の8人が顔を揃えていた。
「だから止めとけって言ったんだよ。」
頭が痛そうな生徒指導教師、横で教頭も頭を抱えている。
佳澄の担任は部活があると言って逃げていた。
土下座していたのは柔道、剣道部の顧問教師二人と各部の指導員をしている卒業生二人に指導員の先輩で大学の剣道部コーチ
元々の切っ掛けは昨年夏、私立竜ヶ峰高等学校の快進撃だった。
近年県大会上位で終わっていた私立竜ヶ峰高等学校の柔道部、剣道部が全国大会出場、入賞者を出す好成績を収めた。
さらに私立竜ヶ峰高等学校で指導員をしていた卒業生が目を見張る成長を見せ、大学の選手権でも好成績を出す。
最初は笑っていた彼らの同期や上級生達は動揺し、彼らを問い詰めた。
が、彼らは口を揃えて「とんでもない指導者に会った」としか言わない。
佳澄が指導の条件として沈黙を求めたからだ。
今までなら上級生やコーチに問い詰められれば口を割っただろうが彼らにしてみれば佳澄の方がよっぽど怖い。
その為、彼らの同級生達は私立竜ヶ峰高等学校に見学を求めた。
が・・・そういう時には佳澄は顔を出さないので、首を捻ることになる・・・
「確かに実践的で優れた訓練だと思うがこれであそこまでの成果が出るのか?」
ここで諦めれば良かったのだが一人のコーチが暴走し、恐喝紛いの事件を起こす。
そして・・・疲れたような佳澄の声
「皆さんはあの人を抑えようとしていたのは知っているので謝罪は良いです・・・」
既に何人にも謝罪を聞かされてうんざりしていた。
問題のオリンピック候補にもなった大学の柔道部コーチと直接対決。
格の違いを教えてやろうではないが徹底的に相手のプライドをへし折る。
最後には疲れ果て畳に横たわる相手に対し、佳澄は汗一つかくことなく見下ろしていた。
衆人環視、ついでにビデオカメラで撮影された対決は様々な証拠とともに関係各所に提出される。
「はあ・・・いい加減、こっちに押し掛けるの止めて貰えませんか・・・」
報告は書面でお願いしますと佳澄は部屋を出て行った。
「いい加減にしろ、これ以上何かすると今度はお前らが訴えられるぞ。」
「それではこちらの・・・」
「そんな・・・」
「大体謝罪と言っているが実際は深山に指導をしてほしいだけだろ、お前らの都合を押し付けるな。」
いままで黙っていた教頭が外部の3人に声を掛けた。
「学業の邪魔になります。当面貴方方は出入り禁止にします。」
そして顧問教師2人に厳しい声を出した。
「貴方方も暫く謹慎処分とします。」
これは役員会の決定ですと言葉を添える。
「お前ら、深山を甘く見過ぎだ。」
生徒指導教師の言葉に5人は項垂れた。
「土下座で絆されるような性格してないぞ。」
今回の一件は佳澄が指導員の卒業生から問題コーチの脅迫について相談を受けたことから始まった。
休日、相手の様子を確認したジーンは言う。
「あいつ、初犯じゃないぞ。」
そこから幻影奇譚社経由で探偵を紹介してもらい、コーチの身上調査。
そうやって集めた証拠を私立竜ヶ峰高等学校、コーチの所属する大学に送り付けた。
SNS等のメディアに公開する予告付きで。
最初は動きが悪かったが、予告映像がSNSに流れた辺りで騒ぎが本格化する。
止めの直接対決は春休みに行われた。
現在、問題コーチは教育委員会や警察の聴収に素直に応じているという。
迷惑をかけた相手には謝罪と賠償をしたいと申し入れているそうだ。
馴染の生徒指導教師は佳澄から経緯を聞いて頭を抱えた。
「お前、やりすぎだろ・・・」
「彼の指導者としての熱意は評価しているので必要以上に追い詰められないようしてます。」
問題コーチの暴走の原因が最初に彼を注意しきれなかった指導者層の問題にすり替えた。
さらにバイトテロ問題を持ち出し、犯罪抑止方向に世論を誘導している。
彼自身については熱意が暴走したが熱心な指導者であることも流している。
素直に反省の態度を示し、真摯に謝罪する姿を見せていることもあり、職を失うだろうが酷いバッシングは受けずに済むだろう。
「そこまでするか・・・」
普通の女子高生は探偵は雇わない。
学校の経営陣や警察を巻き込まない。
目的の為に手段を選ばない。
私立竜ヶ峰高等学校で一番怒らせてはいけない人物No.1 深山佳澄
彼女の伝説にエピソードが一つ加わった。
法に触れることは一切してませんが・・・
ここまでするか?ということをやってます。




