龍の咆哮
龍の咆哮は第五部として執筆予定
龍の咆哮:作者 トーリ・サイデン
神聖帝国 初代から続く血統が途絶え、別の者が皇帝となった時期を舞台に書かれた歴史ミステリー
創世記に活躍しある時期を境にパタリと登場しなくなった初代の皇子に関する考察
初代から続く血統最後の皇帝が病に倒れ、後継者探しをする人たちの物語
結局、血統的に相応しい人物は見つからず、時の権力者(血縁無し)が次の皇帝になった
戦利品はガイに預け、翌日早朝、昨日よりも早い時間に同じメンバーで神聖帝国に出発する。
「私が行く必要あるんですが?」
「この要請書を見ると来てほしいのはマリスとお前だ。」
「マリスは分かるけど、何で私?確かまだギルドに本登録をしてないよね?」
運転するマリスの代わりに要請書を読んでいたリオンが首を捻る。
「具体的に指名している訳ではないですし、この内容でどうして佳澄さんってなるんです?」
リオンは当時まだ13歳、見習いにすらなれない年齢なのでヤーレで留守番だった。
「マリスがアナ・エルダの封印を解いたとき、俺も現場で試している。」
「その時は解除出来なかったんですよね?」
「ああ、そうだ。しかしシステムが言ってきたセリフが他と違った。」
「条件が不足しています」
佳澄の言葉にジーンが頷く。
「そう不足だ、他は「一致しません。」なのに俺は不足と言われたんだよ。」
「その不足を埋めるのが佳澄さんだと?」
「システムは「条件を満たされた。適合者の承認を要求します」と言ってきたそうだ」
神聖帝国は法王国よりすこし近く、夜間走行をすれば次の日の昼には到着する。
日中はマリスがメイン、夜はジーンが運転することにした。
単純な移動はマリスの方がジーンより早いが流石に夜は落ちるし、いくらスキルを使うと言っても疲労は否めない。
ジーンはマリオネットを使うので疲労度は低い(反対に佳澄が寝落ちする・・・)し、元々昼夜で差が無い。
リオンはこの二人に比べると1段落ちる。なので日中のマリスの交代要員である。
※佳澄は無免許なので運転できません・・・
「私も覚えた方が良いのかな。」
「変な癖がつくとまずいから向こうで免許取るまで止めとけ。」
予定通り、翌日昼前には国境ゲートに到着した。
ゲートで要請書についていた通行証を見せ帝宮を目指す。
荒野と違って道は良いが時速制限があるので帝宮に着いたのは翌朝、丸々二日間装甲車での移動となった。
佳澄がこちらに戻ってから1週間以上が経過したことになる。
『いつまでこっちに居られるかな?』
『前回は2週間だったからもう少しは大丈夫なんじゃないか?』
「佳澄、疲れてませんか?」
リオンの言葉に大丈夫と返事をする。
門番に通行証を見せたところ、皇帝は既にアナ・エルダに向かったのでそちらに向かってほしいと言われた。
この門番、7年前の関係者なのでジーンの顔もマリスの顔も知っている。
拝む仕草に逃げるようにして再び装甲車を走らせた。
1日目に国境ゲートを超え、アナ・ハルナに入り、そこから2日でアナ・エルダに到着する。
「変わったな。随分落ち着いている。」
「前は幾らアナ・ハルナ製を使っているといっても2度3度はモンスターに遭遇したのに。」
空の赤みも大分落ち着いたように思う。
佳澄の記憶にある15年以上前のストレアの空は昼も夜もなく赤かった・・・
1月程前になる法王国側の空も同じようだったので変わったのは南部アナ・エルダ周辺だけの様だ。
入口近くに皇帝用の天幕があり、そちらへ向かう。
入り口近くでリオンと共に待とうとしたらジーンに襟を掴まれた。
「お前もこい、リオンもだ。」
入り口の近衛兵に挨拶して天幕の中に入る。
儀礼的な挨拶をしようとしたジーンに皇帝マギ・オーランは無礼講を告げてきた。
「せっかく帝宮での謁見を避けたのだ。前と同じでいてほしい。
マリス、帝位を継ぐ気は無いか?」
「お久しぶりです。陛下。無いです。向いてないです。」
マギが開けたことになっている初代皇帝の霊廟を開けたのマリス、彼は消息を絶った第三皇子の血統を継いでいた。
「大体2,000年近く前の血統なんて意味ないでしょう。」
「そうでもない。お陰で私は叔父を退け、皇位を継げた。」
「元々は反乱を避けて逃げようとしていたんだしな。」
「叔父と争えば臣民に被害が出る。それを避けたいと思っていたんだが叔父がレア・マーデと繋がっていると分かったので逃げる訳にいかなくなった。」
「ここでもレア・マーデですか・・・」
佳澄の言葉にマギは後ろに控えていた佳澄とリオンに目を向けた。
「紹介する、こっちは妹の佳澄、うちのメンバーのリオンで今はマリスと組んでいる。」
「カスミとリオンが、承知した。
余はマギ・オーラン、皇帝をしている。」
「初めまして。佳澄と申します。
「リオンです。よろしくお願いします。」
「レア・マーデで何があった?」
「何でも屋が4人程行方を断っている。それに関与している疑いがある。」
「居なくなったのは異能者か?」
「レナ・カサルでは異能者だな。探せば何でも屋以外でもいるかもしれん。」
マギは頭を振った。
「相変わらず頭の痛い・・・」
4人が乗っている装甲車は調査時の拠点や野営に使うのでキャンピングカーとしての機能も持ってます。




