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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
第1章 ハーレン

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異能レベル

「今のところ、分かっているのはレナ・カサルで2人、エマルドで3人、何でも屋チームの情報処理が得意のメンバーが行方不明になっている」

「メンバー?ソロじゃなくて?」

「ああ、5チームともアレストリア所属、Cランクで商隊の護衛任務でレナ・カサルやエマルドに渡った」

「指名の有無は?」

「指名は無いが馴染の商隊の依頼だったのですんなり決まったみたいだな」

「ギルドもその点は確認済み、どのチームもそこそこに名が知られている。

チームメンバーの内、ハーレンで異能者として認められているのはリーダー他2人位で行方不明になった5人は近いうちに異能者として認められそうだというレベルだ」

「・・・そこも説明が欲しいんですけど・・・」

「・・・分かった・・・」


異能者にはレベルがある。

異能レベルが高いほど、老化がゆっくりになるなどのメリットが分かっているのでハーレンでは異能者を目指すものが多い。

ハーレンで異能者と言われるレベルを100とする。

魔人、それも魔王クラスを200、異能無しを0とする。

その基準でハーレンの都市に暮らす一般人は50前後、皆そこそこ異能を使う。

海洋国は80前後で辺境民並み、異能を使えない人の方が稀だ。

対するレナ・カサルの一般人は30前後、50年程鎖国体制をとり交流を通信以外絶っていたエマルド大陸では一般人は10台である。

ハーレンで魔人と呼ばれるのは150以上、ただし、大半は辺境民の指導者として各地に定住しており、穏やかな協力関係を結んでいる。

何でも屋ギルドのS,A及び一部のBはこのレベルかそれ以上で、ハーレンのCランクは大体120位である。

レナ・カサルで異能者と呼ばれるのは70、エマルド大陸では50で言われる。

そして魔人はレナ・カサルで120、エマルド大陸では100である。

シル・ストアが魔人の捕縛等を請け負うのはレナ・カサルかエマルドに行った時で大半は魔人になり立て。

ジーン達からすれば格下扱いで捕縛というよりも保護、大半は無力化、生け捕りにしている。

中には悪質でその都市の司法に引き渡したものもいるが、多くはハーレンに連れてきて更生させている。

※シル・ストア及びその関係者は殆どそうやって保護した魔人達・・・


「ようするに今回行方不明になったのは80~90でハーレンの基準じゃ異能者じゃないけどあっちじゃ十分異能者って訳だ」

「5人ともまだ何でも屋になって5年未満、ハーレンの外に何回か出てはいるけどハーレンの常識が抜けていなかったんだろうな」

「今までよく無事でしたね・・・」

「ずっとチームの先輩と一緒に行動していたが慣れてきたので単独行動を少しずつ認めた始めた矢先の失踪という話だ」

「異能者認定されてないなら教習も受けてないだろうし、チームで行動していればそう酷い目にもあってないだろうし」

「一般人の感覚で外の大陸で行動してしまったんですね。」

「佳澄もいくらジーンと一緒とは言え気を付けろよ。向こうの常識はこっちでは通用しない。」

「はい」


「ジーン、ギルドから資料がきている。ミオにも確認させているがお前も調べてみてくれ」

「分かった」

「えーと、色々お土産買ってきたんですが出すのは何時が良いでしょう?」

「何がある?」

「お菓子とお酒に各種調味料です」

すっとガイが手を出すとジーンがその手を叩く

「駄目だ」

「おい・・・」

「・・・お酒飲めるように改良するまでお菓子だけにしておくね・・・」

ガイの協力でマリオネットに組み込むパーツはその日の内に揃えられ翌日には改良が終わっていた・・・


翌日の夕飯は佳澄の持ってきたビールと調味料で作ったカレーライスとなった。

ワインを飲みたいジーンは文句を言っていたがミオの強い要望に負けた形である。

ゼンを交えて12名に対し、カレーは大鍋で4つ、激辛、辛口、中辛、甘口

ご飯にナン、チャパティの他、ヤーレの主食である黒パン、芋類、団子

「芋はカレーの中にも入っているんだけど・・・」

「こっちじゃ蒸し芋を主食としてよく食べるからね。」

「しかし、よくこんなに味の違うの作ったね。」

「家では私が激辛、兄と父が辛口、母が中辛、弟が甘口って好みが違うので普段からカレーを作る時はベースを煮た後に分けるのが当たり前だったです。」

「ま、今は悟も中辛になったから甘口を作るのは久しぶりかな。」

甘口は人気が無いかと思ったが普通に食べている。激辛は他に比べると減りが遅い。

激辛をメインに食べているのは佳澄とジーンの二人、他は一度は食べるもののその後手を出すものは殆どいない。

「これって本来はスパイスから作るものなんだろ」

「はい、発祥地ではそうですが私のところではブレンド出来る人は殆ど居ないのでメーカーでブレンドしたものを買ってます。」

カレーのベースとなるスパイスを一通り買ってきていた。

「こっちで再現しようと思ったらそのスパイスの代用品を探さないといけないね」

お土産の酒はマーサ、お菓子はミオ、その他は全てガイの収納に移動している。

「ガイ、調査はこっちでやるからスパイスの類は半分、こっちに寄越せ。」

ゼンの言葉に渋々同意するガイ、シル・ストアでは台所は男の領域である。


大鍋のカレーは全て空になり、酒のつまみとブランデーを持って食堂からリビングに移動した。

佳澄、マリス、リオンは食堂の後片付けをしている。

「ジーン、ミオ、何か分かったか。」

「エマルドの方は2件、作為の疑いがある。」

「1件はエマルド原産の医薬品原料の採取と移送が目的だったけど、2件は元々ラオ島を出る予定はなかったのよ。」

「街道の事故で取引相手の到着が遅れて暇が出来たから本土に遊びに行ったみたい。」

「遊びに行ける範囲はエマルドの中じゃ異能者に対する忌避感は低いし、治安も良いんだけどね。」

「街道の事故と本土への誘導は作為が可能だ。」

「ラオ島はギルドの監視もあって仕掛けるのは厳しいが本土なら幾らでも手が打てるからな。」

「もう1件の方は事故の可能性が高いみたい。エマルドの都市国家が共同で捜索に当たっているし。」

「どういうこと?」

「行方不明になったのはルドナ草の採取と都市のへの運搬を担っている商隊の護衛だからな」

「エマルドの風土病の特効薬であるルドナ草自体は比較的採取しやすい野草だが、薬効は採取してから3日以内に飲ませないと効果が無い」

「近くに採取地がなかったりモンスターの襲撃があったりで気楽に取りに行けないし、慢性化して常に必要としている患者も多い」

「都市には時間停止機能のある収納持ちがいてそいつらが管理しているんだが彼らに取りに行かせるわけにはいかないからな」

「どうも途中の街で風土病が流行して大量のルドナ草が必要になったみたいなの」

「それで商隊と街でトラブルになったというか商隊側は出来る範囲の対応はしたみたいだけど手に入らないというか後回しにされた市民の恨みを買ったようね。」

「提供したルドナ草の配分は街側の管轄で商隊側の責任じゃないんだがな」

「行方不明になったのは情報処理が得意というより一番戦闘能力の低いメンバーだったからみたいね。」

「戦闘系のスキルだけじゃチームは回せないから事務処理や各種調整をメインに受けもつ奴は必要でこのチームではそいつが担当していた。」

「で市民の窓口になって標的にされたと」

「煽った奴がいるかどうかはエマルド側の調査待ちだな」

「ルドナ草の運搬を担う商隊はそこだけじゃないが、これを切っ掛けに辞められると困るからエマルド側も必死で捜索している。」


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