買出し
夏休み最初の週末は家族そろってお買い物
弟が小学生の頃までは車を保有していたが今は必要に応じてレンタカーを借りることにしている。
父の運転するライトバンでアウトレットモールへやってきた。
目的は兄の新生活に必要な様々なものの下調べ(買うのはネットの予定)
父、兄、弟の男三人衆+スマホ(ジーン)は家具や雑貨の置いてある店舗へ
母と佳澄は食料品売り場へ
食べ盛りの子供が3人いる深山家のエンゲル係数はかなり高い。
本来あり得ない異能スキルの習得に成功してからはそこに父母も加わりさらに上がっている。
子供たちに金銭面での不自由はさせてないようにと質素堅実な家計運営で学費もかなり貯めていたのだが
兄の寛は大学まで一貫して国公立、その上塾、予備校には通わずストレート合格
佳澄は高校は私立なものの公立並みに安く、塾には行かず、習い事は空手のみ
弟悟も同様、予算を組んでいた学費はかなり余っている。
代わりに食費は想定以上に掛かってる。
全員食べても太らない(異能スキルで消費される)、直ぐにお腹が空くので佳澄と悟はドカベンを二つ持って学校に行っている。
悟の場合、2つ目の弁当は放課後だが、佳澄の場合、朝始業前に部室でまず1個目の弁当を食べて、お昼は学食、放課後に2個目の弁当を食べる。
元々佳澄はよく食べるがジーンと共存後2倍近くに増えた。
それでも全く太らない。
両親もまた佳澄や悟が用意したドカベンを持って仕事に行っている。
周りにドン引きされつつ、太らないことに羨ましがられている。
普段は業務スーパーでまとめ買いをして食費を抑えているが、たまには贅沢をしようと普段は近づかないお高い食品を扱う店にやってきた。
「母さん、今日は私が払うからお値段気にせずどんどん買いましょう!」
とデビットカードを見せる。
昨年から扶養家族から外れた佳澄の収入は父母の合計には劣るが結構な金額になっている。
「そうは言うけど、生モノは冷蔵庫に入る量に抑えないと」
「大丈夫です。」と肩にかけたボストンバッグを叩く。
収納空間の出入り口をボストンバックに設定して物の出し入れを目立たなくすることにしたのだ。
「そうだったわね。でもそこに入れるのは駐車の車の中にしましょうね」
そうして二人は目に付いた食材を買いあさり始めた。
商品を入れたカートを何度も往復させた二人はアウトレットモール内のカフェで一休みである。
目の前には大きなパフェにボリューム満点のサンドイッチ、珈琲。
ついでに遮音結界を張っているので読唇術でも使わない限り会話は聞こえない。
「これで終わりかしら」
買い物リストとレシートを見比べながら二人で料理をつまむ。
「後はお酒が残っているけどこれはジーンを呼ばないと拗ねる」
「あら、拗ねるの?」
母は楽し気に笑った。
「うん、食い意地張っているからね」
「まあ、でも今は飲めないでしょ」
普段食べる時に五感を共有して味わっているが佳澄はお酒は飲まない。
「戻ったら飲めるように改造するって」
「あらまあ」
向こうでは怪我他で全員サイボーグも珍しくなく味覚が分かる義体や食べた物をエネルギーに変換する技術もあるのだ。
ジーンはそれらをマリオネットに組み込むつもりである。
「しかし残念ね。そのマリオネット、こっちには持ってこれないんでしょう。」
「どうだろ?母さんも見たいの?」
「ええ。佳澄の話でしか姿を知らないからね」
「今度収納空間に入るか試してみるね」
「ええ、お願い」
テーブルの料理がなくなるころ、男衆もカフェにやってきた。
テーブルの料理を下げてもらい新しい料理を頼む。
「何か良いのあった?」
「いくつか。部屋の間取りの細かい数値聞いてないから首藤さんに相談する」
「大きな家具や家電はどうするの?」
「卒業したら帰ってくるつもりだからレンタルかなあ」
「メーカーと型番は控えたから帰ったら調べる」
「そちらは終わったのか?」
「後はお酒」
スマホが急に振動した。
「僕は画材屋さんに行きたい!」
届いた料理を食べていた悟が声を上げる。
学校では大人ぶっているが、家族だけだと時々子供帰りする悟である。
「じゃメンバーチェンジで車集合にしよう。時間は・・・」
カフェを出ると母、兄、弟の3人と父、佳澄に分かれた。
母は画材の他に兄が手配しようとしているものの抜け漏れを確認するつもりだ。
酒は佳澄一人では買えないので飲みたい父とジーンが同行する。
アウトレット内の大きな酒屋で普段見ない酒類にウキウキしている父
「父さん、今日買うのはジーンのお土産だからね」
「分かっている分かっているが自分の分を買う分には良いだろう?」
ワイン、ウィスキー、ブランデー、日本酒、焼酎、ビールにターキー、ラム酒、ウォッカ、シードル、色鮮やかなリキュール各種etc
反応の良い客に店員のトークはヒートアップ。それらを聞きながら気になる商品をカードに積んだ。
父が自分の分と言った酒も佳澄が払って店を出る。
「佳澄、それは私が払う」
「父さんには色々心配掛けているから。
飲み過ぎないでね」
「ああ。」
視線はカートに釘付けの父の様子に
「父さん分のお酒は母さんに預けるね・・・」
佳澄の様子はジーンはどこにいても分かります。
二人がお昼休憩に入ったのを知って合流してきました。




