ジーンの世界
ジーンの生きていた世界は言うなれば終末世界である。
100年ほど前に、アナ・ハルナで発生した大災害
アナ・ハルナとその周辺は何かに汚染され人が住めなくなった。
アナ・ハルナ周辺の動植物は凶暴化し、所謂モンスターと呼ばれる存在と化した。
人間も例外ではなく異能を持つ魔人または異能者と呼ばれる存在が世界各地で生まれるようになった。
大災害から10年もするとアナ・ハルナ周辺で存在するモンスターのようなものは
程度の差があれ全ての大陸で発生するようになっていた。
結果、大災害から100年前からの文明を継続している100に満たない城塞都市と
異能者を中心にモンスター達から自分たちの生活圏を守って暮らす辺境民の2つに大きく分かれて存在するようになった。
辺境民達が暮らす村は数は多いが10人から100人前後、最大規模でも300人を超えることはない。
対する城塞都市は最小でも一万人、中には国ごと万里の長城のように城塞で囲んだ神聖帝国や法王国などがあり、こちらは1千万人以上が暮らしているという。
そのため、人数だけで言えば城塞都市で生活している数の方が多かった。
ジーンの居た大陸は西側に大災害の発生地でアナ・ハルナのあるハーレン大陸・通称魔大陸である。
ハーレン大陸はサツマイモ様な形で真ん中には5000~10000m級の山々の連なる山岳地帯、その北側には城塞で国土を囲った法王国、南側には同じく城塞を囲った神聖帝国がある。
ジーンの拠点である城塞都市ヤーレは魔大陸の東側、天然の城壁である山脈にほど近いところにある。
城塞で国土を囲み鎖国に近い神聖帝国や法王国を除くとアナ・ハルナに一番近い城塞都市である。
大災害から100年、人々はなんとかこの世界に順応して暮らしていた。
多くのものは生まれた城塞都市から一歩も出ることなく生活し、辺境民やごく一部の者が冒険者やなんでも屋と呼ばれて都市や村々を渡り歩いている。
ジーンの所属するシル・ストアはその中で中堅クラスのクランであり、他の何でも屋のクランと同じく異能者で構成されている。
シル・ストアは都市間移動の護衛をメインとする他のクランとは異なり、請け負う仕事の大半は討伐と調査である。
ジーンは元々ヤーレの近くで暮らす辺境民だったが巨大モンスターとの戦いで家族を失い、その討伐に参加していたシル・ストアのリーダーに拾われ城塞都市ヤーレの一員となった。
ジーンは家族を失う元になった巨大モンスターが発生した理由を知りたかった。
そのため、恩があり、アナ・ハルナへの調査に参加することがあるシル・ストアに所属していた。
しかし、大災害から100年、多くの城塞都市が調査隊をアナ・ハルナに派遣しているが
・何故それが起こったのか
・それが何だったのか
未だに解明されていない。