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シル・ストア~来訪者(旧サブタイトル:風の通り道)  作者:
第1章 ハーレン

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閑話_刻印とお守り

二つに分かれた話を合体、加筆修正してます。

佳澄は拠点内にある訓練用のフィールドでジーンの訓練用装備を身に付けていた。

最初は空手の型、突き、踏み込み、蹴り

一つ一つを最初はゆっくりと確実に、そして徐々に徐々にスピードを上げていく。

最後の方は一般人では到底目で追えないスピードになったところで終える。

次は少林寺拳法の型、夏休みの講座で習った分だけなので基礎的なものだが空手とは違う動きを同じように繰り返す。

続けて合気道の型、柔道の受け身を何度も何度も繰り返す。


「佳澄、少し休憩を入れたら?」

飲み物を持ったミオが部屋にやってきた。

「有難うございます。」

佳澄は動きと止め、素直に受け取って喉を潤した。

「リオン、ジーンに面倒見るよう頼まているんだからちゃんとしなさい。」

最初に部屋の説明をした後、訓練の相手をすると申し出ていたのだ。

しかし、まずはどこまで動けるか確認をしたいからと佳澄に断られている。


「で、どんな感じ?」

一呼吸ついた佳澄に声を掛ける。

「向こうにいた頃よりも数段動きが上がっています。」

そう言って着ている防具を指し、

「これ、面白いですね、動きのサポートというかなんというか・・・」

「ああ、身体強化の刻印が刻まれているかね。」

動き始めてから最初は淡く、最後の方はかなり強い光を刻印は放っていた。

「驚いたわ、リオンなんて刻印が反応したのは訓練を初めて3か月位してからだったのに。」

リオンがシル・ストアに来たのは9歳、それまではレナ・カサルの村の普通の少年だった。

基礎が違う。


「ただ、自分の感覚より強く力を引き出されているから慣れるまで外では使わない方が良さそうです。」

「制御できない?」

「リンゴを持つ積りで握りつぶすってみたいに力加減が分からないので怖いですね。」

その言葉にミオは笑った。

「安心したわ。訓練し始めの子供は刻印の力を自分のものと勘違いして無茶したり怪我したり、相手を傷つけたりするからね。」

「流石に訓練用の装備は致命傷にはならないように出力制限されていますよ。」

とリオン。

「それは分かった、トップスピードまで上げようとしたら途端に負荷が掛かって動きが悪くなったから。」

「ちょっと待ってください。あれで負荷が掛かっていたんですが?」

「うん、そうだけど?」

「リオンだと普段の装備でも訓練用の佳澄に押し切られるわね。」

「次はマリスに頼みます・・・」

リオンとマリスを比べた時、異能の総合力ではリオンの方が上だが、身体能力ではマリスの方が上

リオンが弱いのではなくマリスが強すぎるだけなのだが。

「マリスでも油断すると佳澄に押し切られそうね。」

「いい気味です。」

日頃訓練でマリスにやり込められているリオンは少し黒い笑みを浮かべた。


「これのこと、もう少し教えてもらえませんか?」

とまだ淡く光る刻印を指した。

「刻印はアナ・ハルナの神代語をベースにしているよ」

「これは訓練用だから簡単な言葉で2つ3つを組み合わせているわ。」

「ただ同じ言葉でも人によってものによって効果が異なる。」

「辺境民の村では小さい内にお守りとして刻印の付いた武器を渡し刻印に力を籠める訓練を始めるの。」

「お守りですが・・・」

「佳澄?」

「私の故郷では子供が生まれると神社に行ってお守りを貰う習慣があります。」

「そうなんだ」

「我が家が行くところではこういう守り刀になってます。」

と言って収納からお守りを出す。

「えっ?」

お守り袋が淡く光を放っている。

慌てて袋か守り刀を取り出すと、刀に刻まれた文字は刻印と同じく光を放っていた・・・

「何で???向こうじゃこんなこと一度も無かったのに・・・」


佳澄の守り刀に記載されていたのは照という文字

天照大御神から周りを明るく照らすような人になってほしいという願いを込めて選んだと聞いている。

「これは私の故郷の文字で最高神である太陽神の女神様の名前の一文字、照らすと言う意味で、ショウと読みます。」

「・・・」

「どうしました?」

「佳澄さん、アナ・ハルナの神話って聞いています?」


この世界は異邦よりやってきた二柱の神が生み出したというおとぎ話。

その二柱の神よりアナ・ハルナの守護を託された八柱の神々

大災害前のアナ・ハルナにはこの神々を祀る人達によって成り立っていた。


「この始まりの二柱の神の御名はショウとエンマなんです。」

舞によって世界を生み出した神話、神が実際に力をふるうこの世界では神話と言えど馬鹿に出来ない。

「なんか、古事記に書かれた始まりに似ていますね・・・」

「コジキ?」

「故郷の神話とか歴史とかをまとめた本です。最初の国産みの儀式で伊邪那岐イザナギ伊邪那美イザナミの二柱に神々が海原に矛を立てて・・」

簡単に説明する。

「そんな神話があるんですね。」

「こっちはそのまま神として奉じられてますが。」

「でこの文字の由来の女神というのは?」

「さっきの伊邪那岐命の左目を洗った時に生まれた神様で月の神、海の神の3人が一番えらい神様ってなっている。」


「で、これどういうことだろ?」

騒ぎを聞きつけてやってきたジーンにお守りを見せる。

光は大分大人しくなったもののはっきり光っていることが分かる状態だ。

「漢字は表意文字なんで刻印と同じ効果を持ったのかな?」

「ジーン先輩でも分からないんだ・・・」

「お前ら、俺を一体何だと思っているんだ・・・」


「そう言えばなんかの小説で異界のものは力を持つなんて言っていたね。」

「それの影響と言いたいのか?」

「可能性はあるんじゃないの?神社でお祓いしてもらったものだからもしかすると日本の神様の力が籠っているかも。」

「そう言えばそちらにはどれだけ神様がいるんです?」

「うちの故郷は八百万の神々と言って万物全てに神が宿るって言われている。」

「別の国の宗教では唯一神を崇めるところもあるがな。」

「そう言えばさっき聞いたけど、アナ・ハルナは始まりの二柱とその二柱の神に託された八柱の神々、

その眷属他沢山の神々を信奉していたんだね。」

「八柱の眷属以外は大体、二柱の神の眷属ってことになっている。」

「太陽とか星とか夜、月、風、夢色々あるし、それらを祀る神殿や祠も多いな。」

「流石に八百万はいないけど。」


「そして法王国のトリスタン教は大いなるもの1柱のみを神と定めている。」

「トリスタン教はハーレンじゃ法王国を除くと殆ど信者がいないけど、レナ・カサルではメジャーだな。」

「この大いなるものはアナ・ハルナの神には含まれていない。」

「確か始まりの二柱の神が現れる前の世界の存在だっていう話だけど。」

「ということは正体は虚無?」

「さあな?何もないところに二柱の神がやってきたって話だし」

「エマルドは?」

「エマルドはまた別の神、八柱の神々より古い、太陽神や月神を祀っている。

だが、最近は結構トリスタン教の信者が増えたって話だな。」

「法王国の言う神罰ってその大いなるものが下したって話だっけ。」

「嘘くさい話だがな。実際、大いなるものなんてトリスタン教の聖典には出てこなし。」

「出てこないの?」

「ああ、聖典は聖人の言葉だけで、大いなるものは後付けで神像もない。」


佳澄の言う習慣はお宮参りです。

守り刀はモデルは無し、どこかの神社では貰えるかもしれない。

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