断章10.廃都
城塞都市フィリス、深夜
爆発音と共に城塞の外壁が吹っ飛んだ。
無人の外周区に警報がけたたましく鳴り響く。
度重なる内陣からの暴力で外周区の住人は皆逃げ出した。
逃げ出せぬ者は内陣の兵士に捕まり、連れ込まれている。
彼等の行方は杳として知れない。
外周区の外壁を吹っ飛ばした影は今度は内陣のドームに視線を向ける。
「壊れろ」
何度も何度も力を叩きつける。
外周区の地面には巨大化した蟻がはい出てくる。
無人の家に張り巡らされた蜘蛛の巣から巨大化した蜘蛛が窓を割って外に出てきた。
やがて、内陣のドームに罅が入る。
その時になってやっと内陣の兵士が武器を持って出てきた。
出てきた兵士たちを蜘蛛が蟻が襲う。
恐怖に駆られた兵士が銃を乱射する。
が・・・その銃で怪我をするのは味方の兵士達。
兵士達の開けた扉から虫達が中に入っていく。
内陣の出入り口を兵士達が塞いだころ、ドームが吹っ飛んだ。
ドームから影が降ってくる。
パニックを起こして逃げ惑う兵士達。
影は兵士達が塞いだ出入口周辺を破壊して外に出られない様にしていく。
ドームの穴から次々と虫達が降ってきた。
全ての出入り口を塞ぐと影は地下の排水路の中に入った。
影の通り過ぎた場所から次々と生き物が巨大化していく。
巨大化した生き物は排水管、通気口を伝って内陣の中に姿を現した。
悲鳴が響き出口に向かう人々。
その出口は無情にも瓦礫で塞がれていた。
逃げ惑う人々を照らす明かりが突然消える。
エネルギープラントが破壊されたのだ。
地下で爆発音が響き、地面があちこちで陥没していく。
街を照らすのはドームに空いた穴から差し込む月光だけ。
夜が明けた。
地下の爆発音も収まっている。
何かがドームの穴から外に出て行った。
ドームの中は虫の這いずる音だけが響いている。




