#9 弐〜Second battle〜
「はぁ…もう一回向こうに行くのだるすぎるでしょ」
《まもなく第二回戦を始めます》
あのあと結局スプリングが消えたこともあってか試合の続行が宣言され、一回戦の残りの試合も終わり、アナウンス通り2回戦が始まろうとしていた。
「そういや一回戦も最初だったせいでまた最初なのか」
♦︎
「さて、今回の相手は…っと」
「はじめまして」
「私は鹿島夏海」
「春香お姉ちゃんの双子の妹だよ」
金髪のツインテールに赤目の少女はそう名乗った
「お手柔らかに頼むよ?」
「それはこっちのセリフなんだがな…」
《試合開始!》
「まずは小手調べ!」
「ツインパルスレーザー!」
ツインブラスターから光線を放つ!
すると
「いただきま〜す!」
徐に口を開ける夏海。
「何をする気だ?」
次の瞬間
「――は?」
「う〜ん、おいしいね♪」
「なんでこうも俺は天敵に当たるんだよ!」
「君自身はどんな味がするのかな?」
「試させてよ!」
「ブラストマホーク!」
トマホーク形態に変形させる。
「いっただきま〜す!」
「喰らうかっての!」
サイドステップで回避して後ろからトマホークを振り下ろす!
「おぉっと」
「ノールックで防ぐってマジ?!」
「はぁっ!」
そのまま投げ飛ばされる。
「ぐはっ!」
「いってぇ…能力は食うことなんじゃないのか?」
「そうだよ?」
「頑張って鍛えたんだ〜」
「鍛えたの域ではないだろ」
「鍛えただけでこうなるわけないっての!」
「なってるけど?」
「あぁもう!」
「イライラする!」
「どうせならお前の耐久性能を試すか!」
「ブラスター!」
「ツインフレイム!」
トマホーク形態から二丁拳銃に戻し、熱線を発射する!
「我慢比べってわけね!」
夏海は思い切り口を開け吸収していく。
「さて、どこまで耐えるかな!」
「まだ私のお腹は満たされないわ!」
「安心しろ、絶対満たされるからさ!」
そう、絶対満たされる。
この武器を常人が扱えない理由はハデスの負荷に耐えられないのもあるが、
何よりも大きいのはほぼ全ての技に魔力を必要とすることだ。
魔法を使えない俺がまず作ったのは無尽蔵の魔力を使って発動する魔道具…魔銃・ツインブラスターだった。
この無尽蔵の魔力はどうやら俺の体質らしく、能力を使い果たした後でも残っていたらしい。
つまり、俺の魔力が尽きるよりも向こうの吸収限界がくるのが早いはず!
「さぁ!そろそろきついんじゃない!」
「まだまだぁ!」
「しっかし本当に大食いだなてめぇは!」
「うるさいわね!」
《果たして夏海が吸収限界を迎えるのが先か!未来の魔力が尽きるのが先か!》
《全く予想のつかないことが今起こっています!》
どうやら画が単調すぎたのか彩音が実況を始めた。
「いい加減諦めたらどうだ!」
「私は貴方に勝ちたいの!」
「勝って、月乃ちゃんに中学の時のリベンジをする!」
「なら尚更勝たすわけにはいかないな!」
といったものの、膠着状態である以上どうにかしてこの場を切り抜けたい。
だが、それは向こうも同じはず…なら、あれを試すか?
「ちっ!」
「お?あきらめてくれるの?」
「ちげぇよ!こうすんだよ!」
「ブラストマホーク・スタッフモード!」
ツインブラスターがトマホークになり、さらにその刃が収納され、銃だった部分の後方から水晶が生成される。
「なに?それ」
「さて、こいつを説明するついでに俺の話もしたろう」
「え?」
「俺はな、大きな魔力はあるけど魔法が使えなかった」
「よくある話だろ?」
「だからな、魔力を使って攻撃をする武器を作った」
「これがこのツインブラスターなわけだが」
「こいつには魔法の杖としての効果も持たせてある」
「つまり」
「幻象魔法も万象魔法も使えるってわけだ」
「そんな…そんなバカな!」
「じゃあ試すか!」
「いいわ!全部食べてあげる!」
「万象魔法・ボルケーノ・カタストロフィー!
噴火をこの場で再現する!
さて、この攻撃をどう夏海が対処するのかを見ながら魔法の説明をしようか。
この世界の魔法は大まかに以下の二種類に分けられる。
幻象魔法:よくファンタジー小説で見るような攻撃や回復など現実ではありえないことをする一般的な魔法
現実にはありえないことを作り出すため、自由度は圧倒的に高くこちらを使う魔法使いや魔族などの魔力保有者はこちらを学ぼうとする魔法。
しかし、ありえないことを作り出すため魔力効率は比較的悪く、そこをどう自分の戦闘スタイルで補うかが鍵となる。
万象魔法:現実で起こることを再現する魔法。
例えば幻象魔法では前方向に氷の剣を作ったりして飛ばすことができるが、森羅万象魔法は空中につららを作り、それを落下させることしかできない。
ぱっと見幻象魔法よりも弱く見えるが、同じことをするときの魔力効率がいい。
そして、「万象」の通り、膨大な魔力を使えば災害すらも引き起こせる。
その魔法はカタストロフィーと名の付く魔法だ。
自由度は低いが、先述の通り魔力効率はいいので、その自由度をどう戦闘スタイルで補うかが肝となる。
しかし「魔法」としてみると幻象魔法の方が人気なため人気度は低い。
「っと、さすがに空中に回避したか」
「ちょっと!いきなり万象魔法の最高火力のうちの一つぶつけてくるってどうなの?!」
「いいじゃんか」
「さて、次は」
「ストーム・カタストロフィー!」
今度は嵐を巻き起こす!
「ぐっ…ぁぁぁぁぁ!」
壁に激突する夏海。
「っし、これで勝ちかな?」
「勝ったと思うなよ?」
「うぇっ?!」
「嘘ぉ…まだ立ち上がるの?」
「私をなめないでほしいな」
「さて、如月未来」
「私の最高の晩餐になってくれ!」
「飢餓の晩餐!」
「嘘…だろ?」
巨大な口を持つ怪物のようなエネルギーがこちらへ向かってきていた。
「あぶね!」
横へと走り、エネルギーを回避する。
「まるでベヒーモスだな」
「えぇい!さすがに行けるよな!」
「万象魔法・メテオカタストロフィー!」
空中から巨大な隕石を降らせる。
「さぁ、選べ!」
「隕石を破壊するか、俺を追撃するか!」
「ちっ」
エネルギーと隕石がぶつかり合い空中で爆発が起こり、破片が落ちてくる。
「…そろそろ冷却を挟むか」
そう、この杖、さすがにいくらでも魔法が放てるわけではなく、強力な魔法を撃ちすぎるとオーバーヒートしてしまい、冷めるまで変形も何もできなくなってしまう。
「まったく、よくも好き放題やってくれたわね」
まずいな...こうも長期戦になられるとさすがに体力にも限界が来る。
だがあいつは食うことによってエネルギーと体力を回復できる。
だからあいつは多分長期戦に持っていきたいはず!
「つまり!一か八か!」
「こいつをやるしかないってわけだ!」
「何をしようと無駄だ!如月未来!」
「そいつはどうかな」
「トマホォォォォク!」
「ブゥゥゥゥメラァァァン!」
トマホークを思い切り投げ飛ばし、ブーメランのようにする。
「無駄なあがきを!」
頼む…視えてくれ…一瞬でいい!
「っそこかぁ!」
ある地点に向けて走り出す
「こんなトマホークごとき!」
腕で弾き飛ばされる俺のトマホーク。
しかし
「よっしゃぁ!大当たり!」
「な…」
「何ぃ?!」
落下地点にピッタリ間に合う俺。
「よっ!」
目の前の壁を使い、思い切り飛び上がり
「スタッフモード!」
杖の状態にし
「十分冷えたんでな」
「これでもう一度魔法が使えるってわけだ!」
そう、さっきブーメランで飛ばしたのは飛んでる最中の風で冷却時間を少しでも縮め、はじき返されたときの風でも縮め、なんとかして最初の状態に戻したのだ。
「万象魔法!ブリザードカタストロフィー!」
今度は巨大な吹雪をお見舞いしてやる。
さらにその吹雪で冷却も済ませる。
「さ、さすがに吹雪は食べれん!」
腕を組み防御に徹するようだ。
「じゃあ!」
「幻象魔法!」
「アイスランス!」
つららを目の前に飛ばし、追い打ちをかける。
「ちっ!」
跳び、回避する夏海。
「幻象魔法!」
「サンダーストーム!」
雷と竜巻が混ざった攻撃をジャンプ先に飛ばす。
「馬鹿な?!」
「がはっ!」
「さて、さっさと倒さないとね!」
「私は…負けない!」
「フォーク?!」
巨大なフォークを槍のように装備している。
「そんなのありかよ!」
「はぁぁぁぁ!」
「トマホーク!」
トマホークに戻し
「ぬん!」
お互いの攻撃がぶつかり合い、また衝撃が起こる。
「はぁぁぁ!」
トマホークを弾かれてしまう。
「がら空きになったな!」
「ほっ!」
サマーソルトキックを食らわせ、後ろに引かせる。
「いっつ…」
「多少は徒手空拳もできるんだっての!」
バク転で距離をとりながらトマホークを回収する。
「ハデス!決めるぞ!」
≪任せて!≫
もう一度体が赤くなる。
「よっ!」
思い切りジャンプし、空中できりもみ回転をしながら態勢を整え
「冥府の斧撃!」
「飢餓の一突き!」
拮抗する二つの技。
「俺があいつと戦うんだ!」
「私だ!」
《これをみて淡沢は何て思ってるんだ?》
「押し切らせてもらう!」
俺の方が力が強くなっていき
「オラァァァァァ!」
一刀両断する。
「は…はは」
「なかなかやるじゃん?」
「次は負けないよ」
そういってこの仮想世界から消滅する夏海。
《勝者!如月未来!》
「っしゃぁ!まってろよ!」
そうして、なんとかして月乃との戦いへの切符を手に入れた。
♦
「いやぁ…まさか第二回戦までで1日終わるとは、まぁ結構出てるし、しょうがないか」
「しかし、いかんせん火力不足なんだよな」
俺は自室にて悩んでいた。
「やっぱり私を中にいれないか?」
「いやぁ、でもそれって」
「あぁ、いいぞ?別に」
「彩音?!」
「結構いるぞ?精霊と契約したりして体に飼ってるやつ」
「まじかよ」
「じゃあ決まりだな」
「摩耶…頼むぜ?」
「任せといて」
「あの恩は絶対忘れないからね」
「あれが恩…ねぇ?」
「暴走状態だった私を助けてくれたのはお前だろ?」
「いや、そりゃ暴走ってわかったからどうにかして神性を回復させただけさ」
「助かったよ」
「そりゃどうも」
「なぁ、大地」
「改めて私の能力の説明しとくよ」
「あぁ、頼む」
「私の能力は結糸」
「背中から糸をはやしてそれを振り回すことで物理攻撃をしたり、新たな武器を編んで攻撃をすることができる」
「それもお前の魔力で弾丸も生成できるからミサイルポッドだって作れるよ」
「あと、私個人の能力じゃない性質として」
「こう見えても蜘蛛の神様だから、四本新たに腕をはやすことができる」
「蜘蛛としての腕と人間の腕の二種類だね」
「うん、変わってなくてよかった」
「練習は?」
「大丈夫」
「というかこの糸で某ヒーローっぽくビルを渡れたりできないのか?」
「忘れてるかもしれないけど糸で翼と推進器を編んだほうが早いって言わなかったかしら?」
「そういやそうだったな」
「さて、明日も早いんだから寝なさい」
「あいよ」
♦
「いやぁ…未来ってやっぱり大地じゃないの?」
「でも大地が魔法を使ったなんて記録はないよ?」
「...別に使う必要がなかった」
「クレッセントちゃん?」
「...魔法よりも効率が良くて高火力なものがあるなら魔法使う必要…ない」
「確かに」
「ちなみにあの計画の方は進んでるの?」
「まぁね」
「量産はできたし、あとは実行を待つだけよ」
「楽しみにしてるわね」
密会はそうしてさらに進んでいく…




