表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/60

#60 魔 Ⅳ~Devil’s Stygian Savior Ⅳ~

「なんでお前、そっち側についてるんだよ!」

 DSSと戦ってる中、32年前に俺の妹を殺しかけた奴...(ゆき)が突如と乱入してきた!

「あら?別に言ってなかっただけで前からこっちよ?」

「マジかよ…」

 30年前の俺だったら3人の相手ぐらい余裕だが今の俺じゃ(ゆき)と戦うのは無理だ。

「出てきたってことは、俺とやり合うつもりなんだろうな!」

「そうじゃなきゃ出てこないけど?」

 刀が弾かれたせいで再生成してもらわないといけなくなったがそんな隙は与えてくれないだろう。

 魔法で攻撃するのが1番だとは思うがこれ以上ここで戦闘したら街がもっと酷いことになってしまう。ただでさえブレイジングスパークで道や壁はボロボロになっている。ここで万象魔法(ばんしょうまほう)のカタストロフィ系なんて撃とうものなら家にも影響が出てしまう。

「どうすっかな…」

 いや、そういえば一つだけ周りへの影響を気にせずに使える魔法があったな。

古都(こと)、今から強化魔法を最大出力で使う」

「お前の力でブーストもかけてくれ」

≪いや、そんなことしたらお前の体は≫

「再生は8割方戻ってきてるんだ」

「行けるさ」

≪…あぁもう!知らないからな!≫

「作戦会議は終わったかしら?」

「あぁ!」

「じゃあ、死んでもらおうかしら!」

擬似冥府(レプリハデス)超過(オーバーロード)!」

 全身が真紅に輝き始める。

 ハデスよりも火力の上がった超過(オーバーロード)

 それを表すかのようにいつもよりもより体が紅くなっている。

「新しい姿を手に入れたからって勝てるとでも?」

 (ゆき)が余裕の表情でこちらを煽ってくる。

 しかし、5秒後にその表情は崩れることになる。

「がっ...」

 スプリングを壁に叩き付ける。

「――何が...?」

 強化された身体能力は音のそれを優に超えている。

 いくら魔族といえど肉眼では捉えることができないらしい。

「お前ら、まさか今の見えなかったのか?」

 壁に叩き付けたスプリングの首を絞めながら振り返って逆に(ゆき)を煽る。

「このぉぉぉぉぉ!」

 怒りに任せたままクレッセントが飛んでくる。

「よっ!ほっ!」

 クレッセントの攻撃を軽くいなす。

「よくも!よくも!」

「柄にもなく熱いねぇ」

≪おい、お前性格悪くなってるぞ≫

「ったりめぇだよ」

「こちとら愛しの彼女との帰り道を邪魔されたんだぞ!」

 クレッセントの顔面を掴み振り回す。

「はぁぁぁぁぁ!」

 脚じゃなく顔面でジャイアントスイングを食らわせ、(ゆき)の方向へ投げ飛ばす。

「おっ...と、相変わらず荒々しいねぇ」

「離してください!あいつは私が!」

「その怪我じゃ無理でしょ?クレッセント」

「でも!」

「アポロンは諦めましょう」

「まるでスプリングは取り返すみたいな言い方じゃないか」

「えぇ、もちろん」

 正直ここまで強化魔法を使ったのは初めてだからどれぐらい持つのかが予想できない。

 もしかしたら(ゆき)との戦闘中に消える可能性がある。

 つまりさっさと決着をつけないといけない。

 それにここまで街をめちゃくちゃにするのもやばいしな。

「けが人抱えて勝てるのか?」

「あの頃の貴方ならいざ知らず、今の貴方なら勝てるわ」

「舐めるな!」

 思い切り地面を蹴り空へと飛びあがる。

 目の前にある家の屋根に着地し、方向転換して(ゆき)に蹴りを食らわせる...が

「マジ?!」

 障壁が出現し、俺の蹴りを防いでいた。

「ちっ」

 また別の家の天井に着地する。

「あれどうすっかなぁ」

≪腕に僕の剣を生やして突破しよう!≫

「それ採用!」

「うっ...がぁぁぁ!」

 両腕に少し痛みが走ると同時に腕が剣へと変化する。

 この腕は防壁その他を突破できる力がある。

「はぁっ!」

 様々な家を飛び交いながら(ゆき)の周りを走る。

「喰らえ!」

 両腕を合わせてもう一度ぶつかる。

「なるほど...縁切り神の力で、ねぇ?」

 だんだんと障壁にひびが入っていく。

≪行ける!≫

「残念!障壁だけじゃないのよ!」

撃滅閃光バニッシュメントスパーク!」

 抱えられてるクレッセントが光線を放ってくる。

「あっぶな!」

 なんとか飛びのいて躱すことができたが体制が崩れて着地に失敗してしまう。

「しまった!」

 俺が避けたすきにスプリングを抱きかかえられる。

「逃がすk...」

 体に激痛が走る。

「ぐっ...大...体5分...ちょっ...とか」

 おそらく強化魔法の副作用だろう。

「ここは引いてあげるわ」

「アポロンもあげる」

「でも次合う時は、ね?」

 そう言い放つと虚空へと消えていく(ゆき)と”偽名(コードネーム)”二人。

 それを見届けると同時に意識を失ってしまう。







「危なかったわね」

「あら?随分と派手にやられたじゃない」

幻夜(げんや)ちゃん」

 赤いリボンを付けた天使のような金髪の少女――幻夜(げんや)は3人を見るや驚いた様子で話す。

「この子たちお願いできる?」

「任せといて」

「...ゆめよ(ゆめよ)ちゃんがみえないけど」

「あぁ、ゆめよ(ゆめよ)なら今は美月様に報告に行ってるわよ」

「報告って?」

「ほら、大地(だいち)と戦ってるときに援護が来なかったでしょ?」

「ま、まぁ」

「あれね、ゆめよ(ゆめよ)が魔晶獣を使って連中をかく乱してたのよ」

「助かったわ」

 ヘタッと地面に座り込む(ゆき)

「危なかったぁ」

 緊張が解けたのか口調が少し柔らかくなる。

大地(だいち)とやりあうのなんて30年以上やってなかったから心配だったわ」

「でも能力消えてるし余裕でしょ?」

「そんなことないわよ」

「あいつ、あの頃と違って小手先の技術身に着け始めたわよ」

「え、まじ?」

「まじ、能力使えないからって魔法の技術とか剣技とか」

「うわぁ~...さっさと処理しないと大変そうね」

「吸収が完全に戻る前にけりをつけないと」

「そうね...」

幻夜(げんや)さんと(ゆき)さん、仲良さそう)

(私が生まれるより前からの付き合いだもんね...)

 そんなことをクレッセントは思うのだった...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ