#6 練〜mock battle〜
「おはよう、九十九」
「あら、結構早いのね」
「今日はなんかな」
「なるほどね」
「あ、そういえばそろそろ大会の時期ね」
「大会?」
「そうそう」
「クラスから2人ずつ出場して優勝を争うの」
「戦績によっては上位クラスにも入れるわ」
「なるほど」
「まさか俺に出ろとか言わないよな?」
「言うけど」
「え?!」
「まぁクラスのみんなが許せばだけどね」
「よかったぁ」
「いや、多分許されるわよ?」
「いやなんで?!」
「だって貴方岩井佳奈を倒してるし」
「そう言うことかぁ」
あの勝負負けといた方が良かったな…ようわからん結晶生物に絡まれるわ大会に出場させられるわろくな目にあってねぇ。
「さて、それじゃ朝食食べに行きましょ」
「あいよ〜」
九十九とともに食堂に降り、一緒に朝ご飯を食べる。
「いやぁ〜まさか貴方とこんなご飯が食べれるなんてね」
「それはそうだな」
「まぁよく俺復活できたって話よな」
「えぇ」
「というか体の方は問題ないの?」
「う〜ん…常時再生が働いてる感じがしてまだ慣れないな」
「いやまぁ働いてるんだろうけど」
「あの頃は常時じゃないの?」
「あぁ、疲れもとるとはいえ流石に違和感があってな」
「まぁ異常なダメージを負った時にはそれが回復するまで常時だから違和感がすごかったな」
「なんか物に手があたってもすぐにその感覚が消えていくから怖いんだよね」
「何それ」
「多分触ったことによってすり減った細胞すら回復してるんでしょ」
「まぁこんな常時は初めてだけどね」
「そうなんだ」
「あぁ」
「さて、飯も食ったし」
「貴方ってほんと食べるの早いわよね」
「もう安全なんだしゆっくり味わって食べれば?」
「このあと鍛錬したくてな」
「なるほどね」
「それじゃ!」
そう言って俺は食堂から去る。
「鍛錬ねぇ…誰につけてもらってるのかしら」
「姉貴!やろうぜ!」
「おっけー!」
お互いに構える。
「「スゥゥゥ…」」
「「いよっしゃあぁぁぁぁ!」」
お互いに全力でぶつかりにいく!
「はぁ!」
「なんの!」
お互いの攻撃が弾かれ、あたりには軽い衝撃が放たられる。
「投げ飛ばす!」
腕を掴もうと突っ込んでくる姉貴。
「そう簡単につかますかよって!」
掴もうとして片腕を掴み逆に
「オラオラオラァ!」
ジャイアントスィングで距離を稼ぐ。
「くっ、こう言うときた能力ないのきついな!」
「遠距離ないものね!」
「はぁっ!」
「よっ!」
姉貴に合わせて拳を出し、お互いの拳がぶつかり合う!
「重い…なぁ!」
なんとかして打ち勝つ。
「能力使ってない私にその程度?」
「無茶言うなよ…こちとらまだ能力ないんだって!」
「それでもいくらなんでも…」
「鈍ってて悪いな!」
「オラァ!」
「甘い!」
蹴りを腕で受け止められる。
「ならば!」
蹴りを出してない方の足で跳び上がり、腕を足で挟む!
「なるほど?」
「ハァ!」
そのまま回転をかけ姉貴をころばせる。
「関節技ね」
「俗に言う腕挫十字固めってやつだ!」
ギリギリと思い切り捻る!
「じ…地味に痛いわね」
「でも!」
「リミッター!」
「ストップ」
「大地、学校よ」
「あぁ、ありがとう」
固めを解く。
「しっかしあの艦長が呼びに来てくれるとは」
「あのねぇ、本当はもっと会いに行きたいの!」
「でも時間ないんだもの!」
「はいはい」
艦長――湊美波。
俺らが保有している飛行戦艦の艦長を務める女性。
かつては俺と融合して強力な水を使った技を繰り出してたんだけど、なんか最近はでかい戦闘もないから暇そうに見えて実は書類仕事で大変なんだとか。
「ほら、早くいってくる!」
「はいよ〜」
支度をしてビルを出る。
♦
「はぁ...めんどくせぇ~」
席について放った第一声はそれだった。
「さすがにだるいなぁ...」
そう、何がだるいかといえば
「おいおい...だるいはないでしょ?」
「彩音...よくも俺を大会に推薦しやがったな」
「さぁ?月乃と行ってくるんだな」
「はいはい...って月乃?」
「ん...」
「いつもクールだよなぁ...ちなみになんでか教えてくれたり」
「しない」
「しないかぁ...そこをどうにかさ!」
「俺、選ばれた代表同士仲良くしたいんだけど」
「...別にいい」
「んだとぉ?」
「じゃあ俺と勝負しろ!」
「え?」
「俺が勝ったらお前がそう振る舞う訳を 聞く!」
「私が勝ったら?」
「俺のできる範囲で何でもしよう」
「乗った」
「いいか?彩音...先生」
「あぁ、いいぞ」
♦
【さぁ、VRだからな、思い切り暴れていいぞ!】
「うっし、初手は様子見からだよな」
「そのクールの理由、聞き出してやる!」
「ツインパルスレーザー!」
ツインブラスターからビーム弾を連続で放つ!
「無駄」
全弾避けられてしまう。
「全弾ってマジ?!」
「なら!」
「これでどうだ!」
今度は懐から隠しナイフを至近距離で投げる
「ん...危ない」
「いっ?!」
よけられたかと思いきや腹に思い切り強烈なパンチが入り吹き飛んでしまう。
「くっそ...強すぎだっての」
「さすがこのクラスの1位」
「...気絶しない?!」
「さすがにこの程度じゃ気絶しないよ!」
「ブースター...は無いんだった」
「ブラストマホーク!」
ツインブラスターを合わせて戦斧にする。
「う~ん...いけるかなぁ」
≪一応3分はいけるよ≫
「あれ?減ってない?」
≪あなたの体治ってきてるんだもの...酷使できないわ≫
「じゃあなんでこの前は5分とか言ってたんだよ」
≪結局2分も持たなかったじゃない≫
「話しずらしやがって...まぁいい!」
「やるか!」
「久々に正式に詠唱しますか」
「音声認識」
「冥府の王よ...我に力を貸せ!」
「憑依合体!」
≪「冥王モード!」≫
体が赤く染まる。
「ふぅ......」
お互いににらみ合い...
「はぁっ!」
思い切り跳躍する!
「見えた」
拳を合わせられるが
「押し通る!」
もう一度腹に拳が当たりながらも無理やり食らいつく!
「冥府の斧撃!」
「ぐっ...!」
VRの闘技場の床が割れる!
「このっ...!」
弾き返される。
「これを弾くか!」
「なら!冥府の闇!」
前方に巨大悩みを展開し、態勢を立て直している月乃に追撃する...が
「―――」
「え?」
次の瞬間、冥府の闇が消えた。
「消えた?!」
「どういうことだ?!」
「滅多に使わないけど...大サービス」
「これで終わり」
「撃滅閃光」
「あの時よりも...巨大じゃないの?!」
確実に削りに来てる...やばい!
≪ハデス!変わるぞ!≫
≪あっ勝手に!≫
「ヤヌス?!」
体が青く発光し、目の前にはバリアが展開される!
「防ぎ切った?」
「っぶねぇ~ヤヌス、ありがとうな」
≪ハデスに戻るぞ≫
「おう」
体が赤に戻る。
「攻守の切り替え...?」
「さぁな!」
「じゃあ、もう一つの攻撃を使ってやろう!」
「光明の神よ…力を貸せ!」
「アポロン!」
≪よっし!≫
「これで決着をつけるしかない!」
消滅の原理はわかんないけど...これに賭けるしか!
「アポロンの天弓!」
斧を弓に見立て、柄の長さを変更し、
「くらえええええええ!」
漆黒の矢が放たれる!
「!」
「消えろ!」
「やっぱり...消えるのかよ」
≪時間切れだ≫
「うぐっ…がぁ…」
「とどめ」
月乃が拳を構える。
「このぉ!」
懐から普通のハンドガンを取り出し月乃に向けて放つ!
「ちっ」
バク宙で回避される。
「こちとら負けず嫌いなんでな!」
「マジで体痛ぇ…」
無理やり立ち上がる。
「まだやるの」
「あぁ!」
「謌代′鬲斐↑繧句鴨繧医?∵?縺檎・槭↑繧区?偵j繧医?∫n縺ィ縺ェ繧翫※謨オ繧呈茶縺ヲ?」
「目が?!」
「ブラスター!」
斧を分離させ拳銃に戻す。
「ツインフレイム!」
拳銃から高熱の光線を放つ!
「くっ!」
ジャンプで避けられる。
「ジャンプってことはクールタイムかな!」
拳銃をずらし高専で追いかける!
「しまっ――」
クリーンヒットし、吹き飛んでいく。
「よっし!」
「今度こそ!」
もう一度斧形態にして、接近する!
「かかった」
「何?!」
「撃滅閃光!」
「やばっ――」
逆にこちらも攻撃を喰らってしまい、また壁に激突する。
「ま、負けたくねぇ…」
「この俺が負けるなどと…」
「諦めて」
「諦めないね!」
「まだ立ち上がるの…」
「あの頃に比べたら楽勝だからな!」
≪気をつけてよ?もう限界が近いんだから≫
「わかってる」
「今度こそ倒してあげる!」
「はぁぁぁぁ!」
思い切り走って近づいていく!
「無策で突っ込んでくるとは!」
「滅弾!」
「ウォォォォ!」
「なんで?!なんで効かないの?!」
「ぶちのめしてやる!」
大地を蹴り、空中に舞う!
「最後の一撃だ!」
「ハデス!やるぞ!」
≪っ…わかった!≫
「冥府の斧撃!」
体と同じく赤くなった斧を思い切り振り下ろす!
「効かないわ!」
「それはどうかな!」
そして斧が月乃に当たる!
「さっきよりも力が?!」
「落下分の運動エネルギーもお前に押し付けてやる!」
あと、体の限界だけど無理やりハデスの出力を上げてるってのもあるけど黙っとこ。
「それでも!私は負けない!」
「撃滅拳!」
「な?!」
斧を弾かれて浮かび上がっただけじゃなく!
「はぁぁぁぁ!」
渾身の一撃を喰らってしまう!
「がぁぁぁぁ!」
地面に落ち、転がりながら壁に激突したところで、俺の意識は闇に消えた…
♦︎
「マジかぁ」
VRを外して一言、俺は言う。
「ハデスたちの力を使っても勝てないのか」
「お疲れ、だ――未来」
「あぁ」
「月乃、強かったでしょ?」
「いや、あいつ全盛期の俺でも勝てるかな」
「そんなに?!」
「あれ顔を見てて思ったけど結構力抑えてると思うぞ」
「そんなバカな!」
「さっきの俺みたいに全力を出すとだいぶきつくてな、顔も少しは歪むもんだ」
「でもあいつは俺の攻撃を喰らって尚涼しい顔してたからな」
「強いよ、あいつ」
「そういえば未来?」
「なんだ?」
「お前できる範囲でなんでもするって言ってなかった?」
「あぁ、あいつの性格だし金品の要求はないな」
「じゃあ、なんだと思う?」
「わからん、会ってみるしかない」
♦︎
「体、大丈夫?」
「あぁ、まだ痛むような感覚するけどすぐに消えるだろ」
「そんで、お前は俺に何を頼むんだ?」
「今からする質問に正直に答えてほしい」
「わかった」
「貴方って」
「魔神・美空大地なの?」