#33 学 〜study〜
「ねぇ未来、テスト勉強してる?」
俺――如月未来はクラスメイトの淡沢月乃に話しかけられた。
テスト…?ってなんだっけと思いつつ返事をする。
「え〜と?」
「まさか…未来テスト勉強してないの?」
「テストってなんだっけ」
「話も聞いてなかったの?」
「来週定期テストがあるって先生言ってたよ?」
「もしかして試験?」
「なんだと思ったのよ…」
月乃に呆れられる。いや、だって俺の頃テストとかそういう場合じゃなかったんだけど。
最前線で戦ってるやつがテストなんて受けたことあると思うなよ…まぁそんなこと月乃は知らないんだけどさぁ。
「勉強会開くんだけど…くる?」
「行ってもいいなら行きたいけど…いいのか?」
「まぁ芽衣ちゃんと紗綾ちゃんに聞かなきゃいけないけど」
いやぁ…これが高校生ってやつか。なんて考えてニヤニヤしてしまう。
「何ニヤニヤしてるのよ…」
「あっちょっ引かないで!」
こいつマジかぁ…みたいな顔をされてしまう。しょうがないじゃん今までこんな青春なんて味わったことないんだから。
♦︎
紗綾と芽衣が許可してくれたおかげで4人で勉強会をすることになって放課後の教室で話しながらみんなで問題を解いていた。
何故放課後の教室かというと紗綾と芽衣は親が大変だからで俺と月乃もそれに乗っかる形で家が無理という話になって飲食店は迷惑でしょともなり学校で勉強会をすることになった。
「紗綾って何も勉強してなかったのね…」
「いやいや!課題が多かっただろ!」
「「「…?」」」
「なんでお前ら3人ともそんな多かったか?みたいな顔してるんだよ!」
「だって私たちみんなちゃんと出た時に処理してるもん」
「月乃ぉ…なかなか言うようになったな…」
「ほら、テスト勉強するわよ」
「今回の授業でわかんなかったのってどこ?」
「こことここと…」
「あぁ、そこは全部応用なのよ」
「恩に着るぜ芽衣!」
「企画してくれた月乃ちゃんにもね」
「ありがとうな月乃!」
「うぅん!ぜんぜん!」
…置いてけぼりなんだけど。そりゃ確かにわかんないとこはないから淡々と問題解いてるけどさ。それはそれでは寂しいものがあるんだよな。
「でも未来がこんなに授業理解できてるとは思わなかった」
不意に月乃がそんなことを言ってくる。
いや、俺そこまで馬鹿じゃないんだわ。ただテストを受けたことがないだけで今まで九十九に勉強を教えてもらったりしてたし!
「まぁ理解力だけはあるからな」
俺がそうやってドヤ顔をしていると
「待ってこれどうやってやるんだ?」
不定積分の定数Cを求める式なのだがどうやらわからないようだ。座標が(2,14)だから2をXに代入した時に14になるように計算するのだが数が大きく大変なようだ。
まぁ数が膨大な式は計算だけで頭が痛くなるからな。
「しかしなぁ…」
30年前とカリキュラムが全く違う…積分なんて2年のはずだよな。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
今はこの日常を楽しもう、うん!
♦︎
「いい時間になってきたわね」
今は午後6時。最終下校時刻まで30分を切りそうなところだ。
「みんなで晩御飯食べに行かない?」
芽衣が提案する。それに対して俺も月乃も紗綾も同意する。
「そういえばこの辺に、うまいラーメン屋があるらしいわ」
えっそれは…まぁいいか。30年も経ってればあのネタは潰えてるだろうし。というかなんで戦争中なのに動画とかは普通に見れたんだ?まぁみんなそのおかげで士気が高かったんだけど。ってそんなことはどうでもいいな。
「んじゃあそこに行くか」
「「賛成!」」
そうして俺たちは近くの美味いラーメン屋とやらに行く。そこはまるで一昔前(俺のいた時代)からあるような見た目だった。いいなぁこういうの。
「いらっしゃっせー!」
なんかここきたことある気がするんだよな。
「4人でお願いします」
「はいよ!」
店員の感じもいいしさらに結構賑わってるな。
「さてさて、何を頼む?」
珍しくここはメニューから店員に頼む感じの店だった。ラーメン屋って食券じゃないんか。
「じゃあ俺はチキンラーメンかなぁ」
そういうと続けて芽衣が
「私は塩」
といい次に紗綾が
「じゃあ私は醤油かな…」
最後に月乃が
「豚骨にしようかな!」
といいみんなのメニューが決まる。
月乃が豚骨なのは意外だな…てっきり紗綾が豚骨って言うかと思ったぞ。まぁそんなこと言ったら色々面倒だから言わないけど。
「注文お願いします!」
芽衣が全員分のメニューを注文してくれる。優しい。
「さて、注文も終わったわけだけど」
「紗綾ちゃん、大丈夫?」
メニュー頼むときもそうだったがどこか元気のない紗綾に声をかける月乃。
「い、いやぁ…さっきまでの勉強で頭が…」
「普段から勉強しないからよ」
「それを言っちゃおしまいだぜ…芽衣」
う〜ん、テスト勉強ってのは生まれて初めてやったけどこうなるほどきつくはなかったよな…なんでこいつこんなに悶えてるんだ?
「これに懲りたら授業中寝ないことね」
「あっお前授業中寝てたの?!」
やっべお前とか言っちゃったよ。
「しょうがないだろ!眠いんだから!」
そう言って返す紗綾。いや、そこまで眠くはないだろ。あと学校の机寝心地悪いし。
「でも紗綾っていつも実技だけはお目目ぱっちりよね」
「あっ確かに!」
「体動かしてるんだ、眠くなるわけないだろ!」
う〜ん…もうこれわかんないね。
「おまちどうさま!」
ラーメンが人数分机に届く。
「「「「ありがとうございます!」」」」
みんなでお礼を言う。そして、
「「「「いただきます!」」」」
そう言ってみんな食べ始める。
「美味しいな!これ!」
紗綾が一番最初に言う。
そのあと次々にみんながこのラーメンが美味しいという内容の発言をする。
うん、まじで美味い。こんな美味いラーメン食ったことがないな。
「流石死ぬほど美味いって言われるほどだわ…」
「えっそんなこと言われてたのか?芽衣」
俺が聞くと
「そうよ?美味しすぎて腰が抜けることがあるって有名なんだから」
「えぇ…いやまぁその気持ちはわかるけど」
「やっぱりこう言う学生っぽいのも楽しいな!」
「そうね!」
そうして俺たちはラーメンを満喫して各々で解散するのだった…




