#3 転~tenkou~
「ん…?」
窓から差し込む陽の光で目が覚める。
「あっやっと起きた!」
「摩耶?」
「今日学校でしょ!」
「あぁ、すまんな」
摩耶に起こされ、俺は自室を出て…
「どこに行けばいいんだ?」
「そういえば食堂案内するの忘れてたね」
「彩音!」
「ほら、行くわよ」
「おう!」
彩音についていくとひときわ広い部屋についた。
「ここが食堂よ」
「いろんな職員が全員此処で食事をしてるの」
「へぇ~」
「あ、そうそう」
「なんだ?」
「転校先のクラスうちのクラスだから」
「え?」
「こう見えて私先生なんだけど?」
「まじで?」
「マジよ」
「ほら、食べるよ」
「あ、あぁ」
う~ん…こいつが教師かぁ。
いやまぁ似合うっちゃ似合うかぁ。
「あぁ~食べた食べた」
「じゃあ、学校の住所送っとくから、時間までには来てね」
「あ、おう!」
先に行ってしまった…
「なぁ大地、ちょっといいか?」
「どうした摩耶?」
「あっちの方で話したいんだが」
「わかった」
通路裏に行く。
「なぁ、私を中に入れて学校に行かないか?」
「なんでだ?」
「そりゃ能力ないし、危ないぞ?」
「なぁに、ツインブラスターを持ち歩くから大丈夫よ」
ツインブラスター…俺の愛銃で二丁のハンドガンでマガジンには刃がついていていざというときには小野にもなるし、二つを合わせるとトマホークにもなる優れモノだ。
「ほんとに大丈夫か?」
「まぁキツそうだったらいうよ」
「わかった…」
その後頑張ってなんとか学校にたどり着いた。
「いやぁ…でっか」
「何々?九十九学園?」
「え~と?創設者は嫌がっていたが名前をとらせてもらった?」
「紫苑可哀そうだな」
「さて、教室はC-2だったかな」
「よ~し、頑張るぞ~」
――と息巻いたはいいものの、扉の前でかなり緊張してきた。
「よし、入っていいぞ」
彩音に声かけられて教室に入る
「え~と、如月未来です!よろしくお願いします!」
「よし、質問ある奴いるか?」
「はい」
金髪の男が手を挙げる
「能力って何ですか?」
「え~と」
「人より傷の直りが早い…らしい」
「能力としていうなら自己再生かな?」
「それって能力っていえるのか?」
いや、多分能力じゃないけど、この学校に入れるための方便なんだろうなぁ。
「文句は彩音――先生に言ってくれ」
「診断したのは先生だから、な?」
「こっち視るのはやめてくれ…」
「席はそこの青い服の女子の隣だ」
「ん…?あの帽子に青い服…」
「あ!」
「どうした大―――未来」
「あいつ俺がミスって飛び出したときに助けてくれた人だ!」
「え?そうなのか?」
「いやぁ!あんときはありがとよ!助かったぜ!」
「ん」
「ほら、さっさと席に行け」
「はいはい」
「よろしくな!」
「ちょっとちょっと!何淡沢さんに話しかけてるのよ!」
「この子はすごいのよ!貴方なんかが話しかけていい人じゃないわ!」
こんなの物語の中にしか存在しないと思っていたけど、いるんだなぁ。
「おいおい、話しかける相手も選ばなけりゃいけないのか?」
「わかったわ、じゃあ私と勝負して勝ったら普通に話していていいわよ」
「おいおい、それこいつは了承したのか?」
「かまわないわ」
「いいんだ」
「いつものことだもの」
「お前も難儀だなぁ」
「先生、どうせ案内するんだし一回くらいやってもいいでしょ?」
「わかった、許可とってくるよ」
そう言って先生が行ってから5分後、俺はよくわからない個室に通された。
「うちはVRで戦闘訓練をしているんだ」
「へぇ~」
「お前の能力は今のままで武器もツインブラスターだけど」
「行ける?」
「まだまだガキには負けんよ」
「頑張ってきてね」
そう言って彩音は別室に行った。
「よし、肩慣らしだ!」
《ダイブ開始!》
次の瞬間、目の前に闘技場が映る。
「ほぉ~」
「すげぇ~体の感覚もそのままなんだ」
「さて、負ける準備はいいかしら?」
「ブラストトマホーク」
ツインブラスターをつなげ、トマホークに変形させる。
「死ぬ準備はいいか?」
「何を根拠に!」
「ロックブラスト!」
複数の岩が飛んでくるが
「うん、ちゃんと動体視力は生きてるな」
余裕で回避する。
「筋力がどれぐらい落ちてるのかが気になるけど」
「試すかぁ!」
トマホークを振り上げ、目の前の女子生徒へ向かっていく!
「ロックエッジ!」
地面から巨大な岩が突き上げてくるが
「よっ!」
トマホークを立て、足場にして回避する。
「甘いねぇ!」
そして女子生徒に向けて振り下ろす。
「ひっ!」
「おっ横に向かって回避とはやるねぇ」
「でも逃げてるだけじゃ勝てないよ!」
「な、なんなのよ!能力は再生じゃないの?!」
「再生だよ」
「いいか、少女」
「確かに強い能力はすごい」
「だがな、基礎がなってなきゃ宝の持ち腐れなんだよ!」
「黙れ!」
「これならどうだ!」
「ストーンガトリング!」
石のつぶてが連続で飛んでくる。
「むっ!」
よけることができずに、なんとかトマホークで防ぐ。
「近距離しかできないなら離れて動きを封じればいいのよ!」
「ロックエッジ!」
地面から岩がもう一度せりあがり、吹き飛ばされてしまう。
「いってぇ」
「う~ん」
「回復は確かに早いけど」
「やっぱり身体能力は落ちたなぁ」
「何をごちゃごちゃと」
「なぁ彩音先生、これって俺の武器を忠実に再現してるんだよな?」
《えぇ》
「よし、じゃあ試すか」
「何をしても無駄よ!」
「音声認識!ハデス!」
そう叫ぶと、紫色のエネルギーに包まれる。
「う~んこの感じも懐かしいな」
≪懐かしいな、じゃないわよ≫
≪まったく、急に起こしたと思ったらVRとはね≫
「あの生意気な女をぶちのめすのに協力してくれ」
≪いや、今のあなたじゃ5分も持たないわよ?≫
「それだけあれば十分だ」
≪オッケー、行くよ!≫
「あぁ!」
≪「憑依合体!」≫
「冥王モード!」
「姿が?!」
ハデス…俺が生み出した人工生命体。
正直試作一号機だし失敗してもいいやと思って作ったら成功しちゃった。
戦力不足だったこっち側の戦力を上げようとして人間に憑りついて強化する力を与えたけど結局扱えたのは有芽と俺と里紗と紫苑だけだった。
そのせいでこの武器にほかの姉妹共々移植した。
そしてハデス最大の特徴は
「冥府の闇!」
女子生徒の足元に闇を作り出し、そこに引きずり込む。
そう、ハデスは冥府神の名の通り闇を操る。
「能力なくても何とかなるんじゃね」
そう言いながら歩いて近づいていく。
「や、やめろ!」
「まぁ戦闘だし、とどめは刺さないと、ね?」
「や、やめ――」
「冥府の斧撃」
紫に輝く斧を手加減なしで思い切り振り下ろし、真っ二つにする。
「ふん、VRってのは楽でいいな」
「…うぐっ!」
急に胸が苦しくなる。
「あ…がぁ!」
≪あぁもう!≫
≪憑依解除!≫
ハデスが分離する。
「はぁっ…はぁっ…」
「あぶねぇ」
≪言ったでしょ、すぐに切れるって≫
「だ…な」
そのまま意識を失ってしまう。
次に目を覚ましたのは保健室のベッドだった。
「あれ?そういやハデスの負荷で倒れたんだっけ」
「そうよ」
「まったく、正直視ててスカッとはしたけど」
「対戦相手の子、まだおびえてるみたいよ?」
「しらん、戦闘なんだから覚悟してただろ」
「あのね!今の子はあんな環境知らないの!」
「そんな子にあんなことしたら下手したら精神を壊すわよ!」
「す、すまん」
「まぁ練習試合でも淡沢月乃を除いてほぼ全勝だったからねぇ」
「月乃ってのが俺の隣の女子生徒か」
「えぇ」
「頑張りなさいよ?」
「はぁ~い」
そうして俺の転校初日はある意味、最悪のスタートを切るのだった……
「…あの斧に力」
「たしかあの方の言っていた?」
そう少女はひとり呟くのだった……




