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#16 銃〜delete〜

「設計図か?これ」

「それと実験レポートも入ってるな」

「古都、それ開いてくれ」

「わかった」

 古都は俺の指示通り実験レポートを開く。

 そこには

「能力を応用した銃の作成について?」

「何々?」

[私はあの方から依頼されて、対象を消滅させることのできる銃を開発した。]

[しかし、そうは言ってもうまくいかず、能力を応用する形にした。]

[そこで完成したのが二丁拳銃のdeleteだ。]

[でもdeleteは強力すぎた]

[一撃では人を消滅させることができないことは確認済みだがそれでも異常だ。]

[人間に向かって打った場合、当たった部位が跡形もなく消滅することがわかった]

[衣服などでは防げないが、防弾服であれば一撃は防ぐことができる]

[ただし当たった場合は防弾服が消滅する。]

[そして実弾ではあるため能力などで壁を使った場合にも防ぐことは可能だ]

[もし、このレポートを見てるのが湊たちならどうか聞いてほしい]

 急に語りかけてくるやんけ。

「あいつの知り合いなのか?」

「わかんない」

[この銃の設計図を君たちに託す]

[君たちなら彼女らを止めることができるはずだ]

[他のファイルにはトライクリスタルの効果も書いてある]

[頼んだぞ]


「う〜ん…なんかやばそうなものに巻き込まれ始めたっぽいな」

「トライクリスタル…って夢幻の影(ファントムシャドウ)から回収したあれか!」

 アンノウンどもが使役する化け物に必ず入っているらしい結晶。

 どこの部位に生成されるかは個体によって異なるためサンプル回収がとても大変らしい。

「というか、なんでこんなものを貴方のご主人は持っていたんですかね」

「私にもわかりません…」

「ごめん!遅くなった!」

「艦長!」

「これ見てくれ!」

 俺はパソコンの画面を美波に見せる。

 すると美波は

「なるほど…これなら複製できそうね」

「複製?!」

「これだけ正確に書いてあれば複製して貴方の新しい武器にできるわよ」

「いや、俺の武器ではないだろ」

「って、そんなことはどうでもよくてこの武器よりもこっちだ、こっち!」

「何々…トライクリスタル?」

「そう!俺がぶちのめしたあの2体の怪物の動力源っぽい!」

「でかした!」

「でも美波、なんでお前にこれを見せろって話になるんだ?」

「う〜ん」

「送り主の名前ってなんていうんだっけ」

「見月…何さんだっけ?」

「俊哉です」

見月俊哉(みつきとしや)

 乃奈ちゃんのお母さんが答える。

「あ〜貴方あいつの奥さんかぁ…なるほど」

「お父さんを知ってるの?」

 乃奈ちゃんが聞く。

「まぁねぇ…昔はよく一緒にシステム組んだりしたよ」

「戦争終わってからは全然会えてなかったからどうなったのかはわかんなかったけど」

 美波が説明する。

「なるほどね」

「だから艦長に送ってきたわけか」

「その腕を信じて」

 古都はうんうんと頷いている。納得したようだ。

「貴方のご主人の意志は私が継ぎます」

「待ってください!じゃあ主人は…」

「恐らく…」

 酷く重たい空気がこの部屋に広がる。

 自分のたった1人の夫を亡くしたこの人の悲しみは…

「未来、送ってあげて」

「わかった」

「行きましょうか」

「はい…」

 ゆっくりと部屋を出て俺は外へと向かう。


♦︎


「…あの人が死ぬわけない」

 そう譫言を呟きながら帰り道を歩く見月さん…

「なんかおかしくないですか?」

「え?」

「開発者が危惧していたことに対する対策を用意してないわけがないんですよ」

「確かに…」

「だから希望を持ちましょう!」

 そう俺が言った次の瞬間――

「危ない!」

 咄嗟に見月親子を突き飛ばし、さらにバックステップで光線を回避する。

「なんだ?!今の!」

「当たっていればいいものを」

 空から黒髪の少女が降りてくる。

 服も漆黒に包まれ、顔にはバイザーをつけている。

 その少女は俺ではなく、見月親子に視線を向ける。

「あの男が逃げようとするからいけないのよ」

「何ですって!」

 必死に乃奈ちゃんを庇っている。

「させてたまるか!」

「ブラストマホーク!」

 二丁拳銃をトマホークにし、思い切り振るう!

「危ない」

「邪魔をしないでもらえる?」

 少女の問いかけに対し俺は

「無理な相談だな」

「悪いがもう目の前で人の命は奪わせない」

「テメェを捕らえて、洗いざらいしゃべってもらう!」

 少女に向かって跳び、薙ぎ払う!

 しかし少女は冷静に最小の動きで回避する。

「逃すか!」

 トマホークを振る。

「貴方、しつこいわよ」

 キラリと少女の右手が光る。

「――っ!」

 バックステップ+バク転で回避する。

「それ食らったら即死な気がするなぁ!」

「というか、お前何者だ!」

「まずは貴方が名乗るべきじゃない?」

「そうか」

「俺は如月未来、ただの人間だ!」

「あら?美空大地かと思ったけど」

「そんな似てるか?」

「えぇ、そっくりよ」

 やっべぇ…普通にバレかけとる。

 もう少し暴れるのやめた方がいいのかな?

「俺は名乗ったぞ」

「私は偽名(コードネーム)・クレッセント」

「貴方達親子を消しにきた」

 見月親子を見ながら言う、クレッセントと名乗った少女。

「なら尚更やらせるわけにはいかないな!」

「摩耶!」

≪オッケー!≫

「ウェブ・ガトリング!」

 肩にガトリング砲を形成する。

「喰らえぇぇぇぇ!」

 ダリダリダリダリとガトリングが音を立てながら弾丸を発射する。

「ちっ!」

 アクロバティックに回避するクレッセントの後を俺の弾丸が追う。

「絶対にぶっ潰す!」

 そう言いながら見月さんに目をやる。

 何やら見月さんが電話をしている…一体誰に電話してるんだ?

「よそ見してる暇があるとでも?」

「うぉっと!」

 光弾を連続で放ってくるクレッセント。

 もちろん回避する。

「何度も光弾を撃ちやがって…」

 あの光弾、どっかで見たことあるんだよな。

「って、そんなことよりどうにかして倒さねぇと!」

 もう一度肩のガトリングを放つ!

「当たらないわ」

 華麗なジャンプで俺を飛び越え後ろに回られる。

「やらせない!」

 トマホークで接近戦を試みる…が

「幻象魔法・融合解除(ディスユナイト)

 少女の手が俺の体に触れた瞬間、俺と摩耶が分離してしまう。

「しまった!」

 というかこいつもこの魔法使えるのかよ!

 使う場面が限定的すぎて習得する人は少ないってのに。

「先に貴方から」

 摩耶が思い切り吹き飛ばされる。

「摩耶!」

 摩耶の力がない以上は跳躍や馬鹿力は発揮できない。

 そのため全力で走る。

「そんなことさせないぜ!」

 クレッセントのナイフをトマホークで止める。

「オラァ!」

 上へと弾き飛ばす。

 しかし

「はっ!」

 回し蹴りを喰らってしまい、一瞬怯んだところを

「ふん!」

 腹へのキックで摩耶から離されてしまう。

 クルクルと回りながら落ちてくるナイフを再度手に取り――

「やめろぉぉぉぉ!」

 胸へと突き刺す。

「…」

≪大地、落ち着いて≫

≪冷静になるのよ≫

「そうは言っても…無理だ」

 摩耶は神だ…人よりは頑丈だし心臓を貫かれたぐらいじゃ死にはしない。

 しかし、再生に時間がかかるしその間ずっと苦しいままだ。

 そんなことをしたこいつを…許せない。

「行くぞぉぉぉ!」

 トマホークを振りかぶり接近する。

 相手は摩耶のいない俺には何もできないと踏んだのか、避けようとしない。

 だが、それが命取りだ!

「ハデス!」

≪ったく…2分が限界だからね!≫

冥府の斧撃(ハデスバニッシュ)!」

「なるほど…そういえばそんなものもありましたね」

「片腕で?!」

 片腕で軽々と受け止められてしまう。

「ただの人間には負けない」

 うん…?口調がコロコロ変わるな?

「はぁっ!」

 後ろへと投げ飛ばされ、トマホークも飛んで行ってしまう。

「貴方の武器はもう何もない」

「私に勝つ方法、あるのかしら?」

「さぁ?」

「でも、負けず嫌いなんでな」

「…そう」

「じゃあ、死んでもらうわ」

 銃口がキラリと光り、俺の方へ向けられる。

「delete…ってやつか」

「知ってるん…のね」

 やっぱこいつわざと口調変えてる?

「だからどうしたよ」

「どうもしないわ」

「じゃあ、さようなら」

 引き金が今引かれる――

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