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過去10

「……リリーロッテ様が女性のような男性ばかり囲っている男色家という噂が流れているのですが」


 まあリリーロッテは男にしか見えないしな。

 話した相手、というか本人であるリリーロッテも特に気にしてなさそうだからいいだろう。

 いや、全然良くないが。ああ、上になんて報告しようかなぁ。頭が痛くなってきた。さっさとこの街を出ればなかったことにできない?無理?そうか……。


「僕は?」


 ロイが久しぶりに楽しそうな話題だ!とでも言うような表情で顔を輝かせながらそう聞いてきた。


「ロイはとうもろこしにかける塩のような扱いらしいですよ」


「おおー」


 嬉しそうだからいいか。


 ……。


「いや何の話してるの!?」


 ようやく何を言われているか分かったのか、ハッとした様子のリリーロッテが言う。


「だからリリーロッテ様が女性のような男性ばかり囲っている男色家という噂が流れているんですよ」


「……えー、俺女っぽい?」


「私に言われましても」


 リーシュが近くで聞いてきたらしく首をのぞかせてきた。リーシュの外見は……キマってるなという印象だ。

 実に占い師らしいと言えるだろう。

 長髪で化粧をしていて服はヒラヒラで靴はヒールありである。すごく戦いにくそうだ。


「……異性装ではないように思います」


「私は異性装しているから背教者なんだっけ?」


「はい。少なくとも教会はそう捉えているようです」


 リリーロッテが問いかけてくるので、頷く。


「……その噂通りだとレイモンド君も女性のような男性ということにならないか」


 オルフがしかめっ面をして言う。

 自分が1番それに当てはまるのだと分かっているのだろう。


「そういうことになるのでしょうね。しかし関係ないことです。私は背教行為はしていませんから。罪があるのは勝手に思い違いをする人間です」


 だから今まで会ったそのような私を咎める人間達は全て罰しておきました。

 そう言おうとしてやめた。


「ボクもそうなんだけどなーおかしいなー」



 ▫



「リンゴをひとつください」


「可愛いお嬢ちゃんだね、1個おまけするよ」


「……」


「どうしたんだい?」


「……いえ。ありがとうございます」


 ……私の服装はきちんと男物だと思うんだがな。

 5分の1くらいの確率で間違われるのは何故だろうか。


「おじょうちゃんだってさ!」


「……クロ。君はほぼ確実に女の子扱いされているじゃないですか」


 その理由の大部分はその長い髪にあると私は思っている。

 なぜのばしているのか私にはわからないが。


「そもそも髪を整えないうえにただ伸ばすだけなのはどうかと思うんですよ。ブラシでも買いますか?お金は私が出しますよ」


 三つ編みとか似合いそうだなと考えながら提案する。


「んー」



 ▫



「ブラシは買うべきでしたよ!三つ編みにすれば戦いやすいと思いますし」


「あそこにあるやつ全部やな感じだったししょうがないじゃん」


「私がお金は出すんですからそんなもの気にしなくてもいいのに」


「そんなに言うならレイが自分でやればいい」


「……」


 私は髪をのばすわけにはいかない。

 髪をのばせる男っていうのはそれだけで裕福であるという証明だ。

 男の髪は女のそれよりずっと痛みやすいのだから当たり前ではあるが。


「……そうですね、こういうのはルークに聞くのが1番いいでしょう」

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