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4-11

「1人で倒すとは」


 ミアがなにやら物騒な文字が書き記された紙を放り投げながら感心したように言った。それ、雑に扱って大丈夫なやつか?


「……マデリンのおかげだよ」


「……!ありがとうございます!」


 うん。そういうことにしておこう。


「……。外にクレアがいるがどうする?」


 相変わらず涼しげな顔で、僕を見ながらライラがそう言った。



 ▫



「どういう状況ですかこれは」


 優雅にお茶会をする僕とミア、自分はメイドですが?みたいな面をして立っているマデリン、縛られて床に座らされているライラを1人ずつじっくり見た後、クレアは困惑した様子で言葉を発した。


「とりあえずさっき見えたと思うが、トリシアは空間が歪んでいるところにいる」


「あ、はい」


「あとの説明いるか?」


「いりませんねぇ」


 話が早くて助かるな。


「どうだ?トリシアのことは助けられそうか?」


 トリシアはなんとかなるだろうと信じているが、この塔に巻き込まれた都市に暮らす人々が心配になってきた。1日消失してるってなんか……言葉にできないけどいろいろ支障がありそうだしな。


「うーん……。こういうのってアンドレアの方が上手いですよね?」


「僕は今魔力がすっからかんでな」


 この流れさっきもやったな。


「ですかー。ま、それもそうですね。えー私でも行けそうですかねぇ。どれどれ。あ、いけるかも」


「本当!?」


 ミアが嬉しそうな声をあげる。


「……でも多分時間めちゃくちゃかかりますよ?」


「やりなさい」


「はーい。じゃあやりますねー。……こういうのに関してはアンドレアは本当に天才的ですからね。自覚無さそうなのが腹立たしいですが」


 クレアがこちらを見ながら何かを言っているが、気にしないことにした。

 この塔の権限は今僕にあるようなので、クレアを外に出す。


「僕はこの通り使いものにならないから静観しているよ。ミア。ライラにこのスキルを解かせるアプローチをしてくれないか?」


「なんか腹立つわね。ま、いいわ」


 よし。じゃあ寝るか。

 僕にしては頑張った方だろ。



 ▫



「おはようございます」


「はよー」


 起き上がる。

 とりあえず1回塔の外を覗いてクレアに話しかける。


「何か状況は変わったか?」


「変わりませんよ。何呑気に寝てるんですか」


「まあほら、寝てたらちょっとは魔力回復するかもしれないだろ?」


「あとどのくらいで回復するんですか?」


「うん?2日くらいかな」


 ツェザールがいれば魔力を強奪できるし、トリシアかオルフがいれば魔力を回復してもらうこともできるのだろうが、全員ここにいない。これもライラの狙い通りだったりするのか。


「いくらなんでも遅すぎません?」


 クレアが少し眉をしかめて言う。そりゃあそうだろう。普通の人はだいたい魔力は1日で回復するらしいね、羨ましい限りだ。

 はあ。


「1日で回復するならこんなに頑張ってねぇから」


「へえ」


「つうか、オルフはどこに行ったんだ?あいつがいれば俺の魔力も回復するはずなんだが」


「さあ……」


 少しだが、多少魔力も回復したので、観測を使ってみるか。キースのところにいる時に全員分の居場所を聞いておけば良かったな。

 ……。


「だめだ、分からん。ミアー、そこのライラにオルフの居場所を聞いてくれないか!」


「分かった」


 ……びしょびしょに濡れたライラが見える。

 何?もしかして拷問でもやってた?


「……直接わたしに聞けばいい。オルフはエルフの森に配置した。試練は乗り越えたようだが、こちらに向かっている気配はない」


 なるほど。……なるほど。

 オルフの助力は期待できなさそうだ。ここからエルフの森まで馬車を使っても3日はかかるだろう。行ってる間に魔力が回復する。

 今更ながらトリシアが助かるのか軽く不安になってきた。最悪精神崩壊起こすよな。


「普通に詰んだな。どうしよ……」


 ツェザールのところに行くか?場所は有名すぎるくらい有名だし、さほど遠い距離にないの行こうと思えば行ける。遠くないとは言えど、国1つの規模だ。徒歩で行くには有り得ない距離だが。ツェザールはそこを走ったんだなぁ。

 そういえば僕の仮説が正しいなら道中人間を見るはずないし、だとするとさすがに違和感を感じそうだが、あれか?ツェザールが速すぎて見れなかったのか?まあ普通に僕が予想を外しただけだろうが、そう考えてしまうくらいにはツェザールはイカレてる。

 ライラも巻き込んだのは都市1個分どころじゃなさそうだな。どうかしてるわ。


「待てばいいんですよ」


 マデリンが僕の前に立ってそう言った。

 ろくなことを考えていなさそうだが、僕はもう何もかもめんどくさくなったので、また眠ることにした。

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