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2-8

「教師として来るなんて考えたなぁ」


 この前暴れた責任はどうにか取ったらしい。

 というか死者0というのが良かったらしく、ミアがどうにか説き伏せてこの学園預かりにしたのだとか。


「アンディは教師じゃないの?」


 この部活の顧問になったらしいオルフが首を傾げながら僕に聞いてくる。

 教師か。


「んー、僕はまだ卒業してないからなぁ。学士もとっておきたいしな」


「飛び級してないの不思議。もうとっくにしてるものだと思ってたよ」


「僕は昨年から学校に通ってる。9年生からスタートで飛び級して今は11年生だな」


 学士課程を取るための単位は順調に取ってるし今年で卒業はできそうだ。


「普通に飛び級してるんだね」


「まあさすがにな」


「私は飛び級してないんだけど!?というかしてない方が!普通!!」


 ミアが憤慨しながら言った。

 寝てないのか隈ができている。トリシアのためとはいえものすごく大変だったんだろうな、オルフのことで話をつけるのは。


「わたしは2回してますよぉ」


「裏切り者!!!」


 どうやらクレアはひとつ年下らしい。

 ということは15か。それにしては背が高いな。……女性はそれくらいには身長がのびきってることも多いんだったか。


「ライラは!?ライラはどう!!?」


「……」


 ライラは困った顔をした後、指でばってんを作った。

 ミアとライラは喧嘩もよくしているが、仲もいいらしく、よくこうやって話しているところを見る。


「してないのね?」


「……」


 ライラが頷いた。


「良かった……」


 ミアが安心したように息を吐いた。

 ……別にそんなに気にすることでもないのではと思うが、野暮なので何も言わないことにした。


「……しかしルークがこんなにも可愛らしく……長生きもしてみるものだね」


 オルフがライラを見ながら言った。確かにルークだった頃は顔も見えないレベルの偉丈夫だったが、今や僕よりも背の低い華奢な少女だ。1番変わったかもしれない。


「僕は……いいとしてリーシュは?」


 僕は?と聞こうと思ったが、まあ男物の制服を着ているので、1番女の子をしているミアを見ながら聞いた。


「リーシュは元からあんな感じじゃん」


「ううむ」


 言われてみればそうかもしれない。



 ▫



「武闘祭の準備をしよう!」


 ゴタゴタが落ち着いたからか、手を広げて満面の笑身を浮かべながらトリシアが言った。


 武闘祭は戦う人間以外は劇や屋台なんかの出し物をする、それなりに騒がしいイベントだ。

 トリシアは試合に参加しないのか?あんなに強いのに。少し不満に思いつつ、寝る体勢に入る。


「……そういえばこの間変な石拾ったのよ」


 ミアが目を逸らしながらそう言った。


「ふうんそうなんだ。植物に関係ありそうだったら僕に見せてくれないか?それ以外だったらゴミ」


「石ですか……私が鑑定しましょうかぁ?」


「皆楽しみじゃないの!!?」



 ▫



「昨年は僕寝ているだけだったし、そもそもどういうものか知らないぞ」


 校庭にあるベンチでジャージを着て寝ていたことを思い出す。

 起きた時にお菓子がいっぱい置いてあって驚いた記憶が。なんだったんだろうなあれ……。


「私も売店を捌いてて正直……。お金は稼ぎましたけどぉ」


「とりあえず部活で何か出した方がいいだろうね。変な石展でもやればいいんじゃないかな」


 ツェザールが珍しく曇った顔で言った。


「雑ぅ!?」


「こういうのはあんまりいい思い出がなくてね……いつも客寄せに使われるというか」


「そっかぁ……」


 残念そうなトリシアの顔を眺めつつ、予定通り僕は寝ることにした。


 ~


 さてさて、そろそろ話がついている頃かな。そう思い、体を起こす。


「どうなった?」


「メイド喫茶ってことになった!」


「……ん?」


 一瞬思考が止まる。


「これが役割分担が書かれた紙だよ!」


「僕は料理係をすればいいわけだな?さすがトリシア。よくわかってるな。審査員していない間は協力する」


 メイド服を着るのかは知らないが完璧にこなしてみせよう。


「私は皿洗いだね」


 ツェザールが言った。

 なるほど、そうやって話をつけたわけか。


「皿洗いならやれるよ!って言ったんだ」




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