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それからトリシアの理不尽な強さでオルフは叩きのめされたのだった。
まあ幻獣は僕が削ったし、周りのやる気の無さそうなエルフ達もクレアが説き伏せた後だしな。僕達だってきっといた意味もあったさ。多分……。
「それでオルフ?だっけ、なんでこんなことしたの?」
トリシアがオルフの首元に剣を突きつけながら言う。かっこいい……!密かに感動をする僕をよそにトリシアは淡々と質問している。
「ひどいよ。ボクがいったい何したって言うんだ!」
「街への攻撃じゃないかい」
僕が寝ていた間ずっと応戦していたらしいのに、一切疲れた様子のないツェザールが呆れたように言った。
「……てへ」
「なんでもいいけど僕の爆弾で出た被害はお前持ちだからな」
賠償金は払ってもらうとして、普通ならオルフは処刑じゃないか?全然危機感なさそうだけど。
一応ライラが頑張ったおかげで死者は0人らしい。それは良かった。これならちょっとした暴動で済みそうではある。
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トリシア相手じゃ答えたくないこともあるだろうと、トリシアがいなくなった後にクレアがオルフを尋問することにした。交渉は彼女が1番上手いから、出ていくようにとミアが言うとトリシアは出ていってくれたらしい。ミアが死んだ目で言っていた。
僕は一応クレアの護衛役ということでここにいる。ツェザールの方がその役割はふさわしいと思うのだが、どうやら他国と関係が深い人間らしく、こういうところにいるのは推奨されないのだとかなんとか。僕も人のこと言えないけどな。
「……。言いたくない」
とはいえオルフも簡単には口を割らない。1時間が経過した。
「僕の予想としては王国のトリシア利用計画にでも嫌気がさしたといったところか」
いい加減飽きてきた僕は近づいて小声でそんなことを言う。
トリシアは王家に保護されている立場らしい。あんなに強いのだから当たり前ではある。僕には関係がないのだが、少し誇らしい気持ちだ。
「お、顔色変わりましたねぇ」
オルフの表情をじっと観察していたクレアが感心したように言った。
「キミ達知っているのか。……ならなんで」
「別に今すぐってわけじゃない。ならもっと賢くやるべきだ。だろ?」
オルフの肩に手を置き、顔を近づける。
「ええ、わたしもそう思います。もう少し……あと1年くらいは猶予があるんですから」
「……」
なにか考えたのかオルフの表情が少し落ち着いた。




