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「来年の武闘祭について?」
僕の机に紙が置かれていた。
「早くないか?」
行ったら今日の授業は全て出席扱いか……しょうがない行くか……。眠たいが、なんとか足を進める。
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「審査員をやってくれないか?」
理事室に入ると開口1番、理事長がそう言った。
「えっ」
武闘祭の審査員ということか。
「僕はまだ学生ですよ」
「もちろんそれは知っている。しかし君は実績も十分だ」
「そうですか……」
実績?悪名ではなく?
しかしまあ、他の学生達よりかは知名度もあるのかもしれない。
「それでだね、君には学園のパーティーに出てほしい。他のお偉いさん達にも事情を説明しなくてはならない。ああ、パートナーを連れてくるんだよ?もちろんパートナーは女の子でいい」
いらない気づかいだとため息をつきつくが、そういえば僕に男の友達はいないから助かるのか……と思った。
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「ということで友達に総当りしたんだが、皆パーティーなんかに出ている暇はないとすげなく断られてしまってな……」
理事長との話を終え、睡眠をとっていた。目を覚まし、部室に向かう途中、見かけたツェザールに話していた。
「アンドリューの友人達は皆意識高いなぁ……」
意識が高いというか、あんまり人付き合いに価値を感じていないタイプが多いのだ。学者肌が多いのだが、学者は学者で付き合えばいいなんて思っているらしい。だから僕の研究が面白いと近づいてきたりしたわけだが。僕にとってはありがたいことか。あんまり細かいことは言わないでおこう。
「それでツェザールはどうした?お前なら選び放題だろうが、決めたか?もちろん僕のパートナーになって欲しいわけではないぞ」
一応言っておく。
「ああ、私はとりあえず隣の席に座っていた子を誘ったらOKもらえたから」
「……どうかと思う」
それはその子を勘違いさせるやつじゃないのか。
知らないが。
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「トリシアは私と行くの!」
「いえわたしです」
「……!!」
開けた扉を閉めた。
「修羅場だな?」
「修羅場だね」
扉が勝手に開く。
「トリシアは貴方達には渡さないわよ!」
「ああうん……というかさ」
ツェザールの方を向いて確認をとる。こういうパターンってだいたいさ。
「……アンドリューも気づくよね、トリシアは弟と行くんじゃないか?今までもそうだったし。だから私はもうパートナーを決めたよ」
「僕も決めようとしたんだがな……」
首を振る。
そう簡単にはいかないのだ。
「てへ、そういうことだから皆ごめんね?」
そう、悪びれない顔でトリシアが言った。