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過去?

私は孤児だった。

親に捨てられたのは物心がついてから。売られそうになったところで私の買主とやらの腕を切り飛ばし逃げた。


「待て!」


私を置いかけてくるおじさん達から走って逃げる。どいつもこいつものろくさいのだ。だから私に売り物を取られるんだぞと思いながらみずみずしいオレンジにかぶりつく。

ちょうど喉が渇いていたんだよ。

私はなんだかんだ1人でやっていくことができた。


「コイツです」


路地裏に隠れていると、この辺りでは見ないような巨漢が10数人除きこんできた。


私は逃げた。





「……」


もうボロボロだ。右足の感覚がない。直に私は死んでしまうかも。

逃げながら10数人の巨漢を私はきちんと始末した。

体格差の大きい人間には銃火器がいい。昔くすねた銃を使い、とりあえず全部殺した。

でもそれまでに殴られ、足を捕まれ……なんでこんなことをされるんだ。同じようにスリをしていた連中はここまでされていなかった。

理不尽だ。


「それはだな、お前が娼館の店主の腕をこう……バサッといったからだ」


声が聞こえ、思わず上を向く。

そこには落ち着きの無い様子で腕と目を動かす奇妙な男がいた。


「お前は凶悪犯罪者なんだよ、少なくともこの街では」


「……んで、そんな」


私は抵抗しただけだ。


「理不尽な、て?はは、お前が可愛い女の子だからだろ、見目がいい女は利用され尽くされるだけ」


利用される?私のどこが利用されたって?

私は気に食わないやつは全部蹴落として来た。利用なんてされていない。


「そうだな、そりゃお前が強いからだ。強いやつは普通にはなれないんだ。こっちは受け売りだけどな?……で、お前にはひとつ提案がある」


ぼやけていく意識の中で、私は助かるかもしれないそのなにかにすがりつくように頷いた。


「男になってみる気は無いか?」





目が覚めると、なにか違和感を覚えた。

体が少し軽い気がする。


「よう、起きたか」


目の前には気を失う前にいた男に似た雰囲気の女の子が座っていた。娘だろうか?


「はは、同一人物だよ。ほら、立ち上がってみろ」


目線が下がった?私は13歳だ。女はこの辺で身長が止まる。身長が低くなったとは考えたくないと思いながら、腕を見るとなんというか薄くなっている気がした。


「下半身を見てみろ」


「……」


これは……。


「俺が開発した魔法!性転換だ!性別の位置をそっくりそのまま入れ替える!魔法協会真っ青の禁忌指定間違いなしのスーパー魔法!成功して良かったな?成功率は半々ってところだぞ」


「別にそれはいいけど」


命が助かったのだ、言うことなしである。

実験台にされたのだろうか。


「男になっただけじゃあ、傷害罪からは逃れられてもスラム街からは逃げられない。そういうことだろ?」


「え、いや」


「だよなぁ!俺もそう思っていたところだぜ!貴族様ってやつになってみないか?お前なら行けるって!だって見目がよくて強くて、そんでレアな魔法が使える男の子!じゃ、まずは孤児院に行こうか」


言葉を挟む暇もなく、ぐいぐい押され、そのまま勢いに流される。私はこのスラム街で孤立していた。キースの語る生活は今よりもずっとマシに思えた。少し哀愁を感じながらも新しい生活に思いを馳せた。





キースというらしい私の相棒の言う通り、孤児院にいるとすぐに貴族から声がかかり、養子にしたいと言うことだった。


キースは私の双子の姉ということになっている。

私がキースと同じがいいとお願いすると、真意の読めない笑顔で、その貴族はそれを了承した。


そしてキースの言った通り、私は貴族になったのだった。

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