表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/36

1噂の異世界転生をしたようですが、さては私は悪役令嬢ですね?詰んだ。

たぶん、たぶんだよ?

多分なんだけどさ……


……ここ、異世界じゃね?


「……まぁじかぁー」


鏡の前でずるずると床に座り込んだ私は、呆然と天を仰ぐ。


「なんでこうなるの!?」


思い切り叫んだら、びっくりしたメイドが飛んできた。でも説明が面倒なので、とりあえず手慣れた気絶をかましておいた。気絶は淑女の嗜みです。






「いやぁ……びじょぉ〜」


目が覚めて、もう一度鏡の前に立つ。まじまじと見入ってしまう。己が美しすぎて。


「何これ、作画誰?神絵師確定では?」


鏡に映るのはめちゃくちゃな美女だ。私とは思えん。ビジュアルさいつよ。

ぼんっ!きゅっ!ぼんっ!と肉感的な魅惑のぼでぃに、プルプルのぽってり分厚い真っ赤な唇。

病的ではないけど少女憧れの真っ白な肌に、アメジスト色の濡れた瞳と目尻の色っぽい泣きぼくろ。


そしてとどめは、黄金に輝く艶々の髪だ。見事にくるくると綺麗に縦ロールを決めている。寝てたのに一糸乱れぬ縦ロール。


清楚とか初心とかピュアとか、そういうワードとは程遠い、やけに大人びた少女。


それが鏡の中に映るワタシ、マリアンナ、十一歳だ。


……いやいやふざけんな。こんな十一歳いるかよ。十一歳でなんでこんなに胸あんの?は?男向けエロゲやエロ漫画の小学生女児じゃねぇんだからな?


「……ってそうじゃない」


つい現実逃避気味に己の胸を凝視していた私は、もう一度冷静に鏡を覗き込んだ。問題は。


「……いやぁ、見事だわ。見事な……悪役令嬢スタイルだわ…」


これ知ってる。

よくネット小説で見た典型的なやつだ。


「私、よりにもよって悪役令嬢転生しちゃったのか……」


流行り物好きとは言え辛いものがある。

前世も若い美空でなぜか死んだのに。まさかまた死ぬの?さっき前世を思い出してショック受けたばかりなのに。


「侯爵令嬢で、このお色気ぼでぃに縦ロール……確実に悪役令嬢でしょ。モブとは思えん」


美しすぎる己の美貌を凝視しながら、私は必死に脳をフル回転させて状況を整理した。




私は建国以来続く名家ザヴォイ侯爵家の娘だ。

自分で言うのもなんだが、才色兼備でマナーも完璧、魔力も最高レベルであるため少し自信家で傲慢、完璧主義であり、自分にも他人に厳しいタイプだ。

社交界ではパーフェクト・レディと呼ばれている。とてもダサい。


兄と弟の三兄弟でみんな年子だ。母様すげぇ。

兄は白金髪に銀縁眼鏡がトレードマークのクール美形、弟は濃い金髪に垂れ目の可愛い系男子。

どちらも系統の違う超美形でキャラ被りなし。

絶対攻略対象だろって作画の二人だ。


ちなみに記憶が戻る前の私はかなりのブラコンで、女性へのジャッジが厳しい私が「私より優れた女性でないとダメですわ!」とか言うせいで二人ともまだ婚約者はいない。やべぇ。既にフラグが立ちまくっている。こんなのたぶん絶対悪役令嬢じゃん???


ちなみに、近々王太子様のお茶会に招かれることが決まっている。そこで王太子様の婚約者に内定したりとかしたら確定だ。


そして何が一番問題って。


「……これ、なんのマンガ?もしくはゲーム?」


全然見覚えがないのだ。

この顔も名前も、国名も家名も、通う予定のデライ王立魔法学校とかって名前も。


全く記憶にない。

つまり、ストーリーも起こるイベントも、何も分からないのだ。

回避のしようがない。


「うわぁあ!まじか!」


悪役令嬢と思われる私が平凡な幸せを掴むのは、ただでさえ至難の業だ。

それなのになんのヒントもないとは。


「完全に詰んだ……!」


うめきながら私は頭を掻きむしった。


「やばすぎでしょ!私のセカンドライフ!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ