空が教えてくれたもの
恋人と別れた。
(友達以上になりたくて、勇気を出して告白したのに)
曇天の空から降り出した雨は篠突く雨に変わっていく。
空が代わりに泣いていると思うことにして、自分の落ち度を考えてみる。
(わかってほしい、わかりたいって気持ちが強すぎたのかな)
思いが強すぎて、愛が重くなったのかと自問自答を繰り返す。
(距離が近かったか、それともとりすぎたのか)
排水溝から雨水があふれ出る中、愛憎渦巻く思いもまたあふれ出た。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
いつしか雨が上がり、雲間から光が差し込む。
(そっか。そういうことか)
人には適切な距離があると今気がついた。
(ありがとう。自分の中にドロドロした思いがあることを教えてくれて)
雨上がりの虹がドロドロした思いは水に流せと、言っている気がした。
大切なのは自分の非を認める勇気と元恋人から教わり、顔を上げる。
(大丈夫。きっと大丈夫)
大丈夫を繰り返し、その言葉とともに過去の自分に別れを告げる。
そして新しい自分に変わるための一歩を、勇気を持って踏み出した。
余韻をつけるため、あえて余白を入れてみました。