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中途半端な僕へ  作者: ふじもん
~終わりと始まり~
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行方不明

〜終わりと始まり〜

行方不明

〜工事現場〜(休憩所)


春樹「くっしゅ!」


工事の先輩A「おい春樹、大丈夫か〜?」


僕は今工事現場に来ている。理由としてはこれが僕の二つ目のアルバイトだからだ。


あのあと罰として今夜は家の外、つまり中庭で過ごせということだったけど僕からしたら夜な夜なこっそり家の裏口から家を抜け出して工事にいくよりは都合がよかったので今回も利用させてもらっている。以前から僕が何かおじさんの気にかかることをするとこの罰を受けるのが決まりになっていた。ただ見張りにくることは一度もなかった。というか多分見張りに来るほど僕のことに興味がないだけだと思うけど…


春樹「はい、大丈夫です。ごめんなさい」


先輩A「ったく俺も人のこたぁいえねーけど、わざわざクリスマスイブの日にまで無理に出てくるこたぁねーだろ」


少し呆れたように先輩が言う。


春樹「いえ、こういう時だからこそ人手が足りないみたいですし」


先輩A「そりゃあそうだけどよ、わざわざ小学生のガキががそんな心配しなくてもいいんだよ。ちゃんと青春を謳歌しろよ」


春樹「そ、それは大丈夫ですよ、それに小学生はやめてくださいよ。他の人には高校中退で通してるんですから!」


先輩A「いや、それが今でも通ってると思ってんのはお前一人だけだよ、もっと身長伸ばしてから嘘こけよお前お」


春樹「え~!!」


本気で驚く。


先輩A「まあ心配すんな、お前が嘘下手なのははともかくみんな、なんか複雑な事情があるんだろうってことぐらい気づいてるし、ここの職場の連中は訳ありばっかだからそのへん弁えてるんだよ」


春樹「えっと、じゃあなんで?」


先輩A「それぐらい気は使ってるってこと、あと前から言おうと思ってたけど、お前は確かにガキのくせに賢いが可愛くねーぞ。自分一人でなんでもできるなんて間違っても思うなよ」


春樹「先輩…」


先輩A「ガキなんざ泣きながらわがままいうくらいがいいんだよ、頼りたい時に好きに大人を頼ればいいんだよ、それに応えんのが俺たち大人の役目の一つだ」


先輩はそう言うと休憩を終え重い鉄を持つとそのまま作業に戻っていった。


工事の指揮官「よ~し、休憩終わりだ、全員あと少しだ!さっさと終わらせて帰ろうぜ‼」


みんなで お~う!! と言って作業に戻っていく。僕は作業に移りながらチラッと先輩の姿を見ると思い出す。


先輩に話すようになったのはこのバイトを始めて入ってすぐの頃だった。この人は橘薫先輩といって僕が主にアルバイトをしている幸せのパンの店長の昔からの知り合いらしい。僕はまだ小学生ということもあり普通に考えて働かせてもらえるわけがなく、実際幸せのパンの店長に働かせてもらえるようになったのも必死に頼み続けて一年経った後だった。初めは大反対だったけどそれでもめげずに頼みこんだり少しだけ家庭の事情を話したりしてやっと同意してくれた。それから幸せのパン屋さんと工事のアルバイトで僕の日常は回っているのだがおかげ様でかなりのお金が貯まってきている。本当にあと少し…あと少しと思いながらも僕は先輩と同じように重い鉄を運んでいく。


工事の仕事が終わると、携帯電話のガラケーを手にとる。すると病院からの不在着信がとてつもなくきていることに驚く。


僕は少し不安になりながらも携帯電話を手に取る。電話をかけ直す。プルルという電話音が少し怖く感じた。相手は10秒ほどでた。


春樹「あの~もしもし」


少し不安な声で言うと


病院の先生「あ!!花咲さんですか?」


春樹「はい、そうですけど先生どうしたんですか?」


電話から聞く先生の声はかなり慌てているようだった。いったいどうしたんだろう。


病院の先生「ふう…いいですか、花咲さん。落ち着いて聞いて下さい…」


その言葉に心臓の鼓動が少しずつ早くなっていくのを感じた。


そして少しの間が空けてから先生はあり得ないことを口にした。


病院の先生「…妹のホタルさんがいなくなりました」


一瞬時が止まった。

春樹「えっ…」




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