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中途半端な僕へ  作者: ふじもん
~終わりと始まり~
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ユートピア

〜終わりと始まり〜

ユートピア

アレックス家


あれから2日ほど経って、ようやく少しだけど心が落ち着いてきた。


昨日、僕はこの黒コートさん、いや、アレックスブラフォードさんにことの詳細を全て話した。なぜかここにきたのかはもちろん、今まであったことも全部。アレックスさんは最後までちゃんと黙って聞いてくれて頷いてくれた。そして朝食が終わってすぐのことだった、


春樹「あの…アレックス…さん」


僕は部屋のドア越しに半身を隠して軽く怯えながら話す。やはり育った環境が環境だっただけに警戒心がなかなか溶けない。大人は怖いという先入観が体に染み付いているのだ。実際に店長達と普通に話せるようになるのも大分時間がかかったのだ。


アレックス「アレックスでいいぜ、どうした?」


ソファーに座っているアレックスさんが優しく言う。


春樹「えっと…昨日からずっと気になってたんですけど…あれはなんなんですか?」


僕はあまりに異常な台所を見ながら言う。まあ異常、といっても台所自体が、というより台所で起きている現象が、だ。


アレックス「何って使ったものはきちんと洗うのが普通だろ」


春樹「いや、それはそうですけど…僕が言ってるのはそうじゃなくて…」


春樹「その…なんでお皿とかブラシとか水とか勝手に動いてるんですか」


軽く怖がりながら言う。


あきらかに異常だ。誰か人がいるわけでもないのに勝手に洗い物が勝手に動いて勝手に洗浄していた。


アレックス「何って…魔法だろ?知らねーのか?」


僕はコクッと頷く。もちろん魔法を知らないわけではない。ただそれはあくまでフィクションの話で実際に存在するなんて聞いたこともない。本当に別の世界なんだなと思った。


〜昨日〜回想


春樹「ここが日本じゃない!?」


アレックス「やっぱりか、まあわけあってその国の名前は知ってはいるんだけどな…」


春樹「え…?」


アレックス「とまあ、いずれにせよ、おまえさんがいた国、というかよりいた世界か、それとここはまったく別と考えていい」


春樹「えっと…つまり?」


どういうことだろう?あの扉をくぐった瞬間から、空間ごと転移した?そんなはずは…


アレックス「どのみち、あの扉をどうにかしない限りしばらくは帰れねーっつうこったぁ、それにあの扉に関しての情報は、あまり多くもないしな」


春樹「情報って?」


アレックス「ああ、情報だ。あの扉に関して今わかっていることは、あの扉が、大昔、何百年も昔からあるということとそして、その扉が開かれるのが何十年に一度ということくらいだ。それに関してもここ最近やっとわかってきたことであくまで推測にすぎないしな、まあ俺はつまるところ、わけあってその何十年に一度っつう不確定でわけのわかんねーもんのために、ここで見張りをしてたってこった」


春樹「なるほど…」


アレックス「だがまあそんなところにお前っていうイレギュラーな存在が出てきたっつうことだから上が話を詳しく聞きたいからお前さんを連れてこいっつうことだけの話だ」


春樹「そうだったんですか…」


春樹「あの、いろいろすみませんでした」


アレックス「お前が謝るこたぁねーよ、当然の反応だからもういちいち謝んな」


春樹「すみま…はっ!そうですか」




春樹「あの…それで…じゃあ結局ここはどこなんでしょうか?」


アレックス「そうだな、とりあえず今俺達が住んでいる世界は一般的に"ユートピア"と呼ばれているな」


春樹「ユートピア…」


そう小さく呟くと不思議とどっかで聞いたことがある言葉だった。


回想終わり


春樹「それで…あの…」


アレックス「?」


春樹「その…魔法っていうのは、例えば、僕にも使えたりするんでしょうか?その一生懸命頑張れば!」


アレックス「はぁ?ええっと…そりゃああれか?こんなんのこといってんのか?」


アレックスさんはそう不思議そうに言うと、人指し指を軽く上げると、人指し指から間隔を少し開けた先にボゥと炎が灯る。僕はそれを見ると――


春樹「ふ、ふああああ!!」


目を輝かせて、バタバタとアレックスさんの方へ寄っていく。


アレックス「お、落ち着け、あんまり近づくな、小さく灯したっつっても当たれば火傷するぞ」


春樹「ご、ごめんなさい」


と少し離れるが興奮はやまずに


春樹「あの、それで、僕も、使えるように、なりますか?」


両手の拳を握りしめ、体をグイっと前に出し、キラキラした目で


アレックスさんを見る。


アレックス「う…ま、まあ素質次第なんじゃあねーの、そこまで言うなら後で簡単なやつでも―――」


春樹「い、いいんですか!!やったぁはは」


全力で喜ぶ僕にアレックスさんはやれやれというと優しい顔で


アレックス「まあしょうがねーか」


と言ってくれた。



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