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死人に口無  作者: 詩音
5/9

口無と燈野(4)

0:創作洋食料理店『トレーネ』の廊下

燈野:今日の食材たちも、生き生きとしていたよ。嬉しい!って声も聞こえてきた

口無:今日は豚の気持ちになったんですか?

燈野:ううん、あえてピーマンの気持ちになってみたんだ

口無:ピーマン……ですか?

燈野:そう、ピーマン。子どもが苦手な……僕も苦手なね?

口無:そうでしたか、すいません

燈野:大丈夫だよ。ピーマンの肉詰めって、ピーマンに肉詰めか、肉詰めピーマンじゃないかって、思われているピーマンだけど

燈野:そのピーマンを、小さくサイコロ状にした上で、子どもが、好きなマヨネーズと醤油で炒めるという気遣い

燈野:それを彩りの一つと、豚肉を包み込むソースにするなんて……ぼく、今まで残してきたピーマンに、申し訳なくなったよ

口無:(M)苦手なモノを好きになるのが、大変なのは、よくわかっているつもりだけど、一工夫で変わることが知れて、とても嬉しかった。

口無:(M)『口無……お前は食材の声が聞こえるんだな』と、調理師学校の先生に、初めて褒められたのを思い出す。

水嶋:『コウはすごいよ、俺にないモノを持ってる』

口無:(M)ハルも、よく褒めてくれていたな。もちろん、トウノ店長も、すごく褒めてくれる……こんな僕なのに。でも、さっきの言葉が、一番心に染みる。

口無:(M)ただ、今日はいつもより、すごいみたいだ。

燈野:コウちゃんはすごいね。どんな食材でも、良いところを引き出してくれる。

燈野:料理って、生き物の命を奪うことだと思っていたけど、コウちゃんは、その命にちゃんと敬意を示して、生きた証を残したり、より生かしてくれるよね

口無:そんな、大それたことしてませんよ

燈野:いや、してる。コウちゃんは、大した料理人だよ……トレーネに必要なね……?

口無:あ、ありがとうございます

燈野:これからもよろしく……口無シェフ!

口無:(噴き出し笑い)

燈野:もう!真面目に言ってるのに!!

口無:(M)いつもの雰囲気に、戻った……こっちの方がいいな。

0:創作洋食料理店『トレーネ』の裏口

燈野:今日の試作品、新メニューに採用しても大丈夫だよ。あとで、レシピと材料費がわかる紙を、出してくれればいいから(店のカギをかける)

口無:ありがとうございます!明日の朝一に、提出いたします

燈野:もう!無理しないでねって、言ったばかりだよ?もっと良くなるように、練ってから出しても、大丈夫だからさ……良い子だから、わかるよね?

水嶋:『真面目なのは、コウの良いところだけど、ブレーキがないから、ダメなんだよ。だから、俺がいるんだから……ね?』

口無:(M)ねぇ、ハル。僕はやっぱり、ブレーキがないみたいなんだ。だから、止めに来てよ。早く、今すぐ。

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