「まぁ良っか」は「お前が妥協しろ」の意味である
「まぁいっか…」は私の口癖である。
優しい、と言われる事があるが、あまり人のするコトに興味がもてないだけなのだ。
大抵のことは許せるし、今まで生きてきた中で取り返しのつかなかったコトなんて、数えられる程に少ない。
二歳の息子がその口癖を覚えるのも、ある意味では当然であった。
「まぁいっか!」
イントネーションが違い、「かー!」と強く言っている。
パズルで遊んでいたら、「ご飯だよ、こっちのテーブルにおいで」と言われて「まぁいっか!」
苺のヨーグルトをおかわりしたくて「もうすぐ晩御飯だからオシマイだね」と言われて「まぁいっか!」
じいじ(父)も、ばあば(母)も、まま(妻)も、当然のように「良い子だね」と息子の頭を撫でて褒める。
そして、息子は何度も言う。
「まぁいっか! まぁいっか!!!」
お気づきになられただろうか。
息子は必死で言葉で伝えようとしていたのである。
「まぁいっか…」と許可してほしいと。
「まぁいっか…」と妥協しろと。
そして私は父母妻に伝えた。
「それ、納得してないみたいだから。もう少し分かるように話をしてあげて欲しい」
無理やり言う事を聞かせたくなかった。
無理やり言う事を聞かせようとする子には育てたくなかった。
その後で、そのうちに覚えたのだろう。
保育園で覚えてきたんだとは思うけれど。
「ヤダー!」「いやー!」
そうして私はホッとした。
ちゃんと嫌な事を嫌と伝えられる様になってくれて良かった、と。
私は思う。反省する。
息子にはしなかったけれど、他人の揚げ足をとっていないか、と。
曲解したりせず、気持ちをきちんと汲み取れているか、と。
高校時代から、自分の納得力には自信があった方である。
しかし、インターネットで遊んでいるうちに曲解力も身につけてしまった。
文章だけで伝えようとすると前後の話を切り捨ててコピーペーストされる事もある時代だ。
この文章も、タイトルだけでは全く伝わらない。むしろ誤解されるだろう。「まぁいっか」は、普通に使うと「私が妥協します」の意味だもの。
私はこれからも、ノンバーバルなコミュニケーションを大事にしていこうと思う。
磨いた曲解力で、もしかしたらこんな意味なのか?こんな事を伝えたいんじゃないか?と試行錯誤して、できるだけ気持ちを汲み取れるようになりたい。