最弱ビリの何が悪い!
どうも作者の礎宮颯です!
異世界でのバトルが盛り上る今、敢えて現実を舞台にした異能バトルに挑戦しました!
主人公をいたぶって行きたいなぁ。
俺、『鹿狩瀬楸』の見ている世界が必ずしも本物とは限らない。
瞼を閉じれば魔物が闊歩しどこぞの組織が俺の異能を求めいつ襲ってくるかも分からないそんな世界に変わる。気がする。
「その考えでいくと、あたしまで怪物になるんですけど」
隣で公園の雲梯にバランスよく腰掛ける九州女子は中学三年、同い年の『木幡李衣』。
肩までの短い茶髪を揺らし器用に売店で買ったたこ焼きを口に運んでいる。
「李衣よお前の言うことにはふたつの間違いがある。まずひとつ、お前は確かに化け物だ。」
「ひさぎ、あんたそれ本気でいってんなら吊るすよ」
「まてまて、もうひとつは俺は本物の異能持ちだろ!」
そう。俺の住むこの街は『異能開発特化都市』のうち指折り数えられる有名どころだ。そしてこの街に住む俺は勿論、李衣でさえ異能を持つ。
俺の駆使する人類最強の能力、それは
「能力あるのは知ってるけど、店員のミスで安くなるぐらいの幸運、あたしは思わないよ」
だそうだ。
道端で拾った十円がギザ十確定と微妙な能力が俺の武器。おかげで家にはギザ十の詰まったボトルが複数ある。
「あそうだ、こないださせっちゃんと床屋行ったのね、そしたらそこの従業員ハゲてて……バリうけたんよ!」
「そうかそうか。幸せな人間だ。しかし俺の襟足が伸びてきたのもそうだな」
俺の黒髪も暫く切っていないせいか寝起きは実験失敗の博士ヘアーになる。正直面倒ではあるが仕方がない。ハゲに髪を切ってもらおう。
「たこ焼き食べ終わったし捨ててくんね」
「あいや俺も喉乾いてんだよ」
「……?一緒にいくっちゃね?」
「何で、疑問なんだ。悪いか」
いまさらだが李衣の九州なまりは都会に来て二年、一向に治らない。治す必要もないと言われればそこまでだが友達と話す時はどうしているのだろう。
李衣が捨てたゴミ箱のすぐそばにあった自販機でお茶を買うと不自然な手が横からのびてくる。
「飲みかけだぞ?」
「新しいの買えよ」
華麗なるスルーを得意体質に含んだ中坊は━━
「あたしココアね」
先回りをされ逃げ道を塞がれるのであった。
■■■
開発学園第一学科中等部。この中には俺と李衣を含む多数の生徒が能力の向上を受けている。
ここでの俺は出番がない。ほとんどが運で通り体育がそこそこできる他、女友達を持つくらい。勝ち組か?
兎も角、最低クラスの異能の俺はお払い箱だ。
「そんな落ち込まなくたって、元気だそ?ひさぎらしくないぞ」
「だろうな、お前に俺の気持ちが分かるか?折角の能力が運だぞ⁉そりゃ、らっきー♪とか思える内はウハウハだったよ!でももう十五年だぞ?せめて新たな力の開花があってもいい頃合いだろ!な⁉」
「おおう⁉どうした?さすがのあたしでもこの寒暖差には追い付けないぜ⁉」
とまあこんな毎日を過ごす中で、この先の人生どう転ぶか分からない。
せいぜい淡い期待を夢にみてのんびり気長に待とうじゃないか。
あとがきを書くのはどうしても慣れませんね。とにもかくにも、これからの目標『続ける』と意気込んでいきますので!
これから是非とも、応援よろしくお願いします。