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ノーリア

「まち…がい……?」

「そう。俺の名前は御園小虎之助。確かに名前に虎って文字が入ってるが虎王なんて名前じゃないし、そんな風に呼ばれたこともない。そもそもヒキニートのクソガキにそんな呼び名付けたら痛すぎてDQN認定されちまうわ」

我ながら情けない自己紹介だと思いつつ、キッパリはっきひ人違いを指摘した。


「で、でも…それならあなたは何故ここに?虎王様を呼び出す為の魔法陣を組んだはずなのに。

えっと…帝都歴何年からここへ来たのですか?」

「帝都歴っつーか…俺が元いた場所は日本って言って、この服装見てわかると思うけど、いわゆる『異世界』ってとこから召喚されたんだと思う」

そう言って、ジーパンにパーカーと言う、日本ではありきたりな服装をした姿を見せる。スマホはジーパンのポケットに入っていた。

…今までバタバタで気がつかなかったが、服装はリーシャちゃんのアニメ見てた時のままなんだな。そう言えば足元は靴下のまま、靴は履いてなかった。

こんな事に今更気がつくなんて、意外と混乱してたんだなあ、俺。まあ無理もないか。

「えっ?!い、異世界ですか?えっ、でもあの魔法陣は…でも確かに見たことない素材の服だし…。そうすると何故…?魔力量的にこれは…」

そしてノーリアは、なにやらブツブツ言いながら辺りをウロウロしはじめた。


「って、おい、忘れてたけどこの辺りは変なモンスター?がいるんじゃなかったか?!そういえば、さっき俺を襲ってきた黒いナニカはどうなったんだ?こんな所でウロウロ動き回ってても仕方ないだろ、アイツから逃げないと…!」

そう言って落ち着かなく辺りを見渡しはじめた俺を、ノーリアはにっこり微笑みながら振り返って落ち着かせるかのようにこう言った。

「あ。大丈夫ですナニカはもう『戻し』ちゃいましたから☆幼体で良かったです〜さすがに成体はちょっとキツかったので」


一瞬、なにを言ってるのかわからずにポカンとしてしまった俺を見て、自分の言葉が説明不足だったのを感じたのか、ノーリアはもう一度、子供に教え聞かせるような口調で俺に向かい合って説明をはじめた。


「えっと…話せば長くなるので簡単に説明しますね。あの、先ほど虎王さ…コトラノスケ様が見た、黒い物体ですが、アレは私たちの間で『黒いモノ達』と呼ばれています。まだ帝都歴前の時代にこの地に蔓延っていた黒いモノ達は、リーダーの『クロヤミ』もろとも当時の勇者様達…虎王様率いる優秀なパーティーに一度は滅ぼされたのですが…ここ近年、また何処からか湧いて出るようになってしまいまして。それを私たち帝都魔導部隊が駆除して回っているのですが、その事を『戻す』と言います。

そして、さっきのヤツは黒いモノ達の中でもまだ幼体と呼ばれる産まれて間もないコドモみたいなものだったので、私一人で戻す事ができたんです。

なので、もう危険は去りましたよ。安心してください!」

この世界の住人で、かつ黒いケモノ達?を駆除する部隊にいるノーリアが言うのだから、もう大丈夫なんだろう。

ホッとしたら、何だか一気に力が抜けてその場にへたり込んだ。


「虎お…コトラノスケ様?!大丈夫ですかっ?!」

慌てて駆け寄るノーリアに「あー、大丈夫、なんか気が抜けただけ…」と返す。

それを見たノーリアは、空を見上げ四方に目をやり、何やら分厚いローブの中でゴソゴソし始めた。

「そういえば、もうこんな時間ですものね。色々とお互いに聞きたいこともあるでしょうけど、今日の所は寝たほうがよさそうです。

…本当なら、転移魔法で部隊のある帝都までひとっ飛び、なんですけど、残念ながら先ほどの『黒』を戻したせいで魔力をほとんど使い切ってしまいました。

申し訳ありませんが、今日はここで野宿をしましょう。大丈夫、この付近は帝都近くなのもあって、先ほどのような黒達はほとんど出て来ませんし、結界ぐらいならなんとか張れます。

魔力は寝ればある程度は回復しますので、明日の朝、帝都へ飛びましょう」

そう言うと、ノーリアは何か呪文のようなものを唱え、両手を胸の高さに突き出した。

キラキラとしたものが辺りを覆い、なんだか空気が変わった気がした。

これが結界かー…と思ってノーリアを見ていたら、ものすごい睡魔に襲われた。

「あー…、俺も相当眠かった…んだなぁ…」

そのまま倒れこむように横になる…と思ったら。


「さあ、それではお休みなさいませ」

そう言ってノーリアは、着ていたローブの前をバサっと広げ、そのまま俺の体を包み込んだ。

倒れかけていた俺は、ノーリアを巻き込みそのまま二人で倒れる形になったのだが。


「ちょっと待て!!えっと、ノーリア、さん?何この状態?!てか、ローブの下なにも着てな…ふがが」

「寝るときにうるさくしちゃダメですよー?この辺りは夜は冷え込みますので、一緒にローブに包まって寝ましょう。念のため、暖かくなるようにローブの中に魔法を使ってますから、寒くはないはずです。

…それじゃあ、おやすみ、なさ…くぅ」

最後まで言わずにノーリアは寝落ちした。


ちょっと待て。

さっき確かに、ローブを広げたときに見えたのは…裸体、だよ、な…?

裸体の美女と同じローブに?包まって?密着したまま寝るって??

「っひぃ?!」

硬直した体を動かそうとして思わずノーリアの肌に手が当たってしまい、なんとも情けない声を出してしまう。

待て待て落ち着け落ち着け。

だが落ち着ける訳がない。だって真横に裸のじょせ…

いや!だから落ち着けって!


何だか悶々としながら前屈み気味になりつつ、眠気が吹き飛んだ俺は隣で幸せそうに寝ているノーリアの寝息を聞きながら、これは長い夜になるな、と思った。

最後にセクシーハプニング?なコトラの今後やいかに?!

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