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no.25, 26
no.25
ナイフを使う少女の手先
切り離された皮のひと筋が
動きに合わせてぱたぱたと揺れる
テーブルの上に落とされた かつての仲間たち
かんなくずのように丸まっている
籠の中でじっと待つ いくつものじゃがいもたち
身ぎれいにされていく様を ただひたすらに見つめている
怖くはないの?
籠の中から聞こえてくる
大丈夫。これは脱皮だから
かんなくずは答える
かんなくずは続けた
怖がっちゃいけないよ と
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no.26
風吹けば思い出す きみの髪のやわらかさ
雨降れば思い出す きみの涙のあたたかさ
緋色の夕陽に感じる きみの笑顔
満い月 光に映る きみの微笑み
五線譜の上 肩を寄せ合い 紡ぐ
ささやかな時間 かがやきの
ひとつひとつにこころこめて
ことばにできない この想い
音符に変えて きみへ贈るよ
no.25 アルベール・アンカーの絵からの印象