表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

まじょののろい。


 若者がぼんやりと森の小径を歩いていると、突然ほうきに乗った魔女があらわれました。


 魔女はうれしそうに持ってた杖をえいやっと若者へふりかざすとこう宣言します。


「のほほほほ。お前の両腕に何をたべても味がしない呪いをかけてやったわえ。筋肉の一筋一筋、骨の一本一本に刻みこんでやったから、もはや儂でももう、解くことは叶わんわ。一生砂を噛むような食事を楽しむがええて。のほほほほ」


 そう言うだけ言うと魔女は満足そうに空へ飛びさっていきました。


 若者は、試しにと持っていた干し肉をかじってみるとまったく味がしません。

 これは困ったなあ、と呟きながら家に帰りました。


 翌日、若者は昨日あったできごとを、幼馴染のリズに話しました。


「ちょっと待ってね」


 リズはそう言って、家に帰ると昨日の夜に作ったシチューと銀のスプーンをトレイに載せて戻ってきました。それを見て若者は両手をあげて、リズを押しとどめようとしました。


「いや、本当に味がしないんだよ。パンを食べてもミルクを飲んでも果物をたべても、まるで紙を食べているみたいな…いや、正確には紙もあれはあれで味があるからね。正真正銘混じりけなしに無味無臭なんだ。正直これほど食事が苦痛になるとは思わなかったよ…」


 若者は消え入るように弱音を吐きました。

 それを見てリズは悪戯っ子のように微笑んで、シチューを一匙すくうとこう言いました。


「はい。あーんして」


 こうしてこの村に、幼馴染の夫婦が誕生した。


 健やかなるときも病めるときも、愛情深く夫に食事を食べさせてあげる妻の姿をみて、周囲の人々は、なんとも仲睦まじい夫婦だなあと噂し合ったそうな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ