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とまるとまるすべてはとまる。


 キキィー!

 そして空気が虹色に変わる。



***



 俺は時間を止めることができる。


 と言うと大概の人間は困った笑いを浮かべるか、残念そうな顔をする。けれど事実だからしかたない。

 俺がイタイ人とか、頭が残念な子(ある意味残念ではあるが)というわけではなく、本当に時間を止められるのだ。


 自慢できるほどの能力か、というと…実は大きな疑問符がつく。時間を止めるにあたっての制限があるのだ。

 止める時間に制限があるわけじゃなく(これもおかしい表現だが)、時間を止めた中で動くことができるのは俺の体の内部のみ、ということだ。つまり体はぴくりとも動かせない。


 ……。


 な?微妙な雰囲気が漂ってきただろ?


  俺が、時間を止めた瞬間空気が虹色に光り、全身がコンクリートかなにかでがっちり固められたように(いや、コンクリートで固められた経験はないけども)な る。これが徹底していて、俺が走り幅跳びの最中に時間を止めたら見事に空中で固定されるのだ。意外と間抜けなポーズで固定されてしまうが。


 時間を止めた中で自由自在に動ければ、どんなことだってできそうだし、うまく立ち回れば大金持ちになれるんだろうけども、さにあらず。それほど上手い話はないということだ。

 一度、なんとか動かないかと右腕を小一時間ほど(当然これは俺の体感時間だ)悪戦苦闘したが、指先が一ミリ動いたかどうかという時点で諦めた。


  時間が止まっている間、内蔵や筋肉、血流(鼓動をしているのはわかる)、眼球もギリギリ動かすことができる。不思議と腹は減らない。限界まで試したわけで はないが、2~3日程度(学校に行きたくなくて布団の中で時間を止めた)なら全然問題はない。だからどうしたという話だが。


 まあそれだけだ。後はせいぜいずっと考えることができるくらいか。


  一度、ボクシングをやれば世界チャンプになれるんじゃないかと入門してみた(時間を止めればパンチ見えると思った)が、いかんせん時間を止めても身動きが できるわけじゃないのであんまり意味が無いことがわかりやめた。一発ニ発なら避けれられるが、ラッシュをされると時間を止めるのが追いつかなくなるのだ。


 将棋とかクイズとか時間制限のあるもの(俺は時間無制限で考えることができる)はどうかと思ったのだが、俺は頭が悪かったので前提から破綻していた。

 なので、今俺がこの能力を使うときは例えて言うなら夏の海できわどい水着の可愛い女子をガン見する時くらいしかない。


  別に世界を救おうとか滅ぼそうとかいう気概があるわけではないし、どちらかといえば穏便に暮らしたいと小学生の卒業文集に書いたこの俺には、この程度の能 力が相応しいのだと思う。胸の谷間とかガン見するにはすっげー便利だしな。そう、俺はその程度の情けない男なのだ。ああ、自信を持って断言できる。


 というワケで、とっさに時間を止めてしまったがコレは俺にはどうしようもない。しばらく夢見は悪くなりそうだが、色々な人に諦めてもらうしかない。だってそうだろ?俺は身動きひとつできないんだから。


 そう、実は、今、俺の目の前、約一メートル先で女の子がダンプに轢かれる一秒前なのだ。


 南無南無。仕方ない仕方ない。仕方ない。しかたない。シカタナイ。


 そう考え続けて三十六時間。


 とりあえず、三十六ミリ彼女に近づいてみた。



***



 地方版の新聞に小さな記事。それはこんな見出し。


 「栄養失調寸前の高校生、同級生を救う」

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