7/62
木箱
「昴君、もしかしてあの時本気で殴ったの?」
「もちろん」
間髪入れずに返って来た答えにゾッとしたものの、今はそれよりも気になる事がある。
「あのさ、全然痛くなかったんだけど……」
「……っ! まさか」
昴君は一言呟くと同時に、私が反応するよりも早く私の頭に拳を振り下ろした。脳天には拳が当たった感覚があるものの、やはり、痛くはない。
私の全く痛がらない様子を見ると、
「と、父さーん!」
と、大きな声で呼びながら部屋を出た。
後を追おうかと迷ったものの、特に何も言われていなかったので、私は部屋で昴君の帰りを待つ事にした。
なんとなしに目に入って来たのは昴君の持って来た木の箱。これを置いていってしまった事が、昴君がきっとすぐに戻ってくると思った要因ではあるものの、一体何が入っているのか……。
緩く作った拳で軽く叩いてみるが、あまり響かない。他人様の置いていったものを勝手に触るのはあまりにも不躾だと自分に言い聞かせた。
中を開けて確認してみたい好奇心を押さえて、大人しく昴君の帰りを待った。




