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女の子

 冬休み明け初日。窓の外に見える空はどんよりと曇っている。

「はぁ」

 私は胸のつかえを押し出すように息を吐いた。正直なところ、西森君とは顔を合わせづらい。

 私が岡本詩織だと言ってから、西森君は私を見る時に明らかに『岡本詩織』として見ている。記憶のない私にとってはそれは重荷でしかないのに。

「おはよう」

 と、女の子の声がクラスに響く。

 間を置いて、異変を感じ取った。

(静かすぎる)

 クラス内が、恐ろしいほど静まりかえっていた。普段は先生が来るまで、それぞれがくだらないことをくっちゃベっているのに……。

 前の席に視線を移すと、昴君もドアの方を見たまま固まっている。

 昴君の視線を追っていくと、そこには日本人形を思い出させるような可憐な女の子がいた。

 ――知ってる。

 その女の子が視界に入って来た瞬間、体の中心がカァッと熱くなるのを感じた。それと一緒に言葉にしがたい不快感が込み上げてくる。

 私はあの女の子を知ってる。それだけじゃない、私は、私は――。

 あの女の子の事が――。

「詩織!」

 強烈な頭痛、かすむ視界。ガタンと盛大な音を立ててひっくり返る椅子。

 私は力の入らない体を必死で支えようとしたが、なにせ足に力が入らない。体は重力に任せて、床にたたきつけられた。

 ――痛い。

 幽霊なのに、なんで痛いの?

 そんな疑問はすぐにかき消された。蘇ってくる記憶によって――。

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